【インタビュー/私の道】パチンコホールに寄り添う業界特化の技術集団
~株式会社ITC 鈴木一彦 常務取締役CCO

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PROFILE●すずき・かずひこ
1966年9月生まれ。大学では土木工学を専攻し、卒業後はゼネコン会社へ入社。その後、一念発起しシステムエンジニア業界へ。2009年に㈱ITCの設立メンバーとして、業界に特化したホール経営基幹システム『Compass』を開発。現在に至る。趣味は仕事。座右の銘は「先義後利」。

パチンコホール向けにホール経営基幹システム『Compass(コンパス)』を提供する㈱ITC。業界特化の技術集団を束ねる鈴木一彦CCOに、経歴やシステムに懸ける想いを訊いた。

ゼネコンでたたき込まれた
良いモノを作るための癖

大学では土木工学を専攻。卒業後は“歴史に残る建造物を造りたい”思いから、迷いなく建設ゼネコン企業に入社した。様々な現場で経験を積む中で、羽田空港内の一部施設の施工監督を任される。

「朝5時に起きて、6時半に現場入り。日が暮れたら事務所に戻って書類作成や明日の準備をしてから夕食を摂り、再度仕事をして深夜1時過ぎに宿舎へ戻る。そしてまた5時に起きて…を繰り返す日々でした」と鈴木CCOは振り返る。

それだけでなく、宿舎に帰る途中に一升瓶のワインを購入し、同僚と宴会を開くところまでが毎日のルーティーンだったというから驚きだ。

その後は、大阪で宅地造成の設計や、研究所で耐震免震技術の開発に従事した。研究所時代では、学会論文の作成で苦労したという。

「上司に見せたら、それはそれは真っ赤になって返ってきましたね。これはいかんと思い、論文のコツを聞いたら、“最後の一滴を絞り出せ”、“一晩寝かせろ”と言われました。その時から、どんなに良いと思える案が出ても、一晩寝かせて翌日、もう一人の自分の視点で再考する癖がつきました」。

この癖は今日の仕事にも活かされている。

龍馬の没年と同年に
パチンコ業界へ転職

人生の転機は建設分野での勤続12年目、33歳の時に訪れる。

「個人的にはゼネコン時代に一通りやり切ったと感じていました。それに、私が好きな坂本龍馬の没年と同じ年になったことも大きなキッカケとなり、別の道も歩んでみようと決意しました」と鈴木CCO。

転職先はシステムエンジニア業界だった。建造物の橋で人をつなぐのではなく、ネットワークで人をつなぐ道を選んだ。それから紆余曲折を経て、現在の㈱ITCの前身となる企業に2003年に入社。パチンコ業界の顧客満足度システムや、営業分析システムに携わっていくこととなる。

しかし、導入店舗の伸び悩みや膨大な開発費により、経営は火の車。そんな状況から、当時の同僚は転職や独立で去っていった。

「身の振り方を考えていたころ、ある方から“まさか、辞めないよね? 俺も最後まで頑張るから”と声を掛けられました。この言葉のお陰で、行きつくところまでいこう、このシステムと死なば諸共で頑張ってみようと思いました」。

その後、某大手メーカーに買収され役員として移籍。そこで現在、ITCで代表取締役を務める早田郁治郎氏の“パチンコ店のオーナーの悩みを解決する仕組みをつくりたい”との想いに共感。営業分析はもちろん、日報や遊技機在庫管理など、業務の全体最適による業務効率化に資するシステム開発に全力を注いだ。

そして2009年1月、㈱ITCとして独立する。

ホールの未来を指し示す
『Compass』の誕生

独立後も業務効率化に資するシステム開発は続けられた。ホール毎に異なる規模や営業方針のデータを蓄積。時には現場に足を運び、どうすれば業務効率化につながるかを模索した。システムを構築しては壊しを数回繰り返したという。こうした血の滲む努力、執念の果てに、ホール経営基幹システム『Compass(コンパス)』は誕生した。

同システムの根幹にあるのは、“すべては遊技されるお客様のために”という思想だ。パチンコ業界に特化したシステム会社のため、従業員全員が業界知識を有しており、遊技客に喜んでもらえる体制づくりというブレない指針を提供しつづけるべく、機能拡張やホールの要望に応えるシステム開発を続けている。さらに、コロナ禍を受け、Zoomを活用した打ち合わせも定期的に行い、成功への道筋を共に歩むための課題の解決や、サービス提案にも注力している。現在の導入店舗数は、約950店舗を誇る。

業務ごとに異なるシステムを統合し、情報の一元化で劇的な業務改善を実現し、営業などのデータ分析にも欠かすことができないホール経営基幹システム『Compass(コンパス』。

取引先業者も巻き込んだ
オンリーワンの仕組みへ

今後の展望について鈴木CCOは、「ホールだけではなく、様々な業者も含めた形でシステムを構築する『Compass/(コンパススラッシュ)』を実現していきます。また、人事育成のためのコンパス検定や、分析機能もより進化させていきます。これらを推し進めたうえで、私が目指したいのは、“始業から終業までの業務が、コンパスで始まりコンパスで終わる”環境を構築することです」と話す。

その一環として、今後の同社を担う人材を育成し、サービス品質の維持向上を図るために、採用にも注力しているという。

また、多角化経営を進める企業に対しても貢献できるシステム開発や仕組みづくりも推進。「業界外の他業種に向けても、自社のシステムを広めていきたい」と、情熱を燃やしている。

このほど、オフィスを池袋から神田へ移転。社内は緑あふれる開放的な空間が特徴だ。交通アクセスや立地もよく、商談や採用の面でも効率化を図った。



株式会社ITC
https://www.itccl.jp
【所在地】東京都千代田区内神田1-14-8神田スクエアゲート9F
【設立】2009年1月
【従業員数】21名(2022年1月)
【事業内容】パチンコビジネス分野におけるソフトウェアの開発・設計・販売

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