【コラム】2023年と2024年のスマスロのトレンド違いについて

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2023年のパチンコ・パチスロの販売実績が明らかになっており、パチスロは前年を上回る販売実績を記録しています(参考記事)。ホールの数が減少する中で、パチスロの販売実績が伸びた主な要因は、AT機のメダル機とスマスロへの入れ替えが大きく影響しています。

2023年はスマスロの新台というだけでも売れる土壌ではありましたが、2024年は単にスマスロというだけでは売れなくなると予想されます。今回のコラムでは2023年スマスロの設計トレンドを振り返り、2024年の予想について述べたいと思います。(文=ジェイさん@発信する遊技機クリエーター/J-BEAT合同会社代表)。

スマスロの設計トレンドについて

約1年前に書いたコラム(第1弾機種からみるスマートパチスロ初期の展望)で予想していたように、2023年のスマスロは各メーカーの出玉性能合戦が行われました。これにより、低設定でも差枚2,400枚を超えて、3,000枚、5,000枚と出るようになり、また高設定域に関しても6号機序盤であった「波がなくすぐに設定がばれるような安定した出玉性能の設計」はなくなり、設定6でも荒波で出玉率114.9%をウリにする機械が続々と登場しています。

一方でスマスロの出玉の出し方、つまりは有利区間の使い方がワンパターン化している点が挙げられます。

参考図:2023 年スマスロの設計トレンドのイメージ

トレンドの型としては、通常ATで一定の差枚が出る事をトリガーに、上位ATと呼ばれる高性能のATへつなげて一撃出玉を出すという設計です。

これにより、以前の6号機にはない高性能な数値を実現していましたが、現在は多くのメーカーの機種で高い出玉性能が並んでおり、差別化が難しくなっています。

このような状況の中、2024年の設計トレンドは出玉性能以外の要素での差別化がポイントとなると考えています。

2023年のような一定の差枚を出すことで有利区間切れを目指す(=上位ATにつなげる)のではなく、差枚や有利区間を意識しない仕様設計が重要になってくるでしょう。

6.5号機スマスロの規制では有利区間ランプの点灯義務がなく、有利区間ゲーム数の上限も撤廃されています。これにより、本来はもっと早くから有利区間を意識しない設計が可能でしたが、ハイスペック競争下においてはどうしても差枚切れを意識させる仕様にならざるを得ませんでした。

今後は、この差枚切れをも意識しなくなる事で、より自然な形で有利区間がつながっていく設計が重要になります。実際、メダル機ではすでにこの傾向が見られ、『S沖ドキ!GOLD』『S炎炎ノ消防隊』『Sファイヤードリフト』などがその例です。この方向性でさらに強化された仕様がスマスロにも搭載され、それがトレンドとなる可能性があると考えております。

さいごに

2023年は各メーカーのスマスロが出玉性能を競い合い、射幸性の水準は5号機に匹敵、あるいはそれを超えるレベルに達しました。

これまでは単に出玉性能を高めることで6号機との差別化が可能でしたが、これからはゲーム性での差異が重要になります。

ポイントは「有利区間の終わり方と新しい有利区間の始まりを意識しないゲーム設計」です。2024年は真の有利区間を意識せずに楽しめる、ゲーム性に磨きをかけたパチスロの登場に期待してください。


◆プロフィール
ジェイさん@発信する遊技機クリエーター
J-BEAT合同会社代表

発信するプロ遊技機クリエーター兼ライター。過去遊技機メーカー3社で勤務。在籍中に10数機種の遊技機開発に携わる。現在は法人を経営しつつ、フリーのクリエーターとして遊技機開発に従事。また、メーカー所属では出来ない発信、評論活動を行っている。
X(旧Twitter):https://twitter.com/jsan65536

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