【レポート】カジノゲームの種別明らかに 客同士でのポーカー対戦も認可へ

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カジノ営業に関するルールなどを定めた「カジノ管理委員会関係特定複合観光施設区域整備法施行規則(案)」が4月2日に公表された。そこでは、カジノ事業を営むうえでの規則が定められているほか、実際の営業に用いられるゲームの種類なども明らかにされている。

多様なゲームを認可
中国系観光客も意識

内閣府の外局として、昨年1月に設置されたカジノ管理委員会が今回示した施行規則案では、カジノ事業を行うための免許制度や、認められるカジノゲームの種類、依存対策、関連機器の型式検定など、カジノに関する規制が包括的に定められている。と同時に、4月2日から5月9日までの約1ヵ月間に渡って、パブリックコメントも募集された。

このうち、幅広い層で関心が高いと見られる設置可能なカジノゲームの種類については、9種21分類が挙げられている。これに加え、近年カジノ施設での普及が進んでいるリアルと電子が融合したブラックジャックやルーレット、そしてスロットマシーンなども盛り込まれた。なお、花札など日本独自のゲームは除かれている。

具体的なゲーム名としては、比較的認知度が高い「バカラ」「ポーカー」「ルーレット」「トゥエンティワン(ブラックジャック等)」をはじめ、「シックボー(大小)」「クラップス」「カジノウォー」「マネーホイール」「パイゴウ」など、普及エリアが限定されている珍しいゲームも含め、全9種類が認可案として明記された。

今回、施行規則案に盛り込まれたゲームについて、カジノディーラーを育成する専門学校である日本カジノスクールの大岩根成悦校長は、「幅広いゲームが挙げられている印象だ。アジア地域のカジノ施設ではあまり見ない、クラップスやカジノウォーなどは、欧米からの訪日客を意識していると感じられる。その一方、シックボーやパイゴウなどは、中国系の方たちが好んでプレイするゲーム。特にパイゴウは、欧米のカジノではほとんどみない。もちろん、これらのゲームのうち、カジノ施設側が、何を採用するかどうかについてはまた別の話となるが、この段階では、多様性がかなり意識されていると思う」といった感想を抱いている。

今回の規制案に示されたゲームを解説してくれた日本カジノスクールの大岩根成悦校長。

施行規則案では、「バカラ」が2つに分類され、「トゥエンティワン」は4つに分類。「ポーカー」に至っては、8つに細かく分類されるなど、一見、基本的なゲーム性を知っていても、細かく分類されているため、やや複雑さを感じさせている。ただ現場でプレイヤーにゲームとして提供される際は、ある程度のルールを知っていれば、違和感なく遊べる形になる見込みだ。

また、ポーカーの分類のなかに、「顧客間相互で行われるもの」が2分類入っていることも特徴的だ。文字通りこれは客同士が対戦する形でゲームを進めるポーカーで、もともとアメリカでは高い人気を有している。近年は、日本でも定期的に大会が開催されるなど人気が高まっている。業界関連企業でも、サミーが大規模ポーカー大会「AJPCスーパーカップ」に、特別協力会社として名を連ねている。

「客同士が対戦するポーカーは、ハウス(カジノ施設側)にとって、決して高い利益を生むものではないが、人気はあるので、来場者を集めるという意味では、導入するメリットはあるだろう。

eスポーツが流行っていることもあるし、対戦ゲームの文化が古くから浸透している日本では、ポーカーがブームになる可能性もある」(同)と人気の高まりが期待感できるという。

このほか、「クラップス」や「カジノウォー」は、ラスベガスなどで人気を博しているゲームだ。少し遊び方に触れると、「クラップス」は、2個のサイコロを振ってディーラーとの勝負を行うといったものだが、周りのプレイヤーもその出目を予想して賭けることが可能だ。プレイヤーが実際にサイコロを振ることができる点も特徴で、そのため客同士で盛り上がりを見せ、活気あるカジノフロアの雰囲気づくりの役割を担う。また「カジノウォー」は、かなりシンプルなゲーム。ディーラーとプレイヤーに一枚ずつカードを配り、Aが一番強く、2が最も弱いというルールのもと、数字が大きいほうが勝つという単純さが特色でもある。

やや異質なのは「パイゴウ」。これは欧米のカジノではほとんど目にすることはなく、中国伝統のゲームとなっている。この辺りは、完全に中華系の顧客を意識したものといえそうだ。なお、ゲームの種類は各国のカジノの状況を踏まえ、追加も検討される。

払い戻し率は90%以上
100%未満に規定

規則案では、遊技機に関する規則同様、ゲームそのものに細かく技術上の規格が定められており、勝敗の決定方法や、倍率など、それに沿った運用も決められている。例えば、ルーレットの「0」「00」などは緑色にするなど、用いる道具についての記述も詳細だ。

電子機器を用いた際の還元率についても明記。一回の賭けのうち、理論上の払い戻し率は、90%以上100%未満とされている。当たり前のことなのだが、不正防止の観点から、乱数発生装置の規格については、生成される結果に対し、顧客やカジノ事業者が物理的に操作し、影響を与えることができないものであることも定められている。トラブルが起きたときのバックアップについては、サーバーやプレイヤー端末で90日、記憶装置では5年間保存することを義務付けた。

コロナ禍で後ろ倒しも
開業に向け準備進む

新型コロナウイルスの感染拡大によって、事業者選定期間の後ろ倒しなど、開業に向けた動きがやや停滞しているが、誘致に乗り出す自治体は絞られてきている。ここまで、カジノ誘致に向けた本格的な動きを見せているのは、横浜市、大阪、和歌山、長崎などだが、事業者の公募までこぎつけたのは、大阪、和歌山、長崎の3自治体。横浜市も8月に行われる市長選の結果次第では、より誘致に向けた動きを加速させる気配を見せている。

順調に行けば、来年にはカジノ施設が設置できるエリアが決まる方針。その後、大阪などでは、早ければ2025年頃の開業を目指しており、今回、カジノ営業の骨格ともいえる法整備が整えられたことで、より踏み込んだカジノ施設創設に向けた議論が進行していきそうだ。

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