【コラム】パチンコプレイヤーはラッキートリガー機を選ぶのか~リスクとリターンのバランス~

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パチンコ市場におけるゲームチェンジャーの秘密兵器として期待されたラッキートリガー(以下、LT機)がローンチされた。本当に市場の景況感を引き上げる飛び道具となるのか、その辺りについてまとめることとする(文=𠮷元一夢/㈱THINX代表取締役)。

まず、個別のLT機の評価を行う上でどの属性集団として括るのかがポイントになるが、当社では、遊技単価を基準とした属性集団で区分を行った。その基準に基づくと、LT機はミドル機と同レベルの遊技単価となるため、「ミドル機と比べてどうなのか」という文脈に従って判断を行った。

上図は、(x軸)に「勝ち金額」、(y軸)に「勝ち率」を配置し「Rv」をバブルのサイズ(z)で表した「バブルチャート」。プロットされているバブルは、導入1週目の結果を図示したもの。
Rv・・・RewardValueの略称で報酬値という意味。「勝ち率×勝ち金額」の算術で、遊技機の魅力のひとつとなる「勝ちの魅力」を総量値として表したデータ。

さて、LT機とミドル機の勝ちの魅力をバランスシートで比較してみると、「LTアリア」だけがミドル機に近い勝ち体験ができる唯一の機種であることがわかった。次いで、「LTオーバーロード」もそれに近いものはありそうだが、勝ち率が極端に低くなったことからミドル機よりも遊びにくい状態であることが示されている。

しかしながら、それでもこれはまだマシな方で、それ以外のLT機は残念ながらミドル機に比べると大きく劣る結果となっている。

実は、それ以外のLT機がプロットされているポジションは、現行のライトミドル機並みのレベルとなり、これだと勝ちの魅力としては物足りなさがあると言わざるを得ない。

したがって、「リスク(遊技単価)はミドル機並みであるもののリターン(勝ち体験)はライトミドル機並み」という事となってしまうので、いまのところの評価としては、市場の景況感を引き上げるほどのインパクトはないに等しい。

つまり、LT機は“リスクとリターンのバランスが悪い状態”と言えるので、ミドルを嗜好するプレイヤーは、LT機ではなくミドル機を優先して然るべきだと考えられる。
一方で、ヘビーな遊びとは別軸の存在となる“ライトな遊び”にも注目が必要だと考えている。なぜなら「LT北斗」が良好な推移を示しているからだ。

同機の遊技単価(1.7円)であれば、ライトミドル並みの勝ち体験であったとしてもリスクがライトミドル並みなのでバランスが良い。したがって、「ライトな遊び×LT機」という軸では「LT北斗」のような機種をベンチマークしておく必要があるだろう。

こうしたファクトに基づけば、プレイヤーのウォンツ(欲求)を満たせるバランスの良い機種が上手くいっていると言えそうである。

今後は「ヘビーな遊び×LT機」、あるいは「ライトな遊び×LT機」、どちらが支持を集めるのか注目しておきたいところであるが、個人的には「ライトな遊び×LT機」に期待している。

 

◆プロフィール
𠮷元 一夢 よしもと・ひとむ
株式会社THINX 代表取締役。データアナリスト・統計士・BIコンサルタント・BIエンジニア。文部科学省認定統計士過程修了。現在は、IT企業のシステム開発やソフトウェア開発にアドバイザリーとして従事しながら、パチンコホール・戦略系コンサルタントとして活動。

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