失敗しない売り場プロモーション㉝(文=野島崇範/株式会社プラスアルファ専務取締役)
『ミスタージャグラー』が7月22日の週に導入されました。現時点(7月23日時点)では、『ミスタージャグラー』の検索数は導入機種の中で比較すると伸びてきています。スマスロの『ゴッドイーター』も伸びる予測(赤の点線)が示されています。
本コラムでは繰り返し、検索は顧客欲求であると伝えております。大切なことなので、本コラムでは何度も何度も伝えていこうと考えています。なぜ繰り返すのかというと、同じ情報に何度も接触することで、脳の中にある海馬(短期記憶から長期記憶へと情報をつなげる中期記憶を担う器官)を刺激して、記憶が強化されます。
検索推移で顧客欲求を把握する
脇道に逸れましたが、本題に戻ります。特定の物事を求めるお客様が多ければ、特定の物事の検索数は増えます。さらに、お客様の欲求が強ければ、特定の物事の検索数は高い数値で推移します。だから、検索の推移を追えば、顧客欲求が把握できるということです。
弊社が運営するデザイン定期便というポスターのダウンロードサービスでは、機種の検索数および機種の集客力を見極めて、どの機種のデザインをどれだけ増やすのか選定しています。
6月上旬の導入機種の中では、『スマスロ聖闘士星矢』が圧倒的に高い検索数でした。また、7月上旬の導入機種の中では、『スマスロシンフォギア』が最も高くて、次に『スマスロ北斗無双』でした。
お客様に人気の機種は、競合他店と比較して、あなたのお店の人気機種により一層お客様を呼び込むために、人気機種の告知内容を定期的に変化させる鮮度プロモーションが有効です。本コラムを執筆している7月23日時点では、まだ『ミスタージャグラー』のデザイン数は多くないです。もう2~3日、集客状況と検索数を見て、大幅にデザインを増やすかどうか判断します。
コンセプト決めに検索数を活用
そして今回、本コラムを愛読して頂いている方に、最も伝えたいことは機種の相対比較だけに検索数を使うのではなく、競合店のコンセプトに負けない自店のコンセプトを決める場面でも検索数を活用して欲しいということです。
ここ最近、私は競合店のリニューアルオープンの対抗策を練る仕事をする機会が増えています。その対抗策の一つとして、お客様にどのようなお店を目指しているのか店舗のコンセプトを創ることがあります。ただし、ここで注意を払わなければならないのは、自店のコンセプトを決めたとしても競合店のコンセプトに負ける言葉であれば勝負をする前からコンセプトの勝敗はついているため勿体ないです。
例えば、競合店が「進化」というコンセプトの場合、あなたならどのようなコンセプトを打ち出して対抗しますか?「超越」というコンセプトで対抗するのは、正しいでしょうか?
進化を超える言葉を検索数の相対比較で見ると、「面白い」や「もっと」です。さらに明確なコンセプトの力強さを生み出すために、強い言葉と強い言葉を組み合わせて「もっと面白い。」というようなコンセプトで対抗するなど、顧客欲求の高い言葉を使うことが重要です。
なぜなら、我々は自分自身の馴染のある言葉は自然と受け取れるからです。例えば、「それガーチャー?」と言われて伝わりますか? 2024年上半期Z世代が選ぶ流行った言葉です。
私は分からずにGoogleで調べました。検索数が多い言葉というのは顧客欲求を現すだけでなく顧客に浸透している言葉とも言えます。だからこそ、競合店に負けない言葉にこだわることが重要です。
【お知らせ】
ジャグラーのデザインと言えばデザイン定期便
https://www.uriba-design.com/
◆プロフィール
・野島崇範(のじま たかのり)
1983年三重県生まれ。北海道教育大学卒。全国のホールを年間1,000店舗以上調査し、その中から繁盛店に共通する法則を見つけ出し「伝達力」と定義。「伝達力」調査の分析に基づき、お客様立場の徹底と継続の重要性を、支援先ホールの全スタッフと共有する。また、売り場ランチェスター戦略の第一人者として、科学的に売り場の支援を実施。売り場の書籍「あなたの売り場、太っていませんか?」を発売。