ダイナムジャパンホールディングス(以下、ダイナムJHD)の2021年9月中間連結決算は、貸玉収入、営業利益、中間利益ともに前年を上回り、増収増益となった。ただ、コロナ前の2019年中間期と比べると、回復率は7割の水準にとどまっている。
ダイナムJHDの2021年9月中間期(4月~9月)の連結決算は、貸玉収入2,554億300万円(前中間期比16.3%増)、営業収入508億9,700万円(同期比10.7%増)、税引前中間利益55億8,600万円(同期比278.2%増)、中間利益34億1,600万円(同期比395.8%増)の増収増益となった。
当中間期もコロナ禍により大都市圏を中心に断続的に緊急事態宣言やまん延防止重点措置が発令されたが、2020年4月、5月のような業界を挙げての店舗休業がなかったほか、ダイナムグループ各店舗は地方での営業を中心としているため、緊急事態宣言などの影響を受けにくかったともいえるだろう。
ただ決算に関しては、コロナ前の2019年の中間期と比較すると、貸玉収入が32.7%減、営業収入が31.3%減となっており、収入に関しては7割程度の回復にとどまっている。
遊技客が各店舗で賞品(景品)に交換した景品出庫額では、今中間期が2,052億6,400万円で、こちらも前中間期比より17.7%増えている。貸玉収入が増えた分、景品出庫額も増加した格好だ。貸玉収入に対する景品出庫額の割合は今中間期が80.4%で、前中間期が79.4%だった。
当中間期の店舗数は438店舗で、内訳はダイナム398店舗、夢コーポレーション33店舗、キャビンプラザ7店舗。20年中間期(445店舗)より7店舗減、コロナ前の19年中間期(449店舗)よりも11店舗減少している。
高貸玉店舗の方が回復率が高い傾向に
業態別では、高貸玉店舗(4円パチンコ、20円パチスロがメインのホール)の貸玉収入が1,437億100万円となり、前中間期と比較して244億4,300万円(20.5%)の増加となった。低貸玉店舗の貸玉収入は1,117億200万円で、前期比112億9,700万円(11.3%)増。いずれも増加傾向ではあるものの、高貸玉店舗のほうが回復率は高くなった。低貸玉店舗は高齢者層が主要客層になっていることが想定され、コロナ禍による客足の戻りがまだ鈍いことが窺える。
景品出庫額については、高貸玉店舗が前中間期比で22.1%増、低貸玉店舗が同12.1%の増加となった。貸玉収入から景品出庫額を引いたパチンコ事業収入では、高貸玉店舗が前中間期よりも13.4%増の246億8,200万円、低貸玉店舗が8.3%増の254億5,700万円となっている。
営業収入から貸玉収入で割った貸玉収入対比は、高貸玉店舗が前中間期比で1.0ポイント低下の17.2%、低貸玉店舗が同期比0.6ポイント低下の22.8%となった。
店舗コストを削減
機械代は68%減
当中間期のパチンコ事業費用は、前中間期よりも3.5%減少の447億9,100万円となった。
業態別では高貸玉店舗の事業費用は前中間期比で4.9%減の202億5,100万円、低貸玉店舗では同2.2%減の245億4,000万円となっている。
事業費用が減ったのは、清掃費、店舗人件費、遊技機購入費など。特に遊技機購入費は前中間期の56億9,300万円から68.3%減の18億600万円と大幅に削減した。
遊技機購入費の減少は新たな会計方針を採用したことが要因のようだが、今中間期の5月に21世紀会決議の一部改定があり、2022年1月末まで使用できる旧規則機が増えたことも影響していると推察される。清掃費も前中間期に比べて16・7%減少しており、コロナ禍での清掃効率などが高まっていることが窺える。
一方、事業費用の中で増えたのは広告費、減価償却費、賃借費用、修繕費、水道光熱費など。広告費は、69.3%増の14億9,300万円となった。4月からダイナム公式ユーチューブチャンネルで、人気お笑いコンビ「FUJIWARA」の2人をMCに迎えたパチンコ番組を開始するなど、販促に注力している。
ダイナムでは店舗運営に関して2021年3月に新コンセプト「ダイナムサロン」の1号店として、《ダイナム茨城イオンタウン水戸南店ゆったり館》をリニューアルオープンさせるなど、新たな取り組みに挑戦している。こうした施策の成果にも注目が集まる。