・稼働アッププロジェクト
パチスロが全体的に不調の中「減台したほうがいいのか?」「低貸しコーナーの導入がいいのか?」という声が日増しに高まっています。機械代の予算も厳しい中ではありますので、今回は減台、低貸しコーナーについて考えてみましょう。
減台なのか?
低貸し化なのか?
コロナ禍、高射幸性パチスロ機の撤去、『沖ドキ!』の撤去が重なり、パチスロの稼働状況は悪くなっています。また、11月末までに5号機を完全撤去しなければならないため、多額の予算も必要な非常に厳しい状況です。こうした状況下で機械代を削減するためには、安価な中古機や倉庫在庫の導入を検討せざるを得ませんが、一方、そのような機種構成が稼働を牽引するとも思えません。
5号機の完全撤去の方法としては
①ダメ元で、全て新台で買い揃える
②稼働は諦めて、安価な中古機、倉庫在庫でしばらく耐える
③パチスロ自体を減台する
④低貸し(5スロ、2スロ)を導入、または増台する
以上、4つの選択肢が考えられます。現実的には①と②の中間で、「新台も買いながら安価な中古機や倉庫在庫も活用して入れ替えを進める」ホールが多いと思われますが、①~④にはそれぞれ正解、不正解はなく、それぞれのホールに合った入れ替え計画が求められます。
そこで、今回は③の減台、④の低貸しについて考えてみます。まず、減台に関してはベニヤなどで間引きする方法がありますが、島端の2台や島中央の1台を抜いたほうが本来は自然な形ですし、お客様から見てもやる気がなくなったと思われないやり方でしょう。
しかし、それが無理で島から数台を抜く減台の場合は、島設備(データ表示機、サンド、椅子)も同時に撤去して、台があった痕跡をなるべく無くしたほうがいいでしょう。そして、減台の時期ですが早期に減台してしまうと「金銭的にゆとりがないな」という印象を与えてしまうため、撤去期限ギリギリのタイミングまで待って減台したほうがいいと思います。他のホールも減台が進むでしょうし、お客様の減台に対する理解も深まっているのではないでしょうか。
5スロ、2スロを考える
5円以下の低貸し導入店は全国で3,000店舗を超えています。しかし現状、5スロの稼働状況は厳しく、20スロよりも稼働率の悪いホールも多く見かけます。
5スロの機種構成が悪化していることが稼働低下を招いている最大の要因ですが、6号機で80%を占めている5スロコーナーも珍しくありません。6号機が低迷していることは明白であり、その比率が80%となると、稼働減は必然といえる状況でしょう。
また、5スロの設置台数自体が多くすでに飽和している地域もあり、台数規模、機種構成、出玉による競争が激しくなっています。そのため、機械代を削減するために5スロの増台、または新規導入するという考え方は、私は失敗に終わる可能性が高いと思います。
機種構成を見直し、出玉を用意できるかがポイントになりますので、単に機械予算の削減を考えているのでしたら導入はお勧めできません。安価な中古機や倉庫在庫で5スロコーナーを組んでも稼働は見込めず、「リニューアルで5スロを始めたのに稼働が悪い」「仕掛けたのに失敗」といった負のイメージだけが残る結果になるでしょう。
では、翻って2スロはどうでしょうか。2スロは5スロとはまた違う客層を持っており、ここが重要なポイントです。5スロは、「射幸性を求める」ユーザーも多いのですが、2スロでは「時間消費の遊び」というユーザーが大半となっています。
それぞれの地域には必ず、一定層の2スロの潜在ユーザーが存在していますが、2スロユーザー自体の客数は多くなく、商圏内で他のホールが2スロを先行して導入している場合は、自店に2スロを導入しても、機種構成が弱いと集客は見込めません。つまり、そのホールを大幅に上回る機種構成で2スロをスタートさせる必要があり、それでは機械代の節約には繋がりません。
反対に、商圏内に2スロ導入店がなければ、弱い機種構成でも高稼働が見込め、機械代の削減と高稼働、どちらも実現可能な2スロコーナーとなり得ます。また、すでに5スロを導入していて、さらに2スロもスタートさせる場合には、確実に5スロの稼働が低下することになります。総客数は増えても総粗利が減る可能性が高いため、目的を考えて実施したいところです。
20スロだけで全国平均以上の稼働をしているホールが、更に稼働を高めるために、2スロを少台数導入して圧縮効果を狙えば、さらに成功事例が多くなると思います。5スロの場合は多台数設置するホールも多いため、少台数だと苦戦しやすいですが、2スロであれば少台数でも20スロの倍以上の稼働が見込めます。
例えば20スロの平均IN枚数が7,000枚のホールなら、1BOX 20~30台の2スロで「IN枚数14,000枚前後」が見込め、5スロなら「6,000枚前後」と推測されます。
台粗利ベースでは2スロが「粗利6銭×14,000枚=840円」、5スロは「15銭×6,000枚=900円」と、5スロの方が60円多いのですが、2スロの方が、客数が倍で、機械代がかからないと考えると、5スロより2スロの方が優位ではないでしょうか。
以上のことから、低貸し未導入店が初めて低貸しを導入する場合は、私は2スロをお勧めしています。
三木 貴鎬
㈱エスサポート代表取締役
1972年生まれ。97年中央大学商学部卒業後、パチスロ専門店(神奈川県42台)にて勤務。01年〜06年グループ4店舗を統括部長として指揮、在職中より他店舗のコンサルティングにも携わる。この期間、全ての店舗で稼働平均15,000枚を継続。07年に独立し、パチンコ・パチスロホール運営コンサルタントとしてエスサポートを設立。“ホールの知恵袋”として全国どこにでも出張中。社内外を問わず行うセミナーも好評。