パチンコ業界が長年課題としてきた若年層との接点づくり。近年はSNSや動画配信を活用した情報発信が広がる一方、広告宣伝規制との兼ね合いから、ホール企業による発信には依然として制約も多い。そうした中、愛知県を中心にホール展開する玉越(髙木宏動代表取締役社長)が立ち上げたのが『VTuber事業』だ。単なる店舗PRではなく、独立採算型のエンターテインメント事業として運営されている点が特徴で、ホール企業による異例の挑戦として業界内でも注目を集めている。
独立採算型のVTuber事業として始動
事業の発端は、幹部合宿でのアイデア会議だった。本社を置く名古屋を離れ、自由な意見が飛び交う環境の中、当初はYouTuberの起用やSNS施策など、店舗プロモーションの延長線上で議論が進んでいた。しかし、議論を重ねる中で、自社VTuberを育成してはどうか、という案が浮上。一気に事業化へ向けた動きが加速する。
「とあるマネージャーから『VTuberって面白くないですか』という話が出てきて、会議に同席していた社長も『それ、面白いね』と。そのまま一気に走り出しました」と振り返るのは、事業責任者を務める一之瀬修取締役だ。しかし、パチンコ業界特有の広告宣伝規制が事業化にあたって最大の壁となって立ち塞がる。そこで同社では発想を転換した。
「ホール集客を直接目的とせず、YouTube広告収入やスーパーチャット(投げ銭)、メンバーシップ、グッズ販売など、VTuber事業単体での収益化を目指しています。いわば、ホール企業発のIPビジネスという位置づけで運用している点が、この事業最大の特徴と言えます」(一之瀬取締役)。
パチンコとの出会いを創出する新たな入口に
玉越がこの事業に込めるのは、単なる新規収益の創出だけではない。背景にあるのは「若年層がパチンコに触れる機会そのものが減っている」という業界共通の危機感だ。
「VTuber市場は若いユーザーが圧倒的に多いです。彼らに会社のプロモーションをするのではなく、配信を通じて“このアニメの台があるんだ”といったきっかけをつくり、パチンコに触れる機会になってくれれば、業界全体のプラスになると信じています」(一之瀬取締役)。
そして今年2月15日、業界初となるVTuberグループ『ミラクルゲート』がデビューを果たした。所属するのは「七穂にじは」「虹咲きらり」「神玻璃ぱいりん」の3名(プロフィール等は下記参照)。120名以上の応募者から選抜されたメンバーで、いずれもパチンコ・パチスロへの知識や熱量を持つ。中には、デビューから約1ヵ月で、チャンネル登録者数を5,000人以上伸ばしたメンバーもおり、ファンは拡大中だ。
一般ユーザーと同じように店舗へ並び、抽選を受け遊技する“ガチ実戦”が軸となるが、それ以外にもゲーム実況や雑談、家スロ配信など配信内容は多岐にわたる。
「コメントに対する回答はもちろん、コメント欄では視聴者同士の交流も活発で、単なる視聴コンテンツではなく、コミュニティとしての機能も生まれつつあります。既に3人とも収益化のラインは達成しており、事業としての出だしは好調です」(一之瀬取締役)と手応えを話す。
今後は2年間というスパンで収益性を見極めつつ、VTuberの増員も視野に入れていく考えだという。また、企業系VTuberという立場を活かし、新台プロモーションや公式配信など、既存の広告とは異なる接点づくりを模索していく方針だ。将来的には大手VTuberグループとの共演を夢見る。
パチンコ業界では、リアル店舗とデジタル接点の融合が重要テーマになりつつある。玉越のVTuber事業は、そのひとつの実験的モデルと言えるだろう。従来の広告宣伝とは異なるアプローチで、パチンコ文化への新たな「入口」を創出できるのか。今後の動向が注目される。

七穂 にじは(ななほ にじは)
- 座右の銘
- 勝つまで打てば勝ち!!
- 好きな台
- Pにゃんこ大戦争~多様性のネコ~M4
- 概要
- パチンコの神になりたい、ミラクルゲートの元気担当

虹咲 きらり(にじさき きらり)
- 座右の銘
- 挑まぬものに、勝利無し!
- 好きな台
- スマスロ ゴッドイーターリザレクション
- 概要
- オカルト全開で何が何でも勝ちにこだわる看板娘

神玻璃 ぱいりん(かみはり ぱいりん)
- 座右の銘
- 今日の負けは明日の万枚
- 好きな台
- ハナハナとジャグラー
- 概要
- 通常時を1番楽しく! 自称ミラクルゲートのぽんこつお喋りお姉さん担当
