スマートパチンコ・パチスロ機の登場で注目されているのが、小規模なスマート専門店の存在だ。大型の設備機器などが不要で初期投資を抑えられるほか、レイアウトの自由度の高さから手狭な土地での出店も可能とみられ、新しい業態の一つとして期待されている。一方で、気になるのが採算面だ。オペレーションや入替コストなどを含めて、ビジネスとして成り立つのだろうか。
出店条件は全国水準のアウトが得られる商圏
下の表は、スマスロ70台のスマート専門店を出店した場合の営業を、大手チェーン企業時代に新規出店に携わってきたフリコユラスの吉田真晃社長にシミュレーションしてもらったものだ。初期投資は設備や機械代、家賃、広告費などで約6,260万円、償却を5年とし、その他、月々の家賃や人件費、販促費などの運営固定費、入替費など、実際の営業にかかる諸々の経費も加算した。
稼働アウトを全国ビックデータの平均値7,000枚として、利益率15%、コイン単価3円で試算すると、月間の店舗総粗利は約661万円。運営固定経費や入替費用を差し引くと、月間の経常利益は約52万円を残せる計算となった。
「出店条件としては、全国データと同水準のアウトが得られるような商圏になります。近くに大手の有力チェーンがあるような商圏だと、入替の購入力も高いですし、難しいかもしれません。逆に言えば、駅前の単独店舗のような立地、あるいは競合店があっても購買力の弱い商圏なら、全国のアウト水準を得られる可能性はあると思います」と、吉田社長は分析する。
同時にポイントに挙げているのが、入替回転率だ。全国の平均的な入替回転率は40%だが、スマスロにはまだ固定島がないため、今回は回転率70%で試算。設置台数70台の場合、年間49台、月あたり5台の入替想定となる。
「現実的な話、いわゆるスマパチ海物語やスマスロジャグラーのような機種が出てきて、回転率が全国レベルの40%になって入替コストをグンと下げられるイメージが持てると、ビジネスとして一考の余地があると思います」と吉田社長は指摘する。つまり、固定島の育成が、スマート専門店の成否につながっているといえる。
もっとも、現行の固定島はコイン単価が安く、遊技客が長時間遊べる機種が揃っている。現状のスマスロは比較的コイン単価が高く、多様なスペックが登場してくることも必要だろう。
その他、遊技機台数を100台まで増やすことができれば、月間の固定経費自体は70台時とそれほど変わらないため、店舗全体の利益は月間100万円以上を見込めるという。
これから登場するスマートパチンコだけの形態や、スマパチ・スマスロの併設による営業も当然考えられる。コンビニパチンコといわれるような新しいホール形態が増えてくるのか、引き続き注視が必要だ。