「平成」から「令和」へと元号が変わった2019年。歴史的な節目の年にパチンコ(パチスロ)業界では何が起きたのか。この1年の主な出来事を編集部が独自にランキングした。本稿では第4位~第10位を紹介したい。
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目次
第10位 賞球数に係る内規改定~開発の自由度高まる
日工組は今年3月、賞球数に係る部分の内規改定を決議した。
改定では、射幸性の抑制に向けた取組みとして2016年に行われた内規改定によって規定されていた、①通常時のベース30以上、②ヘソ賞球数4個以上、③ヘソ以外の始動口、作動口賞球数1個以上、④一般入賞口賞球3個以上、の4項目が削除された。
改定の目的の根幹にあるのは「多種多様な遊技機を開発できる環境の構築」だ。新規則と旧規則が混在する中で、2021年1月末の完全新規則機時代に向け、早い段階で新規則機にシフトさせていくため、一辺倒ではなく多彩なゲーム性を有した遊技機を多く市場投入していくための決議だったと推察される。
今後、低ベース機をどう活用していくかがカギを握る。
第9位 手を携え依存対策を~ホール5社が共同声明
合田観光商事、ダイナム、ニラク、マルハン、夢コーポレーションの5社が今年1月、「パチンコ依存対策についての共同声明」を発表した。共同声明の内容は「パチンコ依存に対し、遊技を提供する立場として、真の依存対策となる『予防』のためのアプローチに注力し、安心して楽しめるパチンコを提供いたします」(一部抜粋)。
2020年は業界一丸となって、真の大衆娯楽の地位を確立したい。
第8位 6号機『Re:ゼロ』が大人気に~導入台数が6万台を突破!!
3月のホール登場以降、圧倒的な人気で全国のホールを席巻する大都技研の『Re:ゼロから始める異世界生活』。
その人気から、「レムパネル」、「双子パネル」、「剣聖パネル」と次々に新たなパネルが発表され、3度にわたり増産された。
これにより全国での導入台数は6万台を超え、1型式での台数としては6号機の中で最も多く設置されている機種となった。
なお、P-WORLDによると全国の店舗導入率は92.3%にのぼる。
第7位 日工組、日電協が新規則機イベント開催
新規則機の認知度を広め、普及を促進する目的で、日工組は2月に「みんなのパチンコフェス」、日電協は9月に「パチスロサミット2019」を開催した。
両イベントともに7,000人を超えるファンが来場。最新機種の試打や、各種ステージイベントを楽しんだ。ファンの熱量も感じられ、新規則機の普及に弾みをつけた。
第6位 厚労省が技術的基準を公表~喫煙専用室の設置が本格化
厚生労働省は2月22日、改正健康増進法に係る関係政省令を公表し、受動喫煙防止対策として喫煙専用室の技術的基準などを示した。
この中でパチンコホールを含む第二種施設等に設置できる喫煙専用室の技術的基準は、①出入口において、室外から室内に流入する空気の気流が、0.2m毎秒以上であること、②たばこの煙が室内から流出しないよう、壁、天井等によって区画されていること、③たばこの煙が屋外または外部の場所に排気されていることと定められた。
また4月26日には、改正健康増進法の施行に関する事項のQ&Aも示した。
Q&Aでは、区画に関することや、ホール関係者が最も注視していた「管理権原者の責めに帰することができない事由」の具体的な例などが示された。なお、ホールを含め飲食店・オフィスなどの屋内は、2020年4月1日より原則屋内禁煙となる。
第5位 消費税が10%に増税~賞品限度額などが変更
10月1日、消費税率が8%から10%に増税された。これにより、店舗における賞品の限度額は、9,600円に消費税を加えた1万560円となった。
また、消費増税に伴う遊技料金の値上げに関しても、判断が迫られた。ある情報筋によると、増税後1週間で遊技料金の変更に動いた法人は全体の5%程度。中小法人で変更する動きが大きく、大手法人は慎重な姿勢をとる傾向が見られたという。
変更に踏み切った法人のほとんどは、パチスロにおける47枚貸しから46枚貸しにしたもの。パチスロでは元々、外税対応が定着しているホールが多いことで違和感なく変更できた法人も多いという。現状、様子見の店舗が2020年にはどのような動きを見せるのか、注目したい。
第4位 適合率の向上など~風営法議連PTが提言
自民党の「時代に適した風営法を求める議員連盟」(風営法議連)の存在感が高まった1年でもあった。特に議連内に設置された「遊技機基準等プロジェクトチーム(PT)」は19年3月4月に集中的に会合を開き、規則改正後の業界の実状や問題点等を協議。これを踏まえて4月25日に『遊技機基準等に関する提言』を国家公安委員長(警察庁)に提出した。
提言の内容は、保通協試験の適合率の向上をはじめ、魅力ある遊技機の開発が可能な環境整備、警察当局と業界との協議の実施、射幸性と依存症の関連の合理性、ATMの撤去等の認識などを警察当局に求めるもので、業界側の意向が色濃く反映される形となった。
その提言に対し、8月5日の議連の会合で警察庁が状況を回答。中でも6号機の供給不足の要因ともなっている保通協試験の適合率については、試験方法や不適合の理由の一部を公開する方向で検討している、と報告した。保通協から適切な情報開示が進めば、適合率の向上につながる可能性は高い。ただ、現状ではまだその成果が出ておらず、パチスロの適合率は依然として20%前後で推移している。
一方、魅力ある遊技機の開発が可能な環境整備については、警察庁から解釈運用基準の見直しが示唆された。これについてはすでにパチンコの時短の解釈などの見直しが検討されている。
議連の提言により、状況が変わりつつあるのは事実だ。今後の議連の活動が注目される。