【レポート】先行き不透明感増す、パチンコ、パチスロ機やユニットの供給環境

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依然として、パチンコ、パチスロ機や専用ユニットなどで、パチンコ店の需要の全てに追いつかない供給状況が続いている。主要因の部材不足は一部改善の兆しもあるようだが、部材価格上昇に歯止めが掛からず、供給環境の先行き不透明感が増している。

「今の段階で、2025年に使う分の部材を発注している状況」と眉をひそめるのは遊技機メーカー関係者だ。

ここにきて、一部供給が改善しつつある部材も生じているようだが、パチンコ、パチスロ機製造の全てを満たすことはできておらず、発注から納品までのリードタイムも長期化しているという。

加えて、社会経済活動がコロナ前の状況を取り戻しつつあるなか、エリアによっては、遊技機を製造する工場での人足不足という問題も顕在化しはじめている。

特に、自動車に関わる工場が多い、愛知県を中心とした東海地区で、その傾向が顕著に現れている。「自動車関連工場に、人手が持っていかれている。給与面の条件も、パチンコ業界よりも優遇されているので、当然人はそこに集中する」と険しい表情だ。

世界の半導体メーカーが加盟するWSTS(世界半導体市場統計)が今年6月に発表した今後の半導体市場見通しがある。そこでは、巣ごもり需要が2021年後半から弱含みし、ウクライナ問題や、物価高に伴う個人消費への影響などがマイナス要素とする一方、「IoT化の進展、自動車や産業インフラ分野を始めとした脱炭素・再エネへの取り組みなど、電子機器の高機能・高効率化が進み、半導体金額が上昇している。総合的に需要面でプラス要素が多いことから、2023年までの半導体市場は拡大が続くと考えられる」と予測している。

下に一例として、プリント基板コネクタ生産量と価格推移を示したが、今は様々な部材で価格上昇が続く。製造企業から、安定供給の見返りに設備投資を要求される時もあるという。

「業者によっては、便乗値上げを感じる時もあるが、今の部材屋さんとの関係性を踏まえると、それを強く指摘するのは難しい。引く手数多なので、他に持っていくといわれれば、ある程度の条件なら飲まざるを得ない」と製造コスト上昇に頭を抱える。

どうしても入手が難しい場合は、今後発売を予定している遊技機の部品から補う。「いわば部材の自転車操業状態」と自嘲気味に話す人もいる。

価格上昇に歯止めが掛かる見通しはなく、メーカー関係者は「樹脂や石油などの母材価格が上昇しているが、実勢価格に反映されるのは半年以上先。さらに、決済を米ドル建てで行うケースが多く、円安の影響が今以上に出てくるだろう」と危機感を抱いている。

今年2月のロシアによるウクライナ侵攻後、半導体の供給不足に拍車がかかっているという指摘もある。

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