パチンコホール向け周辺機器の分野で常に最前線をひた走るマースエンジニアリング。その製品群は、ホール経営に欠かせないものばかりだ。なかでも今回は、未来予測の領域に長けた『AI分析システム』を紐解いていく。
目次
顧客分析、販売計画に必要な
判断材料を提供する“AI”
AIとは、「Artificial intelligence」の略で、人工知能のことを指す。すっかり聞きなじみのある言葉として定着していることだろう。知能と付いていることから、思想を持ったものと理解しがちだが、物事を繰り返すことで学習し、その学習内容を応用する点をテクノロジーで実現したものだ。
そのAIが業界で実装されると、大きな話題となったのが2019年。マースエンジニアリングが開催した新製品発表展示会で『AI分析システム』が初披露された時だ。記憶に新しい方もいるだろう。
搭載しているAIは、あのスーパーコンピュータ「富岳」を手掛けた日本を代表するコンピュータ開発会社の富士通が担当。約240項目、約600万レコードにおよぶ、膨大な業務・顧客データを活用して創り出された頭脳で、ホール経営に特化した高精度なAI予測サービスを誕生させた。
その後、幾多の改善を重ね、フィールドテストを経て、徐々にホールへの導入が進んでいる状況だ。次からは、AI分析システムで何が出来るのか、何が変わるのかについて触れていこう。
1ヵ月先の稼働・売上予測も高精度に
マースの『AI分析システム』は、台間ユニット『ユニコン』を通して、日々得られる膨大な売上、粗利、稼働などの実績データをAIが分析。それにより、これまで以上に精度の高い顧客分析データが生成され、営業戦略等に活用できるようになっている。例えば、動向が読みづらかった非会員の遊技パターンも、会員データを参考にAIが予測。さらにこうした顧客分析に加えて、天候データ(気象庁の地域毎データを自動収集)、競合店の傾向(新台入替、店休日)による稼働変化など経験則や勘だけでは導き出せないデータもAIが日々学習しながら可視化。月末までの売上や粗利などの目標達成見込みも、より高い精度で予測することができる。
現在、2ヵ月先まで稼働・売上予測が可能。ある導入店舗の検証では、稼働率においては1ヵ月先のAI予測と実績値との乖離が3%以内という精度であったそうだ。店長の業務を強力にバックアップする頼もしいシステムといえるだろう。
AIの力は入替時の撤去台選定にも
ホールにおいては、多機種少台数のバラエティ化が加速している。その弊害として、新台入替の際の撤去機種の選定に、多くの時間が費やされているケースも多いと聞く。また、熟慮して撤去台を決めても、撤去後に遊技客から「あの機種、外してしまったのか」と、撤去を残念がる声が挙げられることもしばしばだ。
こうした作業効率化や、遊技客のニーズに即した撤去台選定にも、AI分析システムは大きな力を発揮する。AIが撤去候補をランキング表示してくれるほか、機種ごとに営業実績と紐づけて稼働状況を予測することで、自店における適正台数の算出も行う。そのため、入替時の増減台数の指標として活用することができる。撤去候補は、顧客データを重視した分析により、会員が遊技する傾向にある機種を把握できるため、遊技客のニーズにそぐわない撤去によるロスを回避することにも役立つ。
さらに、遊技客1人あたりの遊技時間や投資金額から、機種ごとに遊技意欲を示す“PLデータ”を分析できる「マース戦略データ(MSD)」と連携することで、PLデータの傾向を過去機種と比較し、推移が類似している機種をAIが自動でピックアップ。このデータを基に、導入1週目での機種の良し悪しの判断も可能になっていくとのこと。
マースが思い描くホール経営のこれから
マースシステムの担う役割は多岐にわたるが、全ての製品の主軸に据えているのは、「店長を含めた全ての従業員の業務負担軽減、遊技客により快適に遊技してもらう環境を創出する」ということに他ならない。紙幣回収作業を極限まで排除する『Air紙幣搬送システム』、玉積み業務を排除する『パーソナルPCシステム』、交換業務を排除する『セルフ交換POS』…。
これらによりホールの3大業務を効率化し、そこにAI分析システムが組み合わさることでより効率化が進み、捻出された時間を新しい業務に注ぐことができる。そして、マースでは特に、常連客を一層囲い込むための接客業務に時間を充てるべきだと説く。
ホールがさらに発展していくための未来を指し示す、マースの製品群にこれからも注目したい。
■マースのシステムで新しいホール経営を(AI分析システム紹介ページ)
http://www.mars-eng.co.jp/products/ai.html