政府は3月25日の閣議で、ギャンブル等依存症対策推進基本計画の変更を決定した。ぱちんこの取組では、自己申告・家族申告プログラムの運用改善と利用促進に向けた広報の強化、相談体制の強化及び機能拡充のための支援、地域連携の強化など、更なる対策の強化を求めている。
「広告・宣伝の在り方」では、必要に応じて、毎年度、注意喚起標語や掲載方法の見直し等を検討するよう求めているほか、普及啓発の取組として、特に遊技者の家族に対し、相談窓口の紹介を含め、早期に相談支援に繋がるよう活動を推進するよう追記している。
「アクセス制限」の取組では、自己申告・家族申告プログラムの運用改善と利用促進に向けた広報の強化が求められた。
具体的には、①新たに自己申告・家族申告プログラムに関する新たな共通標語デザインを策定・活用してプログラムを周知するなど、プログラムの利用促進に向けた広報の取組を強化し、②2024年度までにチェーン店において一斉申告を可能とする手続ガイドを作成するなど、個別店舗に対して申込みをしなければならない現行制度の負担の軽減を行う、③将来的には各都府県方面遊技業組合や隣接都府県方面遊技業組合内における複数店舗への一斉申告を可能とするシステム構築を検討する、とした。さらに、申告対象者の把握を容易にするための個人認証システム等の活用について検討することも加えている。
「施設内の取組」では、引き続きATM及びデビットカードシステムの順次撤去等の推進や、出玉情報等を容易に確認できる遊技機(いわゆるスマートパチンコ・スマートパチスロ)の導入に向けた検討が求められている。
「相談・治療につなげる取組」では、依存問題に取り組む民間団体等への助成や、依存症専門医療機関等の情報を業界紙、業界団体のサイト等に掲載すること、リカバリーサポート・ネットワークの相談体制の強化や機能拡充のための更なる支援を促している。
「依存症対策の体制整備」では、安心パチンコ・パチスロアドバイザー制度の強化として、登録アドバイザー制度の充実や遊技者の家族支援に係る内容の充実、受講済みアドバイザーへの更新講習の実施の検討を追加している。更に、「地域連携の強化」の取組を新たに追加。依存症に関する相談拠点等との連携の強化を図るため、都府県方面遊協で相談窓口が一覧できる広報物を作成するなどの取組を求めており、依存症対策における組合の役割も増えていくことになる。
以下、新しい基本計画で示されたぱちんこの取り組むべき具体的施策。
第1 ぱちんこにおける広告・宣伝の在り方
1 全国的な指針を踏まえた広告・宣伝の抑制
【目標と具体的取組】
ぱちんこ業界は、令和元年度に策定した全国的な指針に基づき取組を推進するとともに、毎年度、その取組状況の調査を実施し、その結果を踏まえ、必要に応じ標語や掲載方法の見直し等を検討。
2 普及啓発の推進
【目標と具体的取組】
ぱちんこ業界は、啓発週間やSNS等を効果的に活用し、以下の取組を推進。
○年間を通じ、青少年を含め、広く一般人に依存問題に関する普及啓発活動を推進。
○遊技者の家族に対し、早期に相談支援につながるよう普及啓発活動を推進。
○ WEBを中心としたフォーラム、講演会等を開催。
○健全な遊技の在り方に関する情報発信に向けた検討を開始。
第2 ぱちんこにおけるアクセス制限
1 自己申告・家族申告プログラムの運用改善と利用促進に向けた広報の強化
【目標と具体的取組】
ぱちんこ業界は、以下の取組を推進。
○自己申告・家族申告プログラムの利用促進に向けた広報の取組を強化。
○チェーン店など複数店舗への申告に関する負担軽減を促進。
○申告対象者の把握を容易にするための個人認証システム等を検討。
2 入店した客に対する身分証明書による年齢確認の実施
【目標と具体的取組】
ぱちんこ業界は、令和元年度に策定した実施規程に基づき、身分証明書による年齢確認を確実に行うとともに、毎年度、調査を行い、実施状況を把握。
第3 ぱちんこにおける施設内の取組
1 ぱちんこ営業所のATM等の撤去等
【目標と具体的取組】
ぱちんこ業界は、ぱちんこ営業所内に設置されているATM及びデビットカードシステムの設置状況の実態把握を行いつつ、順次撤去等を推進。
2 出玉規制を強化した遊技機の普及、出玉情報等を容易に確認できる遊技機の開発・導入
【目標と具体的取組】
ぱちんこ業界は、以下の取組を推進。
○出玉規制が強化され射幸性が抑制された新基準に適合した遊技機を用いて、風営適正化法の下、適正営業を推進。
○出玉情報等を容易に確認できる遊技機の導入に向けて検討。
第4 ぱちんこにおける相談・治療につなげる取組
1 自助グループをはじめとする民間団体等に対する経済的支援
【目標と具体的取組】
ぱちんこ業界は、依存問題に取り組む民間団体等に対する助成を行うとともに、毎年度、実績報告書を作成・公表。
2 ぱちんこへの依存問題に詳しい専門医等の紹介
【目標と具体的取組】
ぱちんこ業界は、都道府県等が選定した依存症専門医療機関等の情報を業界紙、業界団体のウェブサイト等に掲載することでより周知を強化。
3 リカバリーサポート・ネットワーク(RSN)の相談体制の強化及び機能拡充のための支援
【目標と具体的取組】
ぱちんこ業界は、RSNに対し支援金を拠出するなど、相談状況に応じた体制の構築への支援を実施するとともに、RSNの研修制度の活用を促進し、依存問題に精通した人材を育成するなどの機能の充実を図る。
第5 ぱちんこにおける依存症対策の体制整備
1 「安心パチンコ・パチスロアドバイザー」による依存防止対策の強化
【目標と具体的取組】
ぱちんこ業界は、登録アドバイザー制度の充実を図るとともに、アドバイザー講習会における遊技者の家族支援に係る内容の充実、更新講習の実施について検討。
2 ぱちんこへの依存防止対策に係る実施規程に基づいた取組の推進
【目標と具体的取組】
ぱちんこ業界は、策定した要綱等に基づく依存対策を徹底するとともに、実施状況についての報告書を作成・公表。
3 業界の取組について評価・提言を行う第三者機関の活用
【目標と具体的取組】
ぱちんこ業界は、毎年度「パチンコ・パチスロ産業依存対策有識者会議」の評価・提言を依存防止対策に積極的に活用。
4 第三者機関(一般社団法人遊技産業健全化推進機構)による依存防止対策の立入検査
【目標と具体的取組】
遊技産業健全化推進機構は、ぱちんこ営業所における依存防止対策の取組状況の点検を計画的に継続するとともに、必要に応じて調査項目や公表内容の充実について検討。
5 ぱちんこ営業所の管理者の業務に関する運用状況の確認とその改善
【目標と具体的取組】
都道府県公安委員会による報告・立入り、遊技産業健全化推進機構による点検を通じて、各ぱちんこ営業所における依存防止対策の取組状況を随時確認し、改善を促進。
6 地域連携の強化
【目標と具体的取組】
ぱちんこ業界は、ギャンブル等依存症に関する相談拠点等との連携の強化を図るため、都府県方面遊技業組合において、相談窓口が一覧できる広報物を作成するなどの取組を推進。