【インタビュー】コロナ禍で経営打撃、見出した新たな活路
株式会社マルエムPOP 代表取締役社長 松丸 貴

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総合販促支援企業として知られるマルエムPOP。業界では、遊技機メーカーのグッズ制作などを手掛けているが、コロナ禍を受け新事業に挑戦する。成功のカギは、モノ作りで培ってきた知識と柔軟性にあった。

PROFILE●まつまる・たかし 大学卒業後、97年4月に同社入社。その後は流通の基本を学ぶため、梱包や配送部門に2年間従事。2009年代表取締役就任。休日には趣味と実益を兼ね、今もホールに足繁く通う。好きな言葉は、「明日は明日の風が吹く」。45歳。

技術介入機に魅了され学生時代はホール常連

学生時代から、暇を見つけては、ホールに通い詰めた。最初はパチンコの羽根モノ、その後、技術介入効果の高さで、ファンの支持を集めたパチスロ4号機初期の名機たちに心を掴まれた。

良い設定を掴んだと思った時には、「バイト先に電話して『今日休ませてください』なんてこともありました(笑)」と当時を振り返る松丸社長。

戦歴は、「勝ったり負けたり。でも、精神的に鍛えられたと思っています」。

会社設立は昭和56年7月、当時の社名は「マルエムPOP用品」。文字通り、販促用品の販売がメイン事業だった。スーパーマーケットが主な顧客で、店舗が実施する安売り情報を、様々なPOP用品などでサポートした。

両親とスタッフ2人の4人で切り盛りしていた同社に入社したのは、大学卒業後まもなく。在学中から会社の手伝いは行っていたが、最初の2年は、梱包、出荷など、製品流通の根幹に関わるノウハウを体に染み込ませた。

「今でも、ダンボールへの梱包作業を見ると腕がなります」と松丸社長。とりわけ、その時刷り込まれた出荷から納品までの細かいプロセスは、会社にとって、後々大きな福音をもたらすことになってくる。

メーカーグッズ制作で新たな事業ステージに

会社にとって大きな転機が訪れたのは、松丸社長が30歳の頃だ。知り合いの販売代理店から、とある遊技機メーカーの販促グッズ制作の依頼が寄せられる。

当時のパチンコ業界は、華やかな新台発表を各メーカーが競い合うように展開していた時期。発表会や内覧会を訪れたホール関係者に渡されるカタログや、新台に関連した各種グッズも趣向を凝らしたものが多かった。

「新台が出るたびに、たくさんの販促グッズを制作させて頂きました。得意だったのは、遊技機キャラクターの等身大ポップです。さらに、新台周りの飾りやプレートなども一括で依頼がありました。これらすべてを私ども一社で制作できるという強みがあったのが、大きかったと思います」という。

ただ、納期には厳しかった。遅いのは当然駄目だが、一日早いだけでも問題となる。かなり細かく、出荷から納品までのスケジュール管理が求められた。「ぴったり配送期日を守ることが大事でした。しかしこの点に関しては、これまでもスーパーを相手に、しっかり指定日配送を行ってきた経験があり、むしろ得意分野でもありました」と、会社、そして自身が培ってきたノウハウをいかんなく発揮した。実際、コスト面で優位性を示した一見の競合他社が仕事を受注しても、結果的にメーカーごとに異なる細かいレギュレーションに対応することができず、撤退していった事例もあったという。

「あとは、遊技機カタログ特有の事情だと思いますが、突然のスペック変更などで、制作が中止、変更になることもありました。その際も、その都度対応していきました。そういった臨機応変さを持っている点も、会社の強みになっているのではないでしょうか」。

その後、豪華さを競う新台発表会は時とともに減少していったが、それまでに培った実績をベースに堅調に事業を展開。しかし昨年の春、突如暗雲が拡がっていく。今もなお収束しない、新型コロナウイルスの感染拡大だ。

コロナ禍で経営打撃、問われた新たな挑戦力

「昨年の春頃、仕事のキャンセル電話が相次ぎました。このまま販促だけでは難しい。何とかしなければと思っていました」と当時の焦操感を滲ませる。

同社は毎週水曜日に商品会議を実施しているが、全国で一斉休校がはじまった3月、松丸社長が提案したのは、衛生対策事業部の創設だ。

「昨年は2月の段階でマスクが足りなくなりました。そこで思ったのです、この流れで、今後人々の衛生観念が必ず変わっていくはずだ、と。正直一か八かかもしれません。しかし、これまで様々なものを作ってきましたし、素材に対する知識もありました」と、新たな一歩を踏み出す。結果、ディスペンサーをはじめとする衛生関連製品は大ヒット。会社の経営を支えた。

「我社にとって『マルエムって何屋?』って言われるのが最大の褒め言葉です」と目を細める松丸社長。柔軟な思考力と、「パチンコで学んだ」という勝負感が窮地で活かされた格好だ。
「販促業界は、今も厳しい状況が続いていますが、どうすれば楽しい生活が可能になるのかを考え、必要なものを作っていきたい」と前を向いている。

マルエムPOPが手掛ける衛生関連製品の最新商品である卓上型の『アルコールディスペンサー』。左はボトル容量360mlタイプで、右は500mlタイプ。

株式会社マルエムPOP
111-0053 東京都台東区浅草橋1-22-16 ヒューリック浅草橋ビル9F
設立/昭和567月 従業員/35人(2021年現在)

 様々な販促ツールの販売事業を展開。近年は衛生対策用品にも注力している。事業所は都内浅草橋の本社に加え、埼玉県本庄市に本庄工場、中国の上海にも駐在所を構えている。

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