先日とある方から、「なぜクソ台は生まれるのですか?開発者の方々は初めからクソ台を作ろうとしているわけではないですよね?」と質問されて答えに窮しました。本日は、そんなクソ台と呼ばれてしまっている不遇な台について考えてみたいと思います(文=荒井孝太/チャンスメイト代表取締役)。
まず大前提としてぱちんこ・パチスロの開発者は全員「最高の台」を作ろうと腐心しております。それでもクソ台と呼ばれるものを開発し、世の中に出てしまうことはあるのですが、まずはクソ台と呼ばれるものについて少し考えてみたいと思います。このクソ台と呼ばれるモノですが、その立場によって少し意味合いが違ったりするのではないでしょうか。
例えば、ユーザーからすれば「面白くない台」をクソ台ということが一般的ですが、一方で「愛すべきクソ台」なんて言い方をしたりすることもあります。これは、広く一般的には面白くない台で残念な演出やガッカリする演出も多いが、意外とコアなファンが多く「愛すべきクソ台」と発言している本人が、その台の大ファンだったりすることも少なくありません。
他方でホールからしたらどうでしょうか。クソ台というのは稼働しない台のことを指すことが多いと思います。例えば、お店の平均を大きく割り込む稼働しかしませんが、その台は毎日、常連さんが必ず打ち込み、30分程度しか打たないのですがほぼ大当りしないため、打ち込んだ玉は丸々利益になるといった台があった場合、ホールさんの目線ではこれは果たしてクソ台なのか否か、といった視点があります。
また、メーカーからの目線として、リリースして全くユーザーに支持を得ることが出来ずに、早々にホールから姿を消す台をクソ台と呼ぶことが多いかもしれません。しかし、その台の全国導入台数が5万台と販売面において大ヒットを飛ばし、メーカーの利益に大きく貢献した場合、その台はメーカー目線でクソ台と言えるのかどうなのか。
といった具合にユーザー、ホール、メーカー、それぞれの立場で遊技機を判断することがある上に、ユーザーにおいても一般受けはしなかったけど一部のファンに大きくウケた、極一部の地域で抜群の稼働をした、ある特定の年齢層には大きく刺さった、広く受け入れられることはなかったが、その後のホールにおける島構成やユーザーの意識的に大きく変化があった等、それぞれの置かれている立場や状況によってクソ台か良台かは大きく変わることもあったりします。
ある一方の目線ではあまり良い結果と言うことができないが、反対の目線から見ると意外と悪くない、むしろよくやったという評価になっていることも実は少なくないというのが正直なところです。
勿論、全ての目線において「誰も得をしなかった」「残念ながら失敗だった」というような台があることも事実ですが、今一度いいますが、全てのメーカー、全ての開発者においては「面白い台を作ろう」「ユーザーに喜んでもらえる台を作ろう」という志で台を開発していることは100%間違いありません。
なぜクソ台ができるのか?という明確な答えにはなりませんが、遊技機開発における難しさについて、次回のコラムにて言及したいと思います。
◆プロフィール
荒井孝太
㈱チャンスメイト 代表取締役
パチンコメーカー営業、開発を歴任後、遊技機開発会社チャンスメイト(https://chancemate.jp/)を設立。パチンコ業界をより良く、もっと面白くするために、遊技機開発業務の傍ら、ホール向け勉強会や全国ホール団体等の講演会業務など広く引き受ける。