【コラム】2026年、「欲求は刺激しているのに集客が増えない」と嘆くパチンコ店長へ

投稿日:2025年12月15日 更新日:

失敗しない売り場プロモーション㊾(文=野島崇範/株式会社プラスアルファ専務取締役)

欲求の地域差と告知量不足という2つの盲点

人間は欲求の生き物です。だからこそ、人間の欲求を刺激すれば欲しい気持ちは増幅して、消費行動に繋がります。

例えば、寒さが厳しい1月の夜に、家に帰って、冷えた部屋でコートを脱ぎながらスマホを開くと、「電気代を抑えながらぽかぽか」「一度使うと手放せない電気毛布」といった広告が流れてくる。その広告を見て電気代のシミュレーションを真面目にする人はいません。

「この寒さからすぐに解放されたい」という瞬間的な感情が、そのまま購入ボタンを押させます。つまり、人間の消費行動は論理ではなく感情なのです。

しかし、欲求を刺激しても結果が出ないという話を耳にします。その最大の理由は「欲求の地域差の理解」と「告知量の不足」の2つです。

場所が違えば価値観が異なる

まず、欲求は地域に依存します。例えば2024年11月~2025年10月のデータでは、宇都宮市の「餃子」月間平均検索数は60,500件、港区は14,800件。一方リーチ可能数(Googleの検索エンジンを使っている人の数)は港区6,740,000人、宇都宮市1,670,000人と、宇都宮市が約5分の1なのに、餃子の検索数は4倍。つまり「餃子を食べたい」という欲求は宇都宮市に偏っています。

これが欲求の地域差です。生まれた場所が違えば、価値観は異なります。価値観が異なれば行動は変わるのです。このことを無視して、全国の平均的な欲求を刺激しても、あなたの地域のお客様の欲求が低ければ、顧客反応は起きません。

宇都宮市と港区のリーチ可能数

地域の顧客を動かすポイント

この構図は、最新機種はもちろん、ジャグラー・沖スロなど機種欲求にもそのまま当てはまります。成果が生まれないお店ほど、全国トレンドに依存し、地域のお客様の欲求を見ていません。

どのような欲求が高いのかを把握しないまま、全国平均の感覚で機種や企画を決めてしまう場面を多々見受けます。地域の欲求と異なった状態で、いくら店内プロモーションで欲求を刺激しても、地域のお客様は動きません。

地域別の機種の欲求の一例

意識すべき告知構成比率

もう1つの問題が存在します。それは告知量の不足です。

現場を見ると、風除室A1イーゼル1脚、島入口A1イーゼルが1脚、中央通路に横型A1イーゼルが1脚、台間A6ミニチラシ……合計4~5ヵ所だけで欲求の高いものを伝えようとしているケースが多いです。

これでは、お客様に伝わりません。

当社が独自に開発した店内プロモーションの数値化の指標「告知構成比率」で見ると、このようなお店では、欲求の強い取り組みを店内告知の5%未満のボリュームでしか伝えていません。

理論上、5%未満とは店内で20回の広告に出合っても1度も欲求の強い取り組みの告知内容に出合わないということです。お店は十分に伝えているつもりでも、お客様の実感や体感では印象には残りません。だから、増客に繋がらないのです。

増客につなげるためには
①営業戦略も基に地域で最も強い欲求を見極める
②その欲求を、まず告知構成比率15%を基準に打ち出す

この2ステップが欠かせません。

欲求を刺激しているのに成果が出ないと嘆いているお店は、地域に根ざした欲求ではないか、告知構成比率で明確に伝わるレベルで打ち出していないか、あるいは両方がズレている可能性があります。

自店の告知を一度見直し、「地域ならではの欲求を、十分な量で伝えられているか」を棚卸しすることが、まずは大切です。

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◆プロフィール
・野島崇範(のじま たかのり)
1983年三重県生まれ。北海道教育大学卒。全国のホールを年間1,000店舗以上調査し、その中から繁盛店に共通する法則を見つけ出し「伝達力」と定義。「伝達力」調査の分析に基づき、お客様立場の徹底と継続の重要性を、支援先ホールの全スタッフと共有する。また、売り場ランチェスター戦略の第一人者として、科学的に売り場の支援を実施。売り場の書籍「あなたの売り場、太っていませんか?」を発売。

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