【コラム】子供向けクイズから「出玉率とユーザー印象」について考えてみる

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突然ですが「真綿1トンと鉄1トンどちらが重いですか?」という、どちらかと言えば子ども向けのクイズ(なぞなぞ)は少し有名です。正解はどちらも同じ1トンなので、真綿も鉄でも同じ重さです。というものですが、厳密な物理学的にいうと空気中には浮力があるので真綿の質量の方が大きくなるように計測してしまうという大人の理系の方がマジレスしてしまうというクイズでもあります(笑)

閑話休題、これを遊技機に置き換えたような話があります。

・ぱちんこ機ハイミドル突破型スペック
・ぱちんこ機甘デジのマイルドスペック

両機種とも出率が110%だとすると、どちらの方が出玉が沢山出るでしょうか?といったものです。勿論ですが、「期待出玉は同じ」というのが答えですね。出玉率というのは、「払い出し個数」(セーフ)/「発射個数」(アウト)×100%によって求められるものですよね。そのため、ハイミドルだろうが、ライトミドルだろうが、甘スペックだろうが、ハネモノだろうが、普通機だったとしても発射個数が同じなのであれば払い出し個数、すなわち獲得できる玉数は同じになるはずなのです。

では、突破型ハイミドルとマイルド系甘デジ、同じ期待出率110%だったとして「どちらがより打ちたいですか?」と問われれば、多くの方は「ハイミドル」と答えるのではないでしょうか?

出玉率110%というのは、一般的には「ユーザーが勝てる」状態です。もし負けたとしても期待出率が110%ということがあらかじめ分かっているのであれば、「今日は運が無かった」と思ってもらえるのではないかと思います。これはパチスロの設定6などが分かりやすいですよね。

パチスロの設定6は出率110%前後の設計値が多いかと思いますが、設定6をつかんだユーザーは終日打ち込むことが多く、仮に負けたとしても「今日は6掴んだけどヒキが悪かったな」という方が多いとは思います。勿論、悔しくて夜も眠れないかもしれませんが(笑)

ともなれば、ぱちんこ機においても「いつもより勝てそうなチャンス」の場合、より一撃の出玉性能が高いと思われるハイミドル機を選択してしまうのは世の常かもしれません。一方、突破型ハイミドル機ともなれば、実質的なRUSH突入率は1/500を下回ることも多く、平均的に大当たりを引いたとしても終日打ち込んで平均的に3回もしくは4回RUSHに突入させることができれば良い方であるとも考えられますので、確率的に収束しにくい側面があります。

一方、一度でも連チャン回数が平均を上回れば、一気に大量出玉を獲得できる可能性もあるわけです。逆にマイルドな甘スペックであれば、朝から終日打ち込んだ場合、かなりの数の初当たりを積み重ねることが可能であるがゆえに、確率が収束しやすい側面があります。

このことから、同じ出率であったとしても、スペック構成や確率によってユーザー印象が全く違うものになる、ということがご理解頂けるのではないかと思います。

全ての機械を一律に運用するのではなく、スペック構成や確率によってユーザーの印象は全く別のモノになりますので、単純に出玉率を上げれば良いというものでは無かったりします。昨今は、様々なスペックがリリースされておりますので、それぞれのスペックに合わせた運用というのを取り入れてユーザーに少しでも満足頂けるように心がけたいですね。

◆プロフィール
荒井孝太
㈱チャンスメイト 代表取締役

パチンコメーカー営業、開発を歴任後、遊技機開発会社チャンスメイト(https://chancemate.jp/)を設立。パチンコ業界をより良く、もっと面白くするために、遊技機開発業務の傍ら、ホール向け勉強会や全国ホール団体等の講演会業務など広く引き受ける。

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