日本の産業はDX(デジタルトランスフォーメーション)を進め、テクノロジーの導入で効率化と競争力の強化を図っている。特に、サイボウズのクラウドサービス「kintone(キントーン)」はDX戦略において注目されているが、パチンコ業界内での活用はまだ十分ではない。
パチンコ業界内においてクラウド型のデータ管理システム「P-BRAIN」を提供する㈱ピープレインはこのほど、「kintone」とのAPI連携を実現した。今後はホール営業(経営)で必要となるデータが「kintone」上でも活用できることとなる。
そこで今回、ピーブレインの中村湖太郎代表取締役社長と、「P-BRAIN」×「kintone」のシステム連携を手掛けた ペパコミ㈱の小川喜句(はるく)代表取締役に、システム連携の経緯や、システム導入時のメリットなどを聞いてみた。
フォーマットの異なる経営管理情報を一元化
――システム連携の経緯について教えてください。
ピーブレイン中村代表取締役社長(以下、ピーブレイン中村) 「P-BRAIN」は営業に特化したシステムとして長年やってきましたが、ここ数年でパチンコホール様でもDXを推進する流れもあり、「データを一元管理したい」というご要望が増えてきました。
具体的には、月間の営業報告書をソフト上で作成したい、PLを表示して欲しい、日報や小口現金の管理を行いたい――などです。
しかし、こういったデータの一元管理は10社あれば10通りあり、法人毎に自社フォーマットで管理しており、全法人で同一フォーマットを作成すると言うのは不可能に近かったのです。 クライアントからの要望に、柔軟に対応できるものが作れないか? 色々と情報を集め試行錯誤する中で出会ったのが「kintone」であり、ペパコミ様でした。
ペパコミ小川代表取締役(以下、ペパコミ小川) ピーブレイン様から、パチンコホールの日々の業務やデータ管理の話を聞いた時は、データの多さと細かさに驚きました。と同時に、これだけ多くのデータを管理しながら日々業務を行っているのであれば、「kintone」で多くのことを解決できるのではないかとも感じました。
ピーブレイン中村 実際のパチンコホールが、日々の営業を行っていく中で使用しているデータや資料は多岐にわたります。大手ホール企業様では自社でERPやBIツールなどを導入し、データの一元化を図っているケースもあります。しかし、ほとんどのホール企業様は一元化できていないのが現状です。
例えば、営業側が使う指標、経理側が使う指標が異なった状態で経営が行われており、そのことで現場スタッフの二重入力などの手間が増えているという実態もあります。
――「kintone」で、どのように問題改善のアプローチができるとお考えですか?
ペパコミ小川 営業データはピーブレイン様が強みとしている所なので、そこのデータ管理は問題ない一方、会計部分は法人によってバラバラのため、企業に応じて柔軟に対応する必要があると思います。
多数のシステムを一元管理したいという相談は弊社にも数多くありますが、背景には経費精算はあのソフト、勤怠管理はこのソフトと言ったように、単一課題を解決するソリューションが世に多く出回っているという状況があります。
これらは、目先の効率化という点では良いことですが、その先に待っているのはデータや業務の一元化ができていないという新たな課題です。働き方やツールの使い方が多様化している昨今、企業が必要とする情報の管理方法を変えつつ、かつ一元化をしていくことが求められています。これに対して「kintone」は手前味噌ですが、非常にフィットしていると思います。
システム改修も柔軟に対応、コストも安価で
――業務や情報を一元管理できるという点が、「kintone」の大きな強みということですね。
ピーブレイン中村 本当にその通りだと思います。パチンコ業界でもDXと言う言葉がよく聞かれるようになりました。まさに今、小川様が言われたことが、この業界でも求められていると思います。
ただ、DXを行なうためにはコストがかかるとも聞きます。自社でERPやBIツールを数千万円かけて導入できる資金力のある大手企業様は良いかもしれまんが、ほとんどのホール企業様は、コストを簡単に負担することは難しいのが現状です。
ペパコミ小川 従来のシステム開発はスクラッチ開発と言って、完全にゼロからシステムを構築し、長い工期と高い予算、またシステム改修でさらに多額の金額が追加されるなど、コスト負担が大きくなりがちでした。
しかし現在では、そのような手法が見直されつつあります。先ほどもお話させて頂いた通り、働き方の多様化や時代の変化もあり、柔軟なシステムによる経営改革を行わなければ、ホール企業様に限らず生き残れない時代になりました。そのため、簡単に構築、または改修できるシステムが、より求められていると感じます。
さらに並行して考えなければならないのが、「現場の人が使えるシステムである」という点です。仕様を実現するシステムではなく、”仕様と運用”を両立できるシステムでなければ、システムとしての価値が最大限に発揮されたとは言えません。
「kintone」は、企業様からの要件を整理し、60%ほどシステムを構築したあと、実際にシステムを使ってもらいながら改修要望を洗い出し→改修→運用→改修を繰り返しながら最適化して100%を目指していく構築が可能となります。
簡単にシステム構築ができ、現場の話を聞きながら柔軟にシステム改修を行うため、通常のシステム構築よりも安価に構築することができます。
ピーブレイン中村 最初に「kintone」のランニングコストやイニシャルコストを聞いた時は耳を疑いました。ローコストで工期も短く、現場の要望を聞きながらシステムを構築することができるのが「kintone」であることを私も知りました。同時に、パチンコ業界に非常にマッチしているシステムだと思いました。
ペパコミ小川 スモールスタートが可能で、システム構築後も色々な機能を追加・改修できる点は、「kitone」の強みだと思います。「営業データと会計データを統合した」「次は請求書管理を行おう」「さらに次は勤怠管理を行おう」といった感じで完成したシステムに追加、改修が簡単、かつローコストで可能となります。
――ホール企業様の反響はどうでしょう?
ピーブレイン中村 現在、テスト的に運用して頂いているホール企業様がありますが、「これも作りたい」「あれも作りたい」という要望を1つずつ叶えている状況です。さらには、「弊社も試してみたい」というホール企業も多数あり、やはりニーズは高いと確信しております。
また近年になるほど、ホール企業様においても事業の多角化が進んでいますが、多角化においても「kintone」があれば、全ての事業や業態の管理を一元化できると思います。
ペパコミ小川 中村様から話を聞けば聞くほど、パチンコ業界に「kintone」はマッチしているんだなと感じました。今後は、ピーブレイン様と一緒に「kintone」を、パチンコ業界がより発展するための一助となるよう提案していけたらと考えておりますので、ホール関係者の皆様、是非ともよろしくお願い申し上げます。
――本日は、ありがとうございました。
[お問い合わせ先]
▼P-BRAIN×kintone専用サイト▼
http://pachi-brain.com/
▼ペパコミ株式会社▼
https://pepacomi.com/