【インタビュー】2021年パチンコホール不動産市況総括と展望
株式会社プロパティー 三戸浩 代表取締役

投稿日:2021年12月21日 更新日:

新型コロナウイルス、旧規則機撤去の影響を大いに受けた2021年のパチンコ業界。その影響にさらされ、出店マインドは冷え込み、閉店ホールは増加した。2022年2月には完全新規則機時代が遂に幕を開けるが、出店動向はどうなるのか。パチンコホール業界に強い不動産仲介の㈱プロパティー・三戸浩代表取締役に、2021年のパチンコホールの不動産市況を総括してもらうとともに、展望を聞いた。

新築は下火状態が継続、メインは居抜き・M&A

──今年のホールの出店動向を振り返ってみて、いかがでしたか。

敷地の拡張による増台など既存店強化の案件が多かった印象です。新築にお金を使うことが少なくなった反面、既存店のテコ入れを進めるホールが増えたのだと思います。理由としては、新築でつくっても機械代や人件費に圧迫され、採算が取れないと判断されたからでしょう。それを裏付けるように、今年も新店はありましたが、一からの新築店舗は全体の1%にも満たない状況でした。また、M&Aに関しても、大型案件もあることはありましたが、件数としては総じて少なかったと感じています。

──一方、ここ数年同様、今年も出店を上回るペースで閉店が相次ぎました。

主に、賃貸で出店している中小零細ホールを中心に閉店が増え、また、中規模以上のホールでも不採算店舗の整理が進みました。そして、閉店のピークは2022年1月末だと思います。やはり、旧規則機から新規則機への移行は、売上・粗利・入替費用などホールに与える影響が非常に大きい。4号機から5号機に変わる時も、ギリギリまで旧規則機を使い切って閉店を選択するホールが多くなったように、今回もそうなると見ています。

──そうなると、2022年の出店動向としては、完全新規則機時代を迎える2月以降から、徐々に動きを見せてくる様相ですか。

新規則機時代となり、稼働や遊技機動向がどう転ぶかによって、出店意欲の増減が出てくるとは思いますが、基本的には出店に意欲的な法人様以外は、コスト面からよりシビアになると思います。また、新築案件は建築資材等の高騰が続いているので、下火状態が続くと予想しています。よって、今年と同じく、居抜きかM&Aによる出店がメインになるでしょう。
しかし、コロナを原因とする先行き不安や、業界の収益回復率が鈍っていることが拍車をかけ、金融機関が業界に対する与信を厳しくしてくることも予想されます。この如何によっては、さらに下火状態になる可能性もあります。

──M&Aをめぐる情勢で、注視しておくべきことはありますか。

M&Aに関しては、依然として売り手側が強気です。よって買う側は、買う店舗の中に不採算店舗が混じっていないか等も含めて、俗に言う、“デューデリジェンス”をより徹底しなければならない。不採算店舗を面倒見る代わりに、売却額を少し安価にしてもらえるなどの条件があれば別ですが、そういうケースは滅多にありません。不採算店舗を一緒に取得してしまうと、処理に困ります。実際、不採算店舗を売却する際、建物だけでは買い手が付かなかったため、多少加工して売却したケースもあったと聞きました。そういう意味で、見極めがすごく肝心になってくると思います。

──少しでもM&Aを成功させるための秘訣などはありますか。

これまでM&Aをしてこなかった法人様が、検討するようになるなど、ここ数年でM&Aは身近なものとなりました。反面、やはりM&Aに関する知識が乏しい。多いのが、不動産相場だけで売買が成立すると思っている点です。採算が取れている店舗であれば、営業権、のれん代が高くなるのは常識ですが、それを理解されていない方が多い気がします。基本的に、いい物件に掘り出し物は無く、安く買うことは出来ません。まずはそこを理解することです。
また、交渉を進める中で、店舗担当者だけでは判断できない部分が絶対に出てきます。特に、財務状況が不透明な相手に対しては、細心の注意が必要になるので、会計士や税理士など、財務のプロに検証してもらうことが肝要です。弊社でもお手伝いできる所はさせていただきますので、お気軽にご相談頂ければと思います。

PROFILE●みと・ひろし 1965年12月6日生まれ。埼玉県出身。宅地建物取引主任者。大学卒業後、大手不動産会社を経て1996年、株式会社プロパティー入社。2001年より代表取締役。正確な情報提供とスピーディな対応で、これまでに多数の案件を成約。ホール業界からの信頼も厚い。WEBサイト:https://www.p2103.com/

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