コロナ禍による客離れが続くなか、この年末年始、さらにはこれからの営業をどう生き残っていくか。パチンコ集客施策について、㈱AZエンターテインメントの中嶋優代表取締役に聞いた。
──年末年始の営業における集客および利益確保のキーポイントは何でしょう?
『P大工の源さん 超韋駄天』(以下、韋駄天)を中心とするコーナーをどう形成していくかという点でしょう。韋駄天の各時間帯の稼働分析をしたところ、15時~21時まで大きな変化はありません。一方、遊タイムのミドル機は、19時から一気に落ちます。19時以降、お客様が残りの金額をどこに投資するかと言うと、韋駄天を選ぶ人が多い傾向にあります。
──そのため韋駄天コーナーが必要ということですね。
ただし、年末で韋駄天の設置台数は約5万台にまで増加します。この規模になると、甘めの運用をしなければ稼働の維持は難しいでしょう。利益を確保するためには、韋駄天を中心とし、その横や背面の島に、『ダンバイン』『ビッグドリーム』『パイレーツオブダイナマイトキング』など、お客様のニーズに合った高時速機で固めるコーナーを設ける必要があります。
──コロナで離れたファンは年末年始、今以上の回帰に期待できますか?
回帰率は今と同様、80%程度と予測しております。当初、90%程度に回復すると予測しておりましたが、GoToキャンペーンなど政府の復旧施策もあり、国民の消費ニーズが分散しました。また会員客に限った回帰率は約50%で、特に年配の方が戻ってきていません。そのため常連客に好まれる海シリーズ、北斗シリーズの2軸に頼った営業は非常に危険です。今、来店して頂いているお客様の層を考えると、韋駄天をどう使っていけるかが増々、大事になるでしょう。
──遊タイム機についてはいかがでしょう?
ライトミドル機に注目しています。集客力では確かに、ミドル機に比べて劣ります。ただし、遊タイム到達率がミドル機の約5%に対して、ライトミドル機は8~10%程度あるため、19時以降の稼働の落ち込みも目立ちません。また現状、1,000台規模の大型店でも遊タイム搭載のライトミドル機の設置比率は10%程度です。地域3番店以下の場合、このカテゴリに限って見れば大型店と対抗することも十分に可能です。
──夜の稼働を如何に維持していくかが大事ということですね。
その点で付け加えますと、22時以降の稼働の底上げにおいては、羽根モノの設置が効果的です。他機種を遊技していたお客様の最終的な受け皿となる可能性があり実際、稼働面で頭一つ抜けた存在のホールというのは、羽根モノコーナーを作っているんですね。私の支援先でも韋駄天の近くに設置した羽根モノの稼働が5,000発上がりました。今の時代、スペックのカテゴリ毎にコーナー分けするよりも、お客様のニーズに合わせたコーナーを作ることが、回遊性や稼働の向上に繋がるのではないでしょうか。
中嶋優(なかしま ゆう)
㈱AZエンターテインメント代表取締役。大学卒業後、ホール企業、経営コンサルファームを経て、「業界を自らの力で変える!」との想いで同社を起業。単独店舗法人から大手法人まで幅広く支援を行う。