今回は、6号機パチスロのゲームデザインのトレンドについてお話させていただきます(文=ジェイさん@発信する遊技機クリエーター/J-BEAT合同会社代表)。
昨今、『6号機=当たっても最大2,400枚しか出ない』といったネガティブな印象をもたれているパチスロにおいて求められるゲームデザインは、
✅如何に期待感を持ち続けながら遊技していただくか
✅如何に2,400枚を超える出玉獲得の体感をしていただくか
が大きなポイントになります。
目次
①低TY連チャンタイプ
まず挙げられるのが、1度のATの期待枚数は100~200枚程度と抑えられているものの、高い連チャン性能でATが連なって行くゲームデザインです。
直近でいえば、『アラジンA』がこれにあたります。
有利区間ゲーム数が1,500Gとなっていた6.1号機までの基準では、こういった通常とATを何度も行き来するゲーム性は、連チャン中、ゲーム数上限に達して終了するといった大きなデメリットが存在しました。
『アラジンA』は、有利区間3,000Gに対応した機械となり、ゲーム数上限を気にする事はありません。
また本機は、有利区間終了後、即新しい有利区間が開始され、約50%でATが引き戻せる事で連チャン性能を持続しています。そのため、有利区間終了が連チャン終了とはならず、2,400枚を超える性能を実現しているのです。
②天国モード引き戻しタイプ
これとは別に『押忍!番長ZERO』のように、AT自体は従来のまとまった一撃タイプでありながら、AT終了後の天国モードを引き続き遊技する事で、出玉が繋がって行くゲーム性が挙げられます。
6号機初期はまとまった出玉の直後(主に有利区間頭)に、初当たりや出玉性能が冷遇されるといったイメージの機械が多く存在しました。6.1号機以降、通常ベースを下げやすくなった事で、4号機、5号機ではおなじみの天国モードと呼ばれる通常開始約100Gは、初当たり(引き戻し)のチャンスといった設計も十分可能となりました。
『押忍!番長ZERO』においては、ほとんど即ヤメで放置されている台はありません。そしてこの引き戻しを繰り返す中で、2,400枚を超える出玉を獲得する事が実現出来ています。
こういったまとまった出玉を獲得したAT終了後も、引き続き期待感を持って遊技し続けられるゲームデザイン設計も一つのトレンドとなり得るでしょう。
新基準に対応した設計
補足しておくと、有利区間の頭に高い出玉性をもたせる事で、有利区間が途切れた後も連チャンが続くといった設計は、6号機初期にもありました。
しかしこれらの機種は、全ての有利区間開始時にこの性能を有していたため、
・設定変更された朝一に強烈な出玉恩恵が付く(=据え置きメインになる)
・有利区間頭を抜けると冷遇区間になってしまう(=朝一しか稼働しない)
といった大きなデメリットが存在しました。
当時と大きく異なる環境として、
✅「設定変更後」と「それ以外の有利区間の開始後」で性能を変えられる仕様
✅低ベース化&有利区間の拡大によりAT直後を特段冷遇しなくてもよくなった仕様
これら新たな設計手法や自主規制の緩和に伴い、6号機序盤にあった有利区間頭の優遇によるデメリットを解消する事が可能となっています。
最後に
新基準対応仕様については、中々事前に良い悪いを判断し辛い点もありますが、過去の6号機に感じたデメリットを如何に改善してくるかにおいて各メーカーの手腕が問われてきます。
今回挙げた『アラジンA』『押忍!番長ZERO』においても、まだまだブラッシュアップの余地があります。
『アラジンA』でいえば、有利区間ランプ廃止を組み合わせる事で、より切れ目を意識しないゲーム性に進化できます。また、『押忍!番長ZERO』も、3,000Gの有利区間を活かした出玉設計ではありません(1,500Gであってもほぼ同様の性能は可能)。
今後登場するパチスロにおいては、
✅有利区間リセットが気にならない(分からない)機種
✅AT終了(連チャン終了)=即ヤメにならない機種
これらのポイントを押さえつつ、新基準に対応(有利区間ランプ廃止、有利区間ゲーム数上限廃止、2,400枚差枚採用)したゲームデザインを設計していく事で、真の6号機ヒット機種が生まれてくると考えています。
◆プロフィール
・ジェイさん@発信する遊技機クリエーター
J-BEAT合同会社代表
発信するプロ遊技機クリエーター兼ライター。過去遊技機メーカー3社で勤務。在籍中に10数機種の遊技機開発に携わる。現在は法人を経営しつつ、フリーのクリエーターとして遊技機開発に従事。また、メーカー所属では出来ない発信、評論活動を行っている。
Twitter:https://twitter.com/jsan65536