同機構は、全日遊連が推進役となり日遊協など業界他団体、計8団体共管での運営を想定するもの。柱となる「遊技機の販売制限」を実施する上で、他団体との連携強化が不可欠になったためで、遊技機の購入時にメーカーと交わしている売買契約書に特約条項を新設、(1)行政処分を受けた、(2)立入に関する誓約書が未提出、(3)立入拒否、(4)立入時に遊技機及び周辺機器に異常が認められ、明らかに内部不正と機構が認定した場合、(5)立入再検査に応じない場合等、こうしたケースには遊技機を販売しないペナルティーを特約条項に盛り込む方向で調整が続けられている。
ただ、販売制限には独占禁止法に抵触する可能性が排除できないことから、法律の専門家を交えるなど、慎重な協議が続けられている模様だが、ペナルティーの新設自体には「全日遊連と日遊協は完全な意見の一致をみている」(山田理事長)ことが分かっている。
意見が割れていたのは、機構をめぐる第三者機関の位置づけだ。機構の活動を定期的に監視する審議会を別に設置。全日遊連が全防連、有識者、行政OBなどを構成メンバーとするこの審議会を第三者機関に位置づけたい考えを示していたのに対し、日遊協は機構自体の第三者機関に位置づけ、さらに立件を目的としたピンポイント立入の実施主体についても業界から完全に分離・独立した第三者にあたらせるべきだとのスタンスを貫いていた。
今回、合意に達したのは、機構自体を第三者機関に位置づけたいとする日遊協案。日遊協の主張を全日遊連が受け入れた形だが、業界8団体の代表者のほかに、業界外から有識者を招聘、第三者性を確保した布陣を敷くことで折り合っている。8団体は、全日遊連、日遊協、日工組、日電協、全商協、回胴遊商、自工会、補給組合。補給組合は今回から新たに追加されたものだが、当初、名前が取り沙汰されていた風俗環境浄化協会は入っていない。なお、立入の実施主体についてはなお協議中で、「ピンポイント立入に従来どおり全日遊連の立入専門部員を派遣するかどうかは未定」(山田理事長)と報告された。全日遊連の専門部員は現在約100名。
一方、ピンポイント立入とは別に、全日遊連傘下の県遊協が実施主体となる恒常的立入システムについては、「(システムの運用)要綱を作っていない(傘下)組合は一つもない」(同)ことが明らかにされ、すでに設置済の県遊協も含めて、傘下51都府県方面組合すべてがシステム構築の方針に足並みを揃えたことが報告されたが、焦点の財源問題に関しては、「新台購入時はホールとメーカーがそれぞれ100円ずつ、中古の場合はホールと販社がそれぞれ50円ずつ負担し、費用の徴収をメーカーおよび販社にお願いする方向で全日遊連と日遊協は意見が一致している。これを踏まえて今後は供給側の団体と協議に臨みたい」(同)と述べた。
この財源は、主に各県に設置される恒常的立入にあたる専従員の人件費にあてるもの。会見では、全国の総設置台数に対して「5万台に一人ぐらい」(同)を配置したい考えが示された。
ピンポイント立入および県遊協主体の恒常的立入は、非組合員のアウトサイダーも対象に入れたい方針が示されている。その場合の誓約書の提出先は、機構宛とする案が有力視されている。