【特別寄稿】スマート遊技機が見出す小型店の輝く未来
― 田村設計 代表取締役 田村尚志 氏 ―

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田村設計が考える新時代のドミナント戦略

たむら・しょうじ : 1976年生まれ。武蔵野美術大学建築学科卒業。ロンドンのイースト・ロンドン大学建築デザイン学科首席卒業。

スマート遊技機が小型店の出店契機に

昨年末から、スマート遊技機の導入が始まりました。一建築家として、スマート遊技機は新たな時代のホールづくりに欠かせないものになると期待しています。現状、既存島を活用する形で導入されていますが、補給設備が不要のため、個台毎に独立した形で自由にレイアウトを組むことができます。

これにより、これまでの凝り固まった様式や既成概念を取り払った、斬新かつ刺激的な遊技空間を創造することができると考えています。そして、こうした空間には人を惹きつける魅力があります。新規ユーザーの獲得や休眠ユーザーの呼び起こしにも繋がっていくのではないでしょうか。

ここ数年来、ホールは大型化の一途を辿ってきました。スケールメリットを最大限に活かした運営手法や機種戦略で、ユーザーは大型店に大きな期待感を抱くようになりました。一方、それに劣る中・小型店舗を取り巻く環境は厳しさを増し、今回の遊技機入替やコロナ禍の影響も拍車を掛け、その数は日を追うごとに減っています。

今後も依然として大型店舗が出店の軸になっていくとは思います。しかし、これからの時代においては、小型店の新規出店やM&Aによる出店など、新しい出店像を模索しても良いのではないでしょうか。厳しい業況の中では、絵空事に聞こえるかもしれませんが、スマート遊技機の登場によって、いわゆる100台規模の“コンビニ型パチンコホール”と呼ばれる小型店が成立する可能性が出てきた今こそ、こうした思考が輝きを放つ時だと思うのです。

旗艦店+アネックスでエリアでの優位性を高める

小型店の可能性を探る上で重要なのは、大型店と小型店が両立した市場形成です。そのためには、自社で経営する既存の大型・中型店舗を旗艦店と据えつつ、その周辺に小型のスマート遊技機専門店をアネックス(別館)と位置づけ、2~3店舗出店することが有効だと考えます。エリア(商圏)を複数店舗で囲い込み、地域台数で優位に立つ、いわゆる新時代におけるドミナント戦略です。従来よりも格段に低コスト・短工期で出店できる点も、スマート遊技機ならではの特性だと思います。

そして、このドミナント戦略は、エリアにおける優位性の確立だけではなく、従事するスタッフの業務効率化の方向性を探ることもできます。先述の通り、スマート遊技機は補給設備が不要のため、従来機と比べてトラブルや管理工数が少なく、100台程度の小型専門店であればスタッフ1人でも十分に管理・運営できます。大型店を拠点としつつ、エリアの店舗間を行き来するなど、新たなビジネスモデルとして成功・確立することができれば、より小型専門店の可能性は広がりを見せていくことになるでしょう。

田村設計が建築設計・デザインを手掛けた最新店舗の《シルバーバック八代インター店》(熊本県八代市、2022年12月28日グランドリニューアル)。外観は黒を基調としつつ、随所にオレンジ色を採用することで存在感を際立たせている。内装は、ゴージャスかつ上品な造り。地域住民の憩いの場であると同時に、非日常を味わえる極上の空間を創り上げた。

遊技場の本質は変えず新時代の遊技空間を提案

私はロンドンで建築を学びました。そこでは、古くからあるものの本質を見抜き、新しさを取り入れた施設が次世代を創造していく様を目の当たりにしてきました。業界においては、その新しさがスマート遊技機であり、今後はその特性を存分に活かした店舗が、新時代を牽引していくと思います。

我々、田村設計は建築をしっかり学び、その知識や技術の粋をホールづくりに注ぎ込む建築設計集団です。“地域に愛され、人々が集う場所”というホールの本質はそのままに、スマート遊技機だからこそ実現できる、これまでにない新時代の遊技空間をプロデュースしていきたいと考えています。

株式会社田村設計
Tel.052-203-0678
https://www.tamra-ar.com

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