失敗しない売り場プロモーション㉔(文=野島崇範/株式会社プラスアルファ専務取締役)
地域1番店と2番店の広告戦術の違い
店舗の熱意をお客様へどのように伝えれば良いでしょうか? 一般的に、島入口装飾/島上タペストリー/床装飾/幕板装飾など施工が必要な大きな告知物を使用して、店舗のおすすめ機種を明示する場合が多いです。
果たしてこの取り組みは正しいのでしょうか。広告宣伝費が潤沢にある地域1番店なら、私はこの取り組みを推進します。しかし地域2番店以降の広告戦術としては適切ではありません。地域2番店の広告戦術のひとつは広告の活動量を増やすことです(※今回は割愛しますが、ランチェスター戦略から広告戦術を導き出すと、地域1番店および地域2番店の広告戦術は全く異なることが分かります)。
つまり、地域2番店が広告の活動量を増やすということは鮮度プロモーションを駆使するということです。決して大きな告知物を完全否定したい訳ではありません。施工の必要な大きな告知物を2週間~1ヶ月以内に変更する余力があるなら、地域2番店以降でも大きな告知物を活用して鮮度プロモーションを駆使することは可能です。
しかし、広告宣伝費が削減され続ける時代には、実情はなかなか具現化できない取り組みです。おすすめ機種を盛り上げるために施工して2~3ヶ月以上変化なく、同じ広告の状態で運営しているお店が圧倒的多数です。
言葉だけでなく行動で熱量を示す
では、地域2番店以降のお店が鮮度プロモーションを駆使するためにはどうすれば良いのでしょうか?
それは座る場所を中心に小さな告知物でおすすめ機種の鮮度プロモーションを仕掛けることです。言葉で「おすすめ」と示すだけではなく、貼り替えるという活動量で競合他店とおすすめ機種に対する熱量は全く異なることを示す必要があります。脳科学としても、いつもと違うという状態を広告で演出することは脳が好む状態を作り上げます。人間の信頼関係の構築と同様に、言葉ではなく行動で示すことで信頼は増します。
仕掛けの目安はグーグル検索10万
最後に、鮮度プロモーションの具体的な企画方法を解説します。鮮度プロモーションを仕掛けるなら、どのような仕掛け方でも良いのかと言われると、それは違います。顧客の欲求に合わせることが重要です。
お客様目線から逸脱してしまうお店がやりがちなのは台数が多いという理由から広告を練ることです。前回のコラムで『Pかぐや様は告らせたい』の取り組みを記載しましたが、その理由はスマスロのエヴァンゲリオンや『転生したらスライムだった件』より、『Pかぐや様は告らせたい』が最もGoogleにおける検索数が多かったからです。ほどんどのパチンコ店はスマスロのエヴァンゲリオンや『転生したらスライムだった件』の2機種を広告で強化していましたが、顧客欲求とは異なります。
例えば、今回で言えば『スマートぱちんこソードアート・オンライン』のGoogle検索数が715,700という数値をたたき出して伸びています。そのため、スマパチの『ソードアート・オンライン』で鮮度プロモーションを仕掛けます。ソードアート・オンラインであれば、11月7日はゲームクリアした日なので、それを起点におすすめ機種プロモーションを実施するなど、まずは導入される検索ボリューム数を確認して、広告の鮮度プロモーションを実施するかどうか判断してください。目安はGoogle検索10万以上です。
そして、次にマインドマップというお客様が機種に対してどのような文言を調べたのかという図から企画を練ります。お客様の欲求は全てネットの中にあります。
個人の感覚に頼った時代は終わりました。科学的に情報発信する時代です。
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◆プロフィール
・野島崇範(のじま たかのり)
1983年三重県生まれ。北海道教育大学卒。全国のホールを年間1,000店舗以上調査し、その中から繁盛店に共通する法則を見つけ出し「伝達力」と定義。「伝達力」調査の分析に基づき、お客様立場の徹底と継続の重要性を、支援先ホールの全スタッフと共有する。また、売り場ランチェスター戦略の第一人者として、科学的に売り場の支援を実施。売り場の書籍「あなたの売り場、太っていませんか?」を発売。