
AIと顔認証で来店データを分析すると、これまで常識とされてきたホール営業の「月間スケジュール」に意外な傾向が見えてきました。鍵となったのは、来店回数ではなく「連続来店」。データから見えた新たな仮説を紹介します(文=髙橋和輝/ピーメディアジャパン代表取締役)。
この記事のポイント
- 月内に連続来店した客は、連続来店のない客より翌月来店継続率が高かった。
- 来店回数が近い客同士で比べても、連続来店ありの継続率が上回った。
- 企画日を集中させる仮説は1店舗・2ヵ月分に基づくため、自店データで検証する。
今回は、とあるパチンコホールで、AIを使ってお客様の来店パターンを分析した話です。8月、9月に来店したすべてのお客様の顔認証データを調べたところ、これまで当たり前だと思っていたホール営業の「月間スケジュール」の組み方を見直す必要があるかもしれない、という興味深い傾向が見えてきました。
ただし、データはまだ2ヵ月分で、お盆期間も含まれています。立地や規模、客層、商圏が違えば結果も変わるでしょう。その点はあらかじめご留意ください。
それでも紹介したいのは、業界で長く続いてきた月間スケジュールの考え方そのものが変わる可能性を感じたからです。
ホールの販促は、30日の中に新台、特定日、月一企画、来店イベントなどを配置し、ピークをつくりながら弱い日をケアするのが基本です。私自身も概ねこの考え方で、競合や市場の動き、トレンドを追い風に、その月ごとにテーマを持たせて営業スケジュールを組んできました。
ところが、お客様一人ひとりの「月内の来店リズム」を分析すると、興味深い傾向が見えてきました。
ポイントは「連続来店」です。月内に2日以上の連続来店を経験したユーザーは全体の約35%。その翌月来店継続率は約67%だったのに対し、連続来店が一度もなかったユーザーは約30%でした。月間来店日数も、連続ありは平均約9日、なしは約3日です。
さらに、月6〜8回来店した客同士で比べても、翌月継続率は連続あり約70%、なし約45%。最長3日以上連続した客では約75%まで高まりました(※数値は契約上、実数ではなく、議論を損なわない範囲で加工しています。)。
つまり、重要なのは「月に何回来たか」ではなく、「連続して来たか」なのではないでしょうか。仮に月10日のイベント日を用意するなら、従来は30日の中に分散させます。しかし連続来店が鍵なら、4〜5日間の企画を月2回に集中させる発想もあり得ます。30日の中で山を散らすのではなく、数日間にわたって集中して盛り上げる。そのほうが次の来店につながる可能性もあるわけです。
もちろん、これは1店舗・2ヵ月分のデータから見えた仮説にすぎません。ただ、自店のお客様がどんなリズムで来店しているのかをAIで分析する価値は大きいと感じます。
そもそも、こうした来店リズムが十分に意識されてこなかったのは、検証する手段がなかったからです。数万人分の来店間隔を人力で追うことはできず、見えていたのは客数や売上といった合計値だけでした。
今回の分析は、前回の記事で書いた「合計値から個人へ」という話にもつながります。 AIと顔認証によって、数万人分の来店リズムを個人単位で捉えられるようになり、これまで感覚で組んでいた営業スケジュールを、実際の行動データから検証できるようになってきました。
つくづく、いい時代になったものだと思います。
月間販促の設計で押さえたい点
連続来店と翌月継続率の関係を自店のデータで確かめた上で、企画日の配置を判断することが重要です。
◆プロフィール
髙橋和輝株式会社ピーメディアジャパン代表取締役。大前研一ビジネススクール出身。18歳から現場一筋で、ホール企業勤務を経て、コンサルタントとして独立。業界初のホール企業向けサブスクサービスを12年運営。現在はパチンコ特化型BtoBプラットフォームを展開(2024年取引額約6.5億円)し、ホール営業×AIを開発中。




