【コラム】『まどマギ』と『電王』がヒットした理由

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今回は、パチンコのヒット機種を題材に、1/199の機械と1/319.1の機械の本当の違いと共通点について解説したいと思います(文=小島信之/トビラアケル代表取締役)。

9月に導入された京楽の『e仮面ライダー電王』は導入後も高稼働を維持し続けており、オッケーの『まどマギ』に続き、京楽グループはスマパチにおいて、2機種連続で実績を残しております。今回は電王とまどマギの違いと共通点についてお話ししたいと思います。

まずは簡単に2機種のスペックの説明です。まどマギは大当たり確率1/199.9、RUSH突入率55%、上位RUSHには27.5%で突入し、その継続率は約87%となります。電王は大当たり確率1/319.9、RUSH突入率50%、RUSH中に大当たり(約60%)すれば、継続率約77%の上位RUSHに突入し、大当たりは900~最大4,500個の出玉となります。

初当たり、突入率等の細かい数字は両機種で違いますが、両機種の上位RUSHの突入確率、期待出玉を計算しますと、ともに通常時の約1/1100で上位RUSHに突入し、突入時の出玉期待値は約11,000個と、射幸性的には同じような機種となっています。

両機種の一番の違いはというと、まどマギはRUSHに突入させ「高い継続率」で一撃の出玉を狙うタイプ、電王はRUSH中の大当たりの「出玉の偏り」により一撃を狙うタイプという点になります。

この2機種の共通点は、それぞれの機種のポイントとなる点が、最大限に活かされるように作られている点です。まず、まどマギですが上位RUSHに突入すれば高い継続率で一撃が狙えますので、「上位RUSHに突入するか否か」がこの機種の一番のアツいポイントとなります。

その部分の演出でワルプルギスの夜に突入(突入率50%)し、そこで勝利(勝率55%)すれば上位RUSH突入と、突入までに2段階の抽選を行い、演出もプレイヤーの期待感を最大限に煽る演出となっています。プレイヤーにまどマギのアツいポイントを聞いてみても、ワルプルギスの夜の演出と答える人が多いでしょう。機種の射幸性の肝となる部分で、プレイヤーが一番アツくなれるようにしっかりと考えられているのです。

電王も同様で、上位RUSH中の出玉の偏りが一番のアツいポイントです。上位RUSHに突入するかどうかはポイントではありませんので、他機種のように上位RUSHに突入するかどうかの抽選や煽りは省かれ、RUSH中に大当たりすれば100%上位RUSHに突入するという至ってシンプルになっています。

そして、上位RUSH中に大当たりした場合は、ここがこの機種の一番のポイントとなります。獲得出玉を決める抽選を段階的に行い、抽選が進むにつれ獲得出玉が多くなるという、プレイヤーの期待感を最大限に煽れるような演出となっているのです。

スペックのみや、演出のみ等で見た場合、両機種を上回る機種は多々あると思います。しかし、両機種ともに、機種としてプレイヤーが一番アツくなるポイントがしっかりと意識されて作られていたのだと思います。

スペック、ゲーム性、演出等全てで足並みを揃えてその部分が強調されているため、プレイヤーは面白く感じ、高い支持を集めているのです。

機種選定をする際にスペック、ゲーム性、演出等、それぞれどのような意図で作られているかを考えるようにしてみて下さい。それらがしっかりと一致していなかった場合、その機種の結果が芳しくないことは少なくありません。

◆プロフィール
小島信之(こじまのぶゆき)
トビラアケル代表取締役

2018年まで首都圏、静岡、大阪に展開するホール企業で機種選定を担当。2019年に独立し、その分析力を活かしエンタープライズの全国機種評価等を開発。現在はメーカーの遊技機開発、ホールコンピュータの機能開発など、幅広い分野に携わり、変態的なアイディアを提供している。馬と酒とスワローズをこよなく愛する。

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