【コラム】深刻な部材不足に四苦八苦するパチンコ・パチスロメーカー

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皆様、はじめまして。本日から「WEBグリーンべると」にコラムを執筆させて頂くこととなりました㈱チャンスメイトの荒井と申します。ぱちんこ機の開発事情や市場分析、規制動向などを主なテーマとして取り上げさせて頂く予定です。第1回目の今回は、コロナ禍から続くぱちんこ機、パチスロ機の部材不足の動向について触れさせて頂きます(文=荒井孝太/チャンスメイト代表取締役)。

昨年からメーカーやホールをざわつかせている半導体不足による製造ロットの減少傾向は2022年解消するどころか、更に深刻なモノへと進化しています。

具体的には、半導体、樹脂、鉄鋼等の深刻な材料不足及び価格の高騰化にウッドショックも相まって、遊技機を構成する全ての部品が足りないと話すのはメーカーの購買担当。強い調達力をもってしても、価格はコロナ前よりも数倍になっている部材も少なくなく、各メーカーの購買部や下請けの部品会社や商社はどうにもならない状況となっています。

遊技機というのは、指定試験機関及び、各都道府県警の公安委員会に持ち込み、許可を得た製品と同一の内容でなければホールに設置することはできません。そのため、極端な話ですが、ネジ1本違う品番の部品であったとしても変更等は認められないのです(部品メーカーがリコール等によるやむを得ない事情等の場合、同一性能を担保できる等の一定の条件下において例外的に認められる場合あり)。

そのため、調達力の高い一部のメーカーを除き、殆どのメーカーにおいて再販どころか新台をリリースすることすらままならない状況が続いています。その影響は現行の遊技機だけではなく、次世代遊技機の「スマートパチンコ・スマートパチスロ」のリリースにも大きく影響を与えているのは、当webサイトのニュース記事でも先日発表があった通りです。

遊技機メーカーというのは遊技機を開発、製造し、販売することで利益得る営利法人です。そのため、機械を販売することができないと会社としては成り立たないのは自明なことですが、部材が無ければどうすることもできません。

そこで考えた苦肉の策が、「先返しリユース」です。ホールから先に機械をメーカーに返却してもらい、そちらの機械を確認、洗浄等を行い、ROM等の一部部品を新品に付け替え、リユース品として発送する方法です。これであれば、一部の部品は新品が必要なものの大半の部品をリユースすることが可能なため、機械販売を進めることが可能なわけです。

勿論、部材の方ですが完全に調達が不可能というわけではなく、今までよりもリードタイム(調達までの時間)が伸びたことや、部材の価格が高騰していることがあり、今までよりも納期が読みにくくなりました。また、必要台数を正確に把握することが営業開始前だとかなり難しいため、余らして在庫にするよりは売り切って在庫ゼロの方が財務的に健全であり、特にこの厳しい遊技市場において在庫を大きく抱えるのはリスクということから、売り切れるであろう数量に抑えて発注する傾向が根強いです。

そのため、導入後に爆発的に人気が出た台の追加増産が思うようにいかないほか各社、新台の供給数もそこまで多くない機械が今しばらく続くと思われますので、ホール関係者は機械発注や選定に関して、またそれに伴った中古市場についても新台供給量不足により、それを前提とした対応が求められる日々が暫く続くとお考えいただいて差し支えないかと思います。

◆プロフィール
荒井孝太
㈱チャンスメイト 代表取締役

パチンコメーカー営業、開発を歴任後、遊技機開発会社チャンスメイト(https://chancemate.jp/)を設立。パチンコ業界をより良く、もっと面白くするために、遊技機開発業務の傍ら、ホール向け勉強会や全国ホール団体等の講演会業務など広く引き受ける。

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