【コラム】パチンコのメーカー発表値が信頼できない理由

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先日、某演者の方がX(旧Twitter)にて「メーカーの確率表記方法に悪意がある」的なポスト(旧ツイート)がありましたので、そちらについて、パチンコ機のスペック設計をしている開発者から思う所について本日はお話したいと思います(文=荒井孝太/チャンスメイト代表取締役)

■スペック開発者でも初見で把握不可能なスペックが増えてきた

私も仕事柄、全てのパチンコ機の新台スペックを一通り確認しますが、ここ最近は特にその内部仕様が複雑な台や新たな考え方にて今まで無理だと思っていたことが実現できるようになったスペックなどが多数あったしますので、スペックを一目で理解することが難しいことが多くなってきました。

また、一部のメーカーを除き、多くのメーカーはその機械スペックの情報を全て開示しないことが多く、それが元で正しく判別できないことも少なからずあります。

ただし、これに関しては私個人的な見解としては悪いことだとは思っておりません。私は職業柄全ての新台スペックをチェックしているだけで、一ユーザーとしては新台のスペックをあらかじめ調べはせずに、当日、台に座る前に大当たり確率や継続率的なものを確認すれば何となくイメージが沸きますので、特に何も考えずに着席し打ち始めます。

途中、気になれば台間POPや携帯で当該機種のスペックを確認するぐらいです。内部のシステムやスペックが複雑とかシンプルとか関係なく「打っている時に難しさを感じなければ」何も問題だとは思わないです。

■誤認を誘うようなスペック表記方法はアウト

一方で、メーカー発表値としてユーザーの誤認を誘うような記載方法はアウトだと言わざるを得ません。

極端な例ですが、RUSH中「図柄大当たりはALL3,000発」と記載のみがあったとして、その中身はごくごく稀に発生する図柄大当り時(例えば1/319)は3,000発、RUSH中の大当たりの大半を占める小当り契機の大当たりは対象外だった場合、記載方法としては「少しでもよく見せたい」という思惑があるため、誤認させようとする意図が無かったとは言い切れないと思います。

これが、図柄大当たりと小当たり契機の大当たりの2種類があって、図柄大当たり時はALL3,000発という記載方法なら問題にならないと思いますが、片方の良い情報だけを記載し、不利になると思われる情報のみを記載しなかった場合に、RUSH中は全て3,000発というスペックだ。と言うように誤認させようとしている、と思われても仕方がないことだと思います。

■誤認を誘導させる表記は機械そのものにとってもマイナス

少しでもよく見せたいという思いは理解ができますが、実際にユーザーとして打った時に、体感スペックと全く違うスペックを表記するのはさすがにやりすぎだと思いますし、スペックの期待を裏切られたことになりますので、マイナス感情が余計に増えて機械にとって、ひいては当該メーカーに悪い影響しかないと思います。

今後、メーカー側も一定の倫理観を求められるのは必至ですし、ホール団体としてメーカーに陳情すべき内容でもあると思います。他方で現在のスペックは難解なものが多く全てを記載した場合に逆にわかりにくくなる場合がありますので、何も正しく記載すればよいというわけでは無いと思います。

誰もがわかりやすいスペック表記と言うのは非常に難しい問題でもありますので、まずはスペックを良く見せるために誤認を誘うような表記方法を改めるという所から始めていただきたいと思います。

◆プロフィール
荒井孝太
㈱チャンスメイト 代表取締役

パチンコメーカー営業、開発を歴任後、遊技機開発会社チャンスメイト(https://chancemate.jp/)を設立。パチンコ業界をより良く、もっと面白くするために、遊技機開発業務の傍ら、ホール向け勉強会や全国ホール団体等の講演会業務など広く引き受ける。

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