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マースエンジニアリング 江藤征弘 代表取締役社長
/EVOALLが未来を創造

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今年、創立50周年を迎えるマースエンジニアリングが5年ぶりに新製品発表展示会を開催する。これまでに数多の革新的な製品を生み出してきた同社が描く新しいホールの未来像とは。江藤社長に展示会の意気込みを聞いた。

 

創業精神を継承、5年ぶりの展示会

──貴社は今年、創業50周年を迎えました。どのように受け止めていますか。

節目の年ですが、50周年はあくまでも通過点だと思っています。創業当時からの「チャレンジ&フロンティアスピリッツ」を受け継ぎながら、常にホール様やユーザーの声に耳を傾け、新しい発想を取り入れ、マーケットインとプロダクトアウトを融合させ、お役立ちできる製品を出していく──。それをひたすら愚直に、真面目に実践していくことに変わりありません。その一方で、50年間、ホール様に支えられてきましたので、しっかりとそのご恩に報いていきたいと思っています。

50周年のロゴマーク。マースグループ全体を1本の大樹に見立て、100年企業へと成長していく願いが込められている。

──その節目の年に72日から全国4会場で新製品発表展示会を開催されます。展示会は5年ぶりとなり、意気込みも強いのではないでしょうか。

ここ数年はコロナ禍があり、また会社的にもスマート遊技機専用ユニットへの対応を優先しなければならない状況でした。とはいえ、この間も新しい製品開発のアイデアは持っていましたので、新型コロナが5類になり、スマートユニットの対応も落ち着いてきたこのタイミングで、発表展示会を開催する運びとなりました。ホール様においてはここ数年、スマート遊技機への対応や新紙幣への対応などがありましたが、ソフト的に違ったサービスやネットワークをご提案することで、さらに数年先の世界が見えるようにできたらと考えています。

ただ、この展示会が全てというわけではなく、あくまでもプロローグ的な位置づけです。次世代に向けて、まずは第一歩を踏み出すことが重要だと捉えています。製品の中身についてはどんどん変えていきたいと思っています。

──今回の展示会のテーマは「進化」×「真価」×「深化」です。どのような想いを込めたのでしょうか。

製品は当然、進化しつづけなければなりませんが、進化するだけではなく、本当に満足していただける真の価値を提供することが重要です。最終的にはお客様との関係を深化させることで、お客様満足の質や量、中身に応えていきたいと考えています。

次世代のホールに必要な新システム

──今回の目玉製品となる新シリーズ「EVOALL(エヴォール)システム」は、どのようなシステムでしょうか。

スマートユニットをはじめ、コンピュータ、会員管理、POSなど、全ての製品によるトータルソリューションです。コンピュータと会員管理はクラウドの環境になり、機能拡張もされています。

このシステムを提案する背景は、この先、ホール様のハードが減っていくと思っているからです。我々がパーソナルPCシステムを提供してから玉箱や玉計数機がなくなったように、スマート遊技機の登場でさらにハードは集約されていくでしょう。数年先、数十年先に、本当にホール様で必要になる製品やシステムは何か。それは、これまでとは違ったサービス、違った付加価値を提供できる製品やシステムであり、今回の「EVOALLシステム」はそれを実現するシステムにしたいと考えています。

【EVOALL(エヴォール)シリーズ】
エヴォールは「進化」×「真価」×「深化」が作り上げる業界唯一無二のトータルソリューション。利便性・効率化・省力化を徹底追求し、売上・利益を最大化する。

──具体的にはホール営業にどういった点がメリットになりますか。

まずはホール様の時間、手間を極力、減らしていきたいというのが我々の考えです。

例えば、設備機器のバージョンを更新したり、設定を変更したりするにも、どうしても手間や時間が取られてしまいます。現場で作業するのであれば、ホール様にもその時間を取ってもらわなければなりません。クラウド化することで、基本的には自動バージョンアップ機能となり、手間なく、常に最新の状態でシステムが活用できるようになります。新機能を活用いただくためには、インストレーションも重要になりますが、しっかりサポートできるようにリモート接続によるインストレーション環境も準備しています。

──場所や時間に縛られず、有効に使えるのは、忙しいホール関係者にとって有難いと思います。

保守・メンテナンスを行うサポートセンターについても拡充を図っていきます。構想としては、オペレーティングセンター化し、そこから各ホールの状態をすべて把握できるような体制です。イメージ的には、空港の管制塔や首都高速の管理センターのように全てを可視化できるような状態ですね。オペレーティングセンターを機能させれば、サービス員が現場に行く時間が不要になり、問題点も人を介して吸い上げていくよりもスピーディに状況を把握できるようになります。結果的に短時間で対処することが可能になりますから、お客様にとっても良いはずです。

そのサポートセンターの人員を拡充しながら、AIの活用も図っていきたいと考えています。AIの活用では、最終的に人がどう使いこなすか、AIを育てるかが非常に大事になります。AIから導き出された結果を、人が主体となって判断できるように人の感性が磨けるシステムを構築していきたいと思っています。今は人海戦術で対応する時代ではありません。限りある人材を大事に有効に生かせるシステムを目指しています。

──クラウド化することでセキュリティ性も上がるのでしょうか。

クラウド上にデータを残しておけば、災害が起こった時などにデータが消失してしまうことが防げますし、さらに様々なサービスが提供できるようになります。ハードを作って提供することは簡単ですが、管理するシステムを作っている当社としては、最後のサポートまでしっかりフォローしたいと考えています。そこから新しい気づきや発想が生まれたら、また新しいハードを作っていきます。

スマートユニットとセルフ交換システムにも新作

──その他、新しくなる設備機器はありますか。

スマートユニットをモデルチェンジします。当社の既存スマートユニットは40ミリタイプで、遊技機の右、左のどちらにも設置できるというコンセプトですが、そのコンセプトは変えずに、見た目と操作性、利便性、セキュリティ性などをアップさせています。液晶タイプは情報をたくさん提供できますが、昨今の遊技機の大型化により、ユーザーにとって操作がしにくくなってしまうこともあります。

一方で、テンキータイプはスッキリとしたシンプルな形であるが故に、操作は簡単ですが提供できる情報が限られます。今回はそうした点を考慮して、液晶タイプとテンキータイプに、もう一つのバリエーションを加えた感じです。こちらもEVOALLシリーズとして提供していきます。

セルフ交換システムにも新製品を提案します。セルフ交換POS、精算機は、ユーザーが最後に触れる重要な製品です。ユーザー目線と従業員の両方の使いやすさを追求しました。

──江藤社長は2年前の社長就任時に、若い社員の力をもっと引き出したいとおっしゃっていました。今回の各製品には盛り込まれていますか。

経営陣があれこれと口を出すというより、社員が自発的に考え、想いを込めて各製品を作りました。「EVOALL」という新シリーズのネーミングや、ロゴのデザインも社員がアイデアを出し合いました。それだけ気持ちがこもっています。展示会ではそうした想いも感じていただければ、嬉しいですね。

スマパチ活用のヒントを提案

──一方、同時開催のセミナーではどのようなことをホール関係者に伝えたいですか。

7月の開催ですので、スマート遊技機の動向が重要だと捉えています。特にスマパチに関しては、まだブレイク前、これから勢いづけるタイミングと言えます。我々の強みである会員分析をもとに、今のCR機を遊技している客層がどうすればスマパチを受け入れてくれるのか。そうした視点を提案し、これからのスマパチ活用の準備をしてもらいたいと考えています。

──最後にホールの方々にメッセージをお願いします。

今こそ業界の将来をみんなで考え、努力していく時だと感じています。我々のモノづくりのDNAは、マーケットインとプロダクトアウトの2つの精神にあります。今回の展示会でも、各製品のいいところは残しつつ、革新的なことも取り入れています。ぜひ業界の将来につながる最新システムに期待していただければと思います。

えとう・まさひろ
1969年3月生まれの55歳。1996年7月に㈱マースエンジニアリング(現:㈱マースグループホールディングス)に入社。2013年4月に首都圏営業部長に就任。その後、2018年10月に現:㈱マースエンジニアリングの首都圏営業部長、2019年4月に執行役員東京営業部長、同年6月に取締役東京営業部長、2020年4月に取締役(製造・販売担当)などを歴任。そして2022年4月1日、代表取締役社長に就任した。趣味はゴルフ。

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