帝国データバンクが8月31日に発表した「パチンコホール経営業者の経営実態調査」によると、2020年におけるホール企業の売上高は、コロナ禍を受けた休業などで、前年比12.9%減、経年比較が可能な分だけでも約2兆円が失われた格好となった。
直近3期連続、業績が判明したホール企業1,691社における2020年の売上高合計は、前年比12.9%減となる13兆2,374億円と大幅に減少した。コロナ禍を受けた休業や時短営業、外出自粛などが影響したことから、経年比較が可能な分だけでも2兆円近くの売上を失った計算となっている。
それに伴い、減収となった企業が全体に占める割合も増加している。2020年に減収となった企業は、前年より37.6ポイント悪化した77.2%と8割近くを占めた。これまで辛うじて横ばいを保っていた企業も、前年比31.8ポイント減となる20.4%に減少した。一方、増収となった企業は、前年比5.8ポイント減の2.4%を占めるにとどまっている。
売上高の規模別で、最も企業数が多かったのが「10億円以上、50億円未満」の706社で、構成比は41.8%。2番目が、「1億円以上10億円未満」の512社で同30.3%、以下、「100億円以上500億円未満」が214社で同12.7%と続いている。なお、「1,000億円以上」の企業は15社で全体の0.9%となっている。
2020年の倒産件数は、政府から各種経済支援策が実行され、資金繰りが改善したことなどにより、前年より7件減の17件となっている。倒産件数の減少は2年連続となる。ホール企業の倒産は、2004年の規則改正に伴う経過措置が満了した2007年と、その翌年の2008年に大きく増加したが、それ以降は比較的落ち着いて推移している。2021年の倒産件数も、これまでで6件にとどまっていることから、同社では、 「3年連続で減少する可能性が高い」と見込んでいる。
今回の調査結果について同社では、「業績の悪化が鮮明に現れた一方、倒産件数は減少した。規制強化のタイミングでは、移行年が迫るにつれ、倒産件数が増加したため、今回も懸念されていたが、各種支援策がパチンコ業界にも適用され、資金繰りは改善、倒産防止につながった。一方、新規則対応期限を控え、入れ替えに伴う資金需要は都度発生している。また、集客および財務体質の改善は、引き続き業界全体で取り組まなければならない課題」と指摘している。