
©SANYO BUSSAN CO.,LTD.
モードを切り替えることで、異なる2つのスペックを楽しめる――そんな業界初の「2 in 1ぱちんこ」が、2026年10月に三洋物産から発売されます。
その機種が「eACわんわんパラダイスCELEBRATION」です。「遊パチ77ver」と「ちょいパチ49ver」という2つのスペックを1台に搭載し、ホール側がモードを切り替えることで、それぞれ異なるゲーム性を提供できる仕組みとなっています。
ただ、「2 in 1ぱちんこ」そのものは、実は今回が初めてではありません。過去にも同様のコンセプトを持つぱちんこはいくつか登場していました。では、従来の2 in 1ぱちんこと今回のAC機では、いったい何が違うのでしょうか。そして、この仕組みは今後のぱちんこにどのような影響を与えるのでしょうか。
今回は、そのあたりについて考えてみたいと思います。
20年以上前にも存在した「2 in 1ぱちんこ」
過去の代表的な2 in 1ぱちんことして挙げられるのが、2004年にビスティから発売された「CRフィーバーツインズ」です。この機種は、台枠にある「気分転換ボタン」をユーザーが押すことで、ゲームモードを切り替えられる仕組みとなっていました。
競馬をモチーフにした「馬物語」と、将棋をモチーフにした「駒物語」という、それぞれ異なるゲーム性を持った2種類のモードを搭載。ユーザーがその日の気分に合わせて、任意に切り替えて楽しむことができました。
一方、ユーザーではなく、ホール側がモードを設定するタイプの2 in 1ぱちんこも存在しました。それが、2003年にエース電研から発売された「CRウインターコレクション」です。
横スクロールを採用した比較的シンプルな機械でしたが、背面のスイッチによって「クリスマスver」と「お正月ver」の2種類を切り替えられる仕様となっていました。発売時期が12月だったこともあり、導入当初はクリスマスver、年が明ければお正月verというように、季節に合わせた運用が可能だったわけです。
もっとも、機種のコンセプトそのものが「ウインター」だったため、真夏まで稼働していると若干の違和感もありましたが……そこはご愛敬ですね(笑)。
従来の「2 in 1」とAC機は何が違う?
このように、今から20年以上も前から「2 in 1ぱちんこ」と呼べる機械は存在しており、今回挙げた機種以外にも、複数のメーカーから少なからずリリースされていました。しかし、従来の2 in 1ぱちんこの多くは、あくまで「液晶演出の切り替え」にとどまるものでした。
モードを変更しても基本的なスペックは同じ。大当りた確率はもちろん、変動秒数やリーチ確率なども変わらず、基本的には「映像や演出の見せ方が変わる」というものがほとんどだったのです。ところが、今回登場するAC機はひと味もふた味も違います。
AC機における「モード」は、実態としては「設定」にあたります。そのため、ホール側がモードを切り替えることで、演出だけではなく、機械のスペックそのものを変更することができます。さらに、従来の設定機では変更できる要素が主に大当たり確率などに限られていましたが、AC機ではRUSH突入率や大当り出玉の振り分けなども変更可能となりました。
つまり、モードを切り替えることで、打ち手が感じるゲーム性はもちろん、出玉性能まで大きく変化させることができるわけです。ここが、従来の2 in 1ぱちんことAC機との決定的な違いでしょう。これまでの2 in 1は、極端に言えば「同じスペックの機械で、演出だけを着せ替える」というものでした。
しかしAC機では、モード切替によってスペックそのものを変えられるため、1台の中に「実質的に異なる2つの機械」を搭載することも可能になります。これまでの「演出が変わるだけ」のモード切替とは異なり、いよいよ本当の意味での「2 in 1」が実現した、といっても過言ではないでしょう。
では、そもそも「AC機」という名称はどこから来たのでしょうか。今回のAC機では、「遊パチ」と「ちょいパチ」という2種類のスペックを搭載し、それぞれ「A」と「C」を型式名に付けたことから「AC機」と呼ばれています。
現時点では、ホール側のモード切替によって「遊パチ」と「ちょいパチ」という異なる2つのスペックを運用できる機械を指す名称となっています。
ただし、個人的に注目したいのは、その先です。現在は「遊パチ」と「ちょいパチ」という組み合わせに限られていますが、今後、同様の仕組みを使ってスペックの幅をさらに広げることが認められるようになれば、ぱちんこの可能性は一気に広がるのではないでしょうか。
1台の機械を、営業方針やユーザー層、稼働状況などに応じて異なるスペックとして運用する。そんな時代が本格的に到来すれば、AC機は単なる「2 in 1ぱちんこ」にとどまらず、ぱちんこホールの営業や機械開発のあり方そのものを変える存在になる可能性があります。
AC機が一過性の仕組みで終わるのか。それとも、今後のぱちんこの新たなスタンダードにつながっていくのか。その第一歩となる「eACわんわんパラダイスCELEBRATION」の市場導入後の動向に、注目していきたいところです。
◆プロフィール
荒井孝太
㈱チャンスメイト 代表取締役
パチンコメーカー営業、開発を歴任後、遊技機開発会社チャンスメイト(https://chancemate.jp/)を設立。パチンコ業界をより良く、もっと面白くするために、遊技機開発業務の傍ら、ホール向け勉強会や全国ホール団体等の講演会業務など広く引き受ける。




