【レポート】大手メーカー決算と西陣廃業から見えてくる「メーカー格差」

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1951年の設立以来、70年余り続けてきたパチンコ事業の終了・廃業を発表した西陣。

去る3月1日、西陣がパチンコ事業の終了・廃業を発表した。同社が70年余りの歴史に幕を下ろした一方で、大手メーカーは通期業績予想を上方修正するなど景気が良さそうだ。この格差はどこから生じているのだろうか。

驚きを持って報じられた西陣の廃業。それもそのはず、同社は『CR花満開』などCR機黎明期の大ヒット機種を世に送り出し、CR機普及を大きく後押しするなど、パチンコ業界発展の礎を築いた背景があるからだ。そんな歴史ある同社でも、遂に業界不況の波に抗えなくなった。

同社は新台の販売に関しては、決して無理をしない堅実な台数を供給してきたことで知られる。言い方はともあれ、細く長く、新台を世に送り出してくれると思っていただけに、今回の措置は残念でならない。

その一方、大手メーカーは景気が上向いているようだ。セガサミーホールディングスでは2023年3月期の通期業績予想を上方修正。SANKYOの2023年3月期第3四半期の連結業績では、売上高1,280億6,500万円で前年同期比82.1%増、経常利益487億7,400万円(同133.9%増)、純利益386億7,000万円(同128.2%増)といずれも大幅な増収となり、同社も連結業績を上方修正している。

さらにユニバーサルエンターテインメントの2022年12月期の連結決算では、経常利益、当期純利益のいずれも前期の損失から黒字転換した。

このように大手メーカーと中小メーカーとの格差は拡がっているといえる。その理由は何なのか。

機械動向に詳しいコンサルタントは「業績好調の要因は、パチンコ・パチスロの販売伸長にある。大きなブランド力を持つ主力機種を筆頭に販売台数を伸ばしたほか、好業績の6.5号機やスマートパチスロ機をいち早く市場投入するなど、業界の潮流に合致した機種販売を行ったことも後押ししたのでは」と分析する。

加えて同氏は「営業力の差も大きい。これに関しては、購入実績を重視する販売や、他の機種もお奨めするような販売など、こうした営業ができない点も、大手メーカーと中小メーカーの格差が拡大している要因ではないか」と話す。

ホールの立場でも、今回の西陣廃業は胸中複雑なようだ。愛知県のホール関係者は「ホール経営を中長期的な視点で考えると、大手メーカーの遊技機を購入せざるを得ない。遊技機を巡っては、売り手であるメーカー優位の構図は未だ健在で、機械代も限られているため、必然的に付き合うメーカーは絞られる。こうした慣習が原因で、西陣のように廃業していくメーカーは今後も増えていくのではないか。それは非常に残念なこと」と心境を漏らす。

今後も大手メーカーを中心にスマパチ・スマスロをはじめとした遊技機の開発競争、営業競争はより激しさを増していく様相だ。その動向いかんによっては、また暗いニュースが業界を走るやもしれない。

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