【コラム】パチンコ新機能「P-スキップ」について開発者が考えてみる

投稿日:2025年2月3日 更新日:

ユーザーが任意で演出をスキップできる機能として『eシン・ウルトラマン』で搭載されているようです。従来通りに遊べる一方で、不要だと感じた演出をスキップできる新機能について本日は解説したいと思います(文=荒井孝太/㈱チャンスメイト 代表取締役)。

スキップ機能の元祖は『CRブラボーファイブ』

パチンコ歴が長い人なら覚えているかもしれませんが、パチンコにおけるスキップ機能の元祖は2003年に平和からリリースされた『CRブラボーファイブ』です。変動中に盤面左下にあるタッチセンサーに触れると変動がその場で停止し当落が一瞬でわかるという機能でした。

その後、平和の機械に複数機種スキップ機能が搭載されたほか、当時のニューギンの機械にもスキップ機能は度々搭載されていました。当時のニューギンの枠には灰皿がついており、それをひっくり返すとスキップボタンになるという仕様でした。

その他、SANKYOや西陣も機種数は少ないですが、スキップ機能を搭載した機械がリリースされましたが、登場から2年も経たずして射幸性が上がりすぎてしまうからという理由にて禁止されることになりました。

復活したスキップ機能?『Pどないやねん』

そこからおよそ20年近くの時を経て、2022年に藤商事から『Pどないやねん』がリリースされました。この『Pどないやねん』には、盤面右上に「どないやねんポケット」が搭載されており、このポケットに玉が入賞時に回っている変動が止まればハズレ、止まらなければ大当たりという仕様にてリリースされました。

当時は一部の有識者やパチンコ好きの間で話題となりましたが、そこまで大きく広がることはありませんでした。

そして今回の『eシン・ウルトラマン』に搭載されているP-スキップですが、『Pどないやねん』と同じ仕様にて搭載されているのは間違いありません。

この機能、実はスキップ機能ではなく、「当たりを優先させる機能」です。どのような内容か?といいますと、この機能は特図1及び2の同時変動機にのみ許される機能となっております。この特図1及び2の同時変動機ですが、特図1か2の変動のどちらかに当たりがあった場合に、そちらを優先させることができるという決まりがあります。

これを活用し、通常の変動中(特図1変動)に特図2に玉を入賞させることで特図1と特図2が同時で変動することになるのですが、特図2は全て小当たりにすることで、特図1の変動がハズレの場合は特図2変動を優先させ即時変動を停止、特図1の変動が当たりの場合は、特図2よりも特図1が先に変動を開始していたので優先権は特図1にあり(すなわち、変動が止まらない)という仕組みです。

これにより、疑似的に?いや、体感的にはほぼスキップ機能といって差し支えないような機能を約20年ぶりに搭載させることが可能となりました。これをリリースさせた藤商事もすごいと思いますし、この機能に目を付けてキャッチーな名前にてわかりやすさを前面に出すことに成功した京楽産業.も凄いな(上手い)と思います。

2025年4月に導入予定の『eシン・ウルトラマン』、約20年ぶりに話題となったスキップ機能についてユーザーがどこまで楽しんでもらえるのか?というのを注視していきたいと思います。

◆プロフィール
荒井孝太
㈱チャンスメイト 代表取締役

パチンコメーカー営業、開発を歴任後、遊技機開発会社チャンスメイト(https://chancemate.jp/)を設立。パチンコ業界をより良く、もっと面白くするために、遊技機開発業務の傍ら、ホール向け勉強会や全国ホール団体等の講演会業務など広く引き受ける。

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