パチスロ誕生を知る設定代行の先駆者!
~株式会社メイドインサービス 代表取締役社長 水谷佳介/会長 水谷健一郎

投稿日:2022年4月20日 更新日:

PROFILE●みずたに・けいすけ
1985年9月27日、東京都に生まれる。大学卒業後、総合広告代理店就職。その後、鉄道会社へ2年間出向する。2017年5月、メイドインサービスに入社。2021年5月、代表取締役に就任する。趣味はアクアリウム、ゴルフ。
PROFILE●みずたに・けんいちろう
1949年2月19日、静岡県で生まれる。大学卒業後、大手機械メーカー就職。1979年、㈱メイドインサービスを設立する。回胴遊商に10年ほど従事し、この業界を40年以上見守って来た。趣味は読書、ゴルフ。

パチスロ設定代行サービスを業界で初めて手掛けたメイドインサービス。創業者の水谷健一郎会長(以下、健一郎氏)に会社の足跡を、後継者の水谷佳介社長(同、佳介氏)に事業への思いを聞いた。

国産パチスロ第1号機
『ジェミニ』誕生秘話

時は1970年代半ば。後にメイドインサービスを立ち上げる健一郎氏は、この頃、アーケードマシンを喫茶店などに卸したり、メンテナンスを行う仕事に従事していた。そこで意外な人物と出会う。マックス商事の角野博光社長である。この出会いが、健一郎氏のその後の人生に大きな影響を与えることとなった。

ある日、健一郎氏は、角野氏から遊技機の警視庁への検定申請を頼まれた。その遊技機こそ、後に国産パチスロ第1号機として歴史に名を刻む『ジェミニ』だ。

当時、海外のスロットマシンの輸入販売などを行っていた角野氏は、独自にオリジナルのスロットマシンを開発した。

しかし、警視庁への検定申請は難航を極めた。健一郎氏が回顧する。

「警視庁の担当者からは、技術介入性の搭載が求められるなど、なかなか許可が降りませんでした」。

その後は試行錯誤の日々。結果、生まれたのがストップボタンだ。回転するリールをストップボタンで止めるという遊技を加え、技術介入性の担保に成功した。

風営法に適合した日本オリジナルのスロットマシンの実現に大きく関与した健一郎氏は、そのままパチスロ業界との関わりを深めることとなった。

1979年に設立したメイドインサービスは、『ジェミニ』の販売を皮切りに、パチスロ機の販社として事業を推進する。

当時のパチスロ営業は、今では信じられないエピソードのオンパレード。その一部を健一郎氏は懐かしそうに語る。

「この頃のパチスロは、正確に目押しするとボーナス図柄が揃ってしまうため、巧い人はほぼ勝ててしまいました。あるホール様の新装に立ち会ったところ、割数が初日は3割、次の日は7割、その次の日は13割と、ホール様の思惑と真逆の出方をしたなんてことも。お客さんが勝つのを阻止する事に頭を悩ませましたよ」。

メーカー各社による開発努力の結果、パチスロ機はその後、ボーナスや小役の抽選方式を変更。目押しのみでボーナス図柄が揃うという問題は、ひとまず解消した。また、ホール側が利益をコントロールするため、新たに設定機能を搭載するなど、確実に進化を遂げていく。

『ジェミニ』の新装オープン時の風景。健一郎氏の話によると、当時のパチスロ機はパチンコ機とサイズが異なるため、
導入するためには、根本的にシマを入れ替える必要があった。また高価(1台70万円程度)だったこともあり、
ホールへの本格的な普及には時間が掛かった。

 

業界初!
設定代行サービス

設定は当初、ホールに浸透しなかった。大半のホールがどう扱っていいのか分からなかったためである。中には、各台の設定をサイコロを振って決めるなんていう、ある意味、牧歌的な手法で営業するホールがあったとも言う。

この状況を目の当たりにし、健一郎氏が動いた。知人である教授の協力を得て、設定代行サービス「ASシステム」を開発したのである。1989年のことだ。

コンピュータの普及が進んでいない当時にあって、いち早く、テクノロジーを活用し、業界初の設定シミュレーション機能を実現した。

前述の通り、ホールの設定ノウハウが低かった時代。3店舗から始めた設定代行サービスだが、またたく間に100店舗近くにまで契約店舗が増えた。健一郎氏自身も、全国を飛び回る日々が続いた。

設定代行やコンサルティングサービスはその後、パチスロ機の販売に変わる同社のメイン事業に発展した。また社業の傍ら、健一郎氏は、回胴遊商の運営にも初期から関わり、長く理事を務めるなど、パチスロ業界の発展にも寄与。今では、パチスロ業界の黎明期から発展期を知る貴重な生き字引の1人に数えられる。

現在、同社では設定シミュレーションソフトの販売や、パチスロ総合情報サイトの運営など、長年培ったパチスロ営業に関する豊富なノウハウを生かした事業を続けている。

新社長就任
「ホール様とともに成長を」

時は流れて2021年、健一郎氏は後継が育ったと判断し、会長に退く。「引き続き、業界の役に立てる会社でいて欲しい。退くからには、会社のことに口を出すつもりはありません」と、次世代に後を託した。

そして、新社長に就任したのが息子の佳介氏だ。同氏は広告代理店での勤務を経て2017年に同社に入社。キッカケは健一郎氏との会話だ。健一郎氏は今後の事業が発展するためには外部からの視点も必要と考え、ある時、佳介氏に話を切り出した。佳介氏は転職に当たり迷いが無かったと言えば嘘になるというが、最終的に“挑戦”への道を選択した。

前職での経験もあり、佳介氏が特に力を注いでいるのが、マーケティング分野だ。ホール業界が持続的に発展するためには、どうすれば良いか? 答えを探るべく参考としたのがアメリカのカジノ業界である。アメリカのカジノ業界では施設規模に関わらず共存関係が成り立っており、観光客向け、地域住民向けなど、各施設が役割を認識し、その役割に応じた運営を行っている。
「資金力や機械性能に任せたパワーゲームの時代は終焉を迎えました。ホール様は、勘や経験だけに頼るのではなく、しっかりとした自店舗のデータエビデンスに基づいたパチスロ運用を行う事で、競合店との差別化に成功し、規模に関わらず共存する事が出来るのでは」と主張する。

メイドインサービスは、会社設立から既に40余年が経過した。業界への恩返しも含め、「これからもホール様とともに成長していきたい」と意欲的な姿勢を示す佳介氏。その視線は、この業界の可能性を的確に捉えている。

株式会社メイドインサービス
【所在地】東京都府中市日鋼町1-1 ヒューリック府中タワー 3F
【設立】1979年4月
【事業内容】パチスロ運営コンサルティグ事業、パチスロ運用セミナー・人材育成プログラム、パチスロ設定シミュレーョンソフト開発・販売・運営、遊技機メーカ販売支援・開発支援事業、パチスロ機販売・パチスロ関連機器販売、パチスロデータ提供サイトなどのWEBサイト運営

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