当社では、プレイヤーの「心理状態」をデータ化した独自の指標を重視している。特に遊技時間はプレイヤーの体験から生成されるデータであり、その心理状態が如実に反映されやすい。プレイヤーが「面白さや魅力を感じるほど、遊技時間が延びる」というロジックが存在しているからだ(文=𠮷元一夢/㈱THINX 代表取締役)。
加えて、プレイヤーにとって「勝ち体験」も重要な要素であり、投資に対するリターン、すなわちどれだけ高い水準の「勝ち体験」を得られたかが、遊技時間などのプレイヤーの「遊びかたの質」に大きな影響を与える。
当社ではこの「勝ち体験」を「Rv(リワードバリュー=報酬値)」という独自の指標で定量化している。基本的にRvの数値が高いほど、その機種の「勝ちの魅力」が高いとされる。たとえば、2024年にリリースされた『Pまどか3』は、Rvが7,666という数値を記録しており、10月上旬までのデータでは、Rvが7,000を超える機種は他に1機種しか存在しない。さらに、6.000を超える機種もわずか5機種に限られている。
このRvは、遊技時間との間に強い相関関係を持つ(図1参照)。特に「高射幸カテゴリー」に属する新機種の導入7日間のデータを分析すると、Rvと遊技時間の相関関係が非常に明確であることが示されている。
また、この相関関係は単なる統計上のデータではなく、長い歴史を通じて普遍的なものだ。「勝ちの魅力」はプレイヤーの心理に大きな影響を与える要素であり、その重要性がデータとして裏付けられている。
一方で、「勝ち金額が高ければ遊技時間も長くなるのではないか」という仮説も立つが、実際のデータでは勝ち金額と遊技時間の間に相関関係は見られない(図2参照)。これは「勝ち金額が高くても、勝つためのリスクが高すぎる」とプレイヤーが感じるためであり、勝ち金額と勝ち体験を得る可能性のバランスが取れていないことが要因だと考えられる。
「勝ち率」と「勝ち金額」のバランスが重要で、バランスを定量化する指標がRvとなる。実際、Rvが高いほど遊技時間も長いというデータの通り、Rvはプレイヤーの心理状態と密接に結びついている。
今後は、「e機×LT」に大いに期待している。同カテゴリーのRvは現行機の中で最も高くなりやすく、プレイヤーの心理をポジティブな方向に導きやすいと考えられる。特に、年末商戦機の『e LT大工の源さん』と『e LTゴジエヴァ』は注目に値し、Rvの高さがどのように遊技時間に影響を与えるか、非常に楽しみな機種である。
◆プロフィール
𠮷元 一夢 よしもと・ひとむ
株式会社THINX 代表取締役。データアナリスト・統計士・BIコンサルタント・BIエンジニア。文部科学省認定統計士過程修了。現在は、IT企業のシステム開発やソフトウェア開発にアドバイザリーとして従事しながら、パチンコホール・戦略系コンサルタントとして活動。