平成時代に執筆した「ホールのお仕事ハンドブック」に私は「香水をつける場合は少量」と書きましたが、今は「無臭」を推奨しています。ホールスタッフが業務中に香料をつけるのはNGと考えます。
皆さま、「先輩女性のニオイが原因で退職した女子がいる」と聞いて信じられますか?私は最初「冗談でしょ」と思いましたが、事態は深刻でした。中堅P企業を辞めた20代女子が打ち明けます。
「アラフォー女性二人組の席が隣同士で、二人が競うように芳香剤を机に置き、香水や柔軟剤の匂いもキツイんです。それだけでも『オエッ』となるのに、2人は昼休憩に喫煙し、ニオイを消すため香り付きの消臭ミストを大量に振り掛けて来るので、ランチ後の二人は各種入り混じった、物凄く強烈なニオイがするんです。私は2人の臭いで頭痛が止まらず、気持ち悪くてトイレで吐いた事も…我慢の限界で退職しました」
私も新人OLの頃は、香水が好きで何十本も香水瓶を飾っていました。雅子様が外交官時代トレゾアをご愛用と聞けばいそいそ買いに行き、シャネルのココとゲランのミツコを混ぜて「ミツココ♡」と悦に入る。つける場所は耳たぶ。
しかし勤務先で、私が使った電話の受話器をとった男性が「わ!臭せぇ」と言ったのを見て、香りを職場に持ち込むのはNGと会得したのです。そして香水好きにも関わらず香料過敏症(化学物質過敏症)の私は気持ち悪くなる香水もあり、合成香料と無縁な生活を送るようになりました。
今、化学香料は街中に溢れています。柔軟剤、シャンプーやボディソープ、整髪料、リップや汗ふきシート、食器洗剤まで「○○の香り」。各社の香り戦争激化に伴い、巷に溢れる人工香料は強くなっています。日常使う物がニオイにまみれているのですから、普通に生活していれば大抵の人は何らかの匂いをまとっています。
自分は無臭と思っても家族が洗濯してくれた柔軟剤のニオイがします。柔軟剤がにおう人もいれば、柔軟剤と生乾き臭が混じって異臭を発する人もいます。「わざわざ香りをつけなくても、皆なにかしらのニオイを無自覚に発している」のです。だから完全な無臭など無いと分かった上で、敢えて私は「無臭が基本」と訴えます。
体臭は生きている証ですし、働く汗は素晴らしいものです。しかしサービス業従事者は「におわせない」の心掛けが肝要です。4月からの分煙で、お客様がスタッフの体臭や香料に敏感になると予測します。業務中は極力「無臭」を心掛け、好きな人とのプライベートで好きな香りをまとえば、オン・オフの切り替えに役立つでしょう。そしてくれぐれも「ニオイでニオイを誤魔化す」という暴挙には出ませんように。
昔は花粉症など無かったように、今は氾濫する香料が原因で「化学物質過敏症」を発症する人が増えています。時には暴力にもなりうる香料と、上手に付き合いたい令和です。
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◆著者プロフィール
永澤有希(ながさわ ゆき)
㈱ミチスケジャパン 人材プロデューサー
コンサル企業、パチンコ企業を経て現職。経営者の気持ちもスタッフ心理も理解できる唯一のコンサルタント。厚労省推進PA選出など女性活用や人材育成に定評がある。業界特有のハラス問題も精通しハラスメント防止研修も多数担当。メイクアーティストや予防医学指導士の資格も持ち個々の才能を内外両面から引き出し組織作りを成功に導く。RMTIS接遇メイクエステ協会ラムティス代表理事、メイクスタジオ「ラフレイジュ」主宰。
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