現場感で感じることとして、最近はぱちんことパチスロの回遊ユーザーが以前よりも増えた印象があります。マクロデータで見てもその流れは顕著であり、ぱちんことパチスロのそれぞれを楽しむ二刀流ユーザーは増えている印象です。
それを裏付けるデータの1つとして、シーズリサーチさんが1995年から継続的に実施している「パチンコ・パチスロプレイヤー調査」という参加人口の推移(2003年~2025年)、年代・頻度・目的別の参加状況、会員カードや来店ポイントの利用状況、新台で遊びたいシリーズ、娯楽参加者の年収等々も分析しデータをまとめた書籍があります。また、こちらの調査結果の一部はweb上でも公開されていたりするので、私も興味深く拝見させていただくことは多いです(参考記事:パチンコ・パチスロ参加人口が865万人に回復 若年層で増加傾向も)。
そんなパチンコ・パチスロプレイヤー調査によると、ユーザーのPS参加割合に関して、面白いデータとなっていたのでご紹介したいと思います。
2015年 Pのみ打つ 41.5% Sのみ打つ 28.0% 両方打つ 30.4%
2025年 Pのみ打つ 27.0% Sのみ打つ 10.1% 両方打つ 62.9%
実にこの10年でぱちんこ、パチスロを両方ともたしなむユーザーが倍増しています。またパチスロしか打たないユーザーが激減しており、パチスロユーザーの殆どはぱちんこも打つというデータになっております。勿論、その「頻度」という面においては、パチスロがメイン稼働となり、パチスロで打つものがない場合や、ぱちんこで打ちたい台が出てきたときはぱちんこの稼働という具合が多かったりするのだと思いますが、ひと昔前では考えられない状況になってきています。
我々開発側としても、こうした状況を受けて、パチスロを主に遊技しているユーザーを、いかにぱちんこへ呼び込むかを考えるようになりました。最近では、パチスロ側も多少なりともぱちんこを意識した開発を行っているのも事実です。
例えばですが、ぱちんこにおいてはスタート回転数が従来よりも多く回りストレスなく打てる「デカヘソ機」が最近少しずつ導入が増えているだけではなく、今度、サンセイアールアンドディ社からは超ドデカSにプラスして、新スタートシステムの「コテスタ」が発表になりました。
このように、従来パチスロでは1,000円でも最低では16回以上を回すことができるという最低保証的なところを、徐々にぱちんこでも意識した機械作りをしているといって過言ではないでしょうし、パチスロにおいても近年では、ぱちんこ同等、映像表現に力を入れるメーカーが増えてきた印象があります。
そのような状況において、ホール側も販促面においてもP、Sの同一版権機においてはダブルで訴求することもひと昔前に増えてきたと思います。最初に書かせていただいた通り、現場感でもP、Sを回遊するユーザーが増えてきたなという印象を持たれているからこその動きなのかなと感じております。
この流れは、今後ますます加速することが予測されます。これは、ある種当然の流れだと思っておりまして、販促広告の進化やSNSを始めとしたパチンコ系Youtuberの存在も大きいと感じております。実際に私もパチンコ系Youtubeはよく見ますし、見ていると初めての台でも打ちたくなることが多いです。
そんな時代だからこそ、逆にぱちんこ、パチスロ、それぞれでしか感じれない面白さをもった機械という所にもポイントの1つとして抑えてほしいです。例えば、ぱちんこのハネモノ機なんかはぱちんこならではの遊びです。このように、P、Sの回遊性が高くなってきた今だからこそ、ぱちんこ、パチスロ、それぞれの良さを持つ機械というのが大切になってくる場面もあるということだと思います。
◆プロフィール
荒井孝太
㈱チャンスメイト 代表取締役
パチンコメーカー営業、開発を歴任後、遊技機開発会社チャンスメイト(https://chancemate.jp/)を設立。パチンコ業界をより良く、もっと面白くするために、遊技機開発業務の傍ら、ホール向け勉強会や全国ホール団体等の講演会業務など広く引き受ける。
                            


