従来のヘソのサイズより2倍ほどあるだけでなく、従来よりも変動効率が大幅にアップして1時間当たりの通常時の変動回数を従来機の2倍近く回すことができる通称デカヘソ機や、『eシン・ウルトラマン』で搭載されているPスキップを始め、タイパを意識したパチンコ機がにわかに脚光を浴びています。今日はそんな変動効率重視のパチンコ機について言及したいと思います。
パチンコといえば元来、娯楽という側面が大きく時間効率重視というよりも大衆の社交場として時間消費型レジャーといっても差し支えないものでした。そのため、多くのホールにおいて、遊技機だけで差別化ができないゆえに、空間作りというのに非常に力を入れている所も今尚多いと思います。
心地よく遊技してもらうだけではなく、時間を気にせずに打ってもらいたいという思いから、ホール内に時計をあえて置かない選択をされている所も少なからずあるかと思います。そう、昔は確かに時間消費型レジャーと胸を張って言える空間であったのは間違いないでしょう。
いやいや、低玉貸しは時間消費型レジャーではないですか?という声も一定聞こえてきそうな気がいたしますが、実は本質はそこではないと思います。
過去と現在、大きく違う点は「交換レート」です。昔はいわゆる低価交換営業でありながら、ラッキーナンバー制を導入しているホールが殆どでしたが、今現在はそのようなホールはほぼ皆無です。高価交換が主流となり、ラッキーナンバーは姿を消しました。今の若い子に「ノーパンク」(無制限)といっても伝わらないかと思います。
そんな過去の低価交換時代は、パチンコ機の出玉率が100%を超える運用も当然ながら珍しくありませんでした。出玉率が100%を超えるということは、当然ながら打てば打つほど出玉が増えるということを意味します。
すなわち、昔の時代においては長時間打てば打つほど勝てる確率は増えていったわけです。一方で現在の営業形態は高価交換が大多数を占めており、遊技機の運用そのものも出玉率は100%を切ることが殆どです。すなわち、打てば打つほど損をするのが今のパチンコともいえるわけです。
そのため、変動効率が良いものが受け入れられているという見方もできますが、長く打てば打つほど負けるパチンコは、さっと打ってさっと帰る方が良いと無意識的にユーザーが把握し、そのような行動につながっているのかもしれません。
勿論、今のパチンコ機が回らないというのは大前提としてあるのですが…
◆プロフィール
荒井孝太
㈱チャンスメイト 代表取締役
パチンコメーカー営業、開発を歴任後、遊技機開発会社チャンスメイト(https://chancemate.jp/)を設立。パチンコ業界をより良く、もっと面白くするために、遊技機開発業務の傍ら、ホール向け勉強会や全国ホール団体等の講演会業務など広く引き受ける。