【コラム】ゴッド凱旋撤去後の パチスロユーザー動向

投稿日:2020年12月21日 更新日:

・お客様視点の店舗運営
『ミリオンゴッド-神々の凱旋-』が11月に撤去されました。ユーザーはどのように回遊しているでしょうか? コラムが掲載される頃にはある程度の結果が出ている事とは思いますが、「一時的な回遊なのか、それとも今後も継続するのか」を把握する事は重要課題であり、その為にはパチスロユーザーの潜在ニーズを的確に把握する必要があります。

そこで今回は、撤去前後の回遊状況から『ゴッド凱旋』ユーザーを始めとした高射幸性パチスロ機遊技ユーザーの潜在ニーズ、及びそれを満たす為のウォンツを把握し、高射幸性パチスロ機撤去後の年明け以降「どの部門に注力し、どのように運用するのが良いか」を考えたいと思います。

撤去前の回遊予測

以前のコラムにて『ゴッド凱旋』の移動先として強化検討すべき部門に以下の順位付けをしておりましたので、改めてご覧いただきたいと思います。

①『番長3』を中心とした勝金額が高めの「5.5号機ART」
②『北斗無双』『慶次漆黒』の旧規則パチンコ機、また勝金額の高い「新規則機ミドル」
③『ジャグラーシリーズ』
④勝金額1万円後半以上の「6号機ART機」

実際に撤去された後、ユーザーはどのように回遊しているでしょうか?

撤去前後の回遊状況

まずはAI-CIS回遊履歴表をご覧ください。表は10月1ヵ月間を通じて『ゴッド凱旋』をメインに遊技していたユーザーが、「表1:撤去直前の11月12日時点」「表2:撤去後1週間を経過した3連休後」、「表3:11月末時点」ではそれぞれ「何をメインに遊技する様になっていたか」の履歴を出力しています。上段はメイン遊技比率の上位機種で、下段はグループ(部門)集計になります。

上位には『5号機バラエティ』『番長3』『まどかマギカ2』といった5.5号機ARTがあり、グループ集計では30%以上を占めています。これは想定通りで、今後の高射幸性パチスロ機撤去後もしばらくは5.5号機がメイン機としてのポジションで推移する事に変わりはありません。

注目したいのは『バジリスク絆2』『吉宗3』『モンスターハンター:ワールド』の6号機ARTが上位にあり、グループ集計では20%を超えている点です。

撤去前は『北斗無双』『慶次漆黒』『源さん超韋駄天』といったパチンコミドルや、『ジャグラー』を中心とした5号機Aタイプが上位になると想定していました。5.5号機が残っている状況でも6号機へとメインが移行している人が多い事を見ますと、4号機から5号機へと移行した当時の5号機の壊滅的な状況とは違い、5号機移行期のパチスロ離反率までには至らない状況で推移して行く様に思います。

パチスロユーザーニーズが射幸性のみを追求した当時とは確実に変化しており「高射幸性パチスロ機ユーザーの潜在ニーズ、及びそれを満たす為のウォンツ」を的確に把握し、運用して行けば6号機の今後に期待が持てる回遊状況が見えています。そこで現在の状況を踏まえ、来年以降の6号機メイン時代への移行期における注力部門として、6号機ART、ミドル・ライトミドルの運用方法について考えたいと思います。

6号機ART

『ゴッド凱旋』メインユーザーで6号機ARTがメインへと移行したユーザーが20%以上いる様に、高射幸性パチスロ機撤去の過程において、射幸性よりもパチスロのゲーム性を追求し、ニーズが「勝金額」から「勝率」へと変化して行くユーザーが一定数はいると思います。

これらのユーザーをターゲットと捉え、これまでの6号機の顧客遊技データと回遊状況を見ますと、「5号機メイン機の後継タイトル機」は、導入時から「アウト/1人」と「勝率」が高くなる傾向にあります。勝金額平均は1万円前半から中盤で、「勝金額重視派」からの支持は得られていませんが、「勝率重視派」に向けて、高設定を使用し勝率重視で運用すれば稼働貢献度は高くなっています。但し、次の後継タイトル新機種登場によりそちらに移動しており、「集客目的で多めに導入し、次の新台導入時に2~3%の設置比率へと圧縮し稼働を維持する」。今後もこの繰り返しになると思われます。

「勝金額重視派」の5号機ARTユーザーが6号機ARTをメイン機として定着する為には、勝金額は最低でも1万円後半を追求すると思います。6.1号機になり低ベース化する事で瞬発力が上がり、勝金額が上がる事が想定されます。2万円を超える「5号機後継タイトル機」が待たれ、その登場時が6号機ART普及に向けての仕掛け時と思います。それまではパチスロメインユーザーを店舗から離反をさせない為に6号機は稼働重視の低利益営業が強いられますので、他部門での利益確保が必要となるでしょう。

ミドル・ライトミドル

利益確保部門としてはミドルが重要な役割を担って行きます。『ゴッド凱旋』撤去前後で、メイン移行比率は上がっていませんが15%前後となっています。また、撤去以前に既にミドルメインへと移行したユーザーが多くいます。

勝金額平均3万円を超える旧規則機や、新規則機の勝金額平均においても2万円後半の機種が存在し、6号機ARTの勝金額に満足出来ない5号機ARTユーザーで、ミドルへと移動する人が更に増えて行くのではないかと思います。

一方、ライトミドルは勝金額平均1万円後半で、遊タイム搭載機がパチスロユーザーから支持が得られており、パチスロとの回遊性が上がっています。勝金額平均は現時点の6号機ARTを上回っており、勝率重視で運用すればライトミドルでも5号機ARTユーザーが取り込めると思います。但し、育成機種を早期に見極め、稼働重視でスタートを回し長期運用する必要がありますので、顧客遊技データや回遊状況の把握が重要となります。

◆著者プロフィール
三輪 勝治
㈱エムシック代表取締役
1985年立教大学法学部卒業。パチンコ業界大手周辺機器メーカーに勤務。遊技台情報公開システム、情報ネットワークシステムの開発に携わる。退職後、One To One顧客管理システムの開発・販売会社設立に参加。業界初の顧客遊技履歴データネットワークシステムを立ち上げる。システム開発、セミナー講師、等幅広く活動。2016年10 月株式会社エムシック設立。

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