失敗しない売り場プロモーション㉛(文=野島崇範/株式会社プラスアルファ専務取締役)
機種の検索数で顧客欲求を知る
2024年5月7日に『Lパチスロ炎炎ノ消防隊』と『PF炎炎ノ消防隊Light ver.』が同時に導入されました。また、同時期に『スマスロエウレカセブン4』やパチンコの『Pラブ嬢~極嬢のハーレム体験~』、『P七つの大罪2』など合わせて5機種が導入。5機種の検索数の比較では、『Lパチスロ炎炎ノ消防隊』が下のグラフを見ると群を抜いて高いことが分かります。
しかし、圧倒的多数のお店は、店長ご自身が好む機種を強化しています。つまり、顧客欲求を無視して情報発信を実施しているため、どれだけ素晴らしいデザインで、伝わる売り場プロモーションを実施しても伝わらないのです。
もっと分かりやすく伝えるために視点を変えます。本日、赤色の車を何台見ましたか? または赤色の服を着た人を何人見ましたか? 恐らく、正確な台数や人数を記憶している人はいないはずです。
もし覚えていれば、大の車好きや洋服好きです。基本的に私たちの脳は自分自身の興味のあるもの以外は、面倒に感じて記憶しません。
私たちは、自分事となると興味がないものを見ようともしないのに、いざ自分自身が広告を行う際は、顧客視点を失い、顧客欲求を考えることをせず発信を行います。そのため、伝わる広告の原点は顧客欲求に結びついているかが極めて重要です。そして顧客欲求は検索に表れます。
私たちは、知りたい時、食べたい時、買いたい時など欲求が生まれた瞬間に検索します。もちろん多様性の時代であるため、それぞれ人によって好き嫌いは違います。しかし、結局、私たちは人間であるため、大枠で捉えると個が消えて欲求は偏ります。
では、パチンコ店の具体的な事例に話を戻しますが、5月7日の新台入替は同じコンテンツがスマスロとパチンコで導入されたため、多くのお店ではスマスロの炎炎ノ消防隊とパチンコの炎炎ノ消防隊を連動させたプロモーションを実施していました。
しかし、赤色の折れ線グラフをご覧いただくと、パチンコ炎炎ノ消防隊の検索数は、スマスロ炎ノ消防隊と比較すると半減以下でした。そのため、顧客欲求に適合させるならスマスロ炎炎ノ消防隊を一推しの最新台として1枚の広告として打ち出す必要がありました。それ以外の残り4機種はほぼ同じような検索数であるため、1枚にまとめてしまっても良いかもしれません。
ちなみに、スマスロ炎炎ノ消防隊は5月10日をピークに山谷の攻防を繰り返しながら、欲求を微減で保っています。しかし、このグラフの推移を見ると、欲求が全体的に低下しているため、長期的な集客は難しい可能性があります。
執筆時は5月下旬であるため、恐らく記事の公開日には長期稼働する機種かどうか白黒はっきりしているはずです。顧客欲求を表す検数数を確認しながら広告量を増やすのか、減らすのか、それとも外すのかを見極めることが重要である。
同様に7月8日導入予定の『スマスロ真・北斗無双』と同時期に導入される機種の状況です。どのような情報発信を行うのか、顧客欲求と連動させて、今後は練り上げていくことをお勧めします。
検索の多いキャラを広告に使用
また、どのキャラクターを使用するかも科学的に判断できる時代です。例えば、『スマスロモンキーターンV』であれば、どのキャラクターを使用しますか? 主人公だからという安直な理由で波多野憲二を広告に多用していませんか?
青島優子というキャラクターが最も調べられているため、弊社が運営するデザイン定期便では、青島優子を多用しています。
2024年の私のテーマは、パチンコ業界の広告が少しでも科学的に、そして顧客欲求に寄り添えるようになる発信をすることです。答えが分かる時代です。自分自身で間違った答えを出すのではなく、分析ツールを活用しながらお客様の気持ちに適合する発信を行いませんか?
【お知らせ】
スマスロ真・北斗無双のポスターが豊富なデザイン定期便
https://www.uriba-design.com/
◆プロフィール
・野島崇範(のじま たかのり)
1983年三重県生まれ。北海道教育大学卒。全国のホールを年間1,000店舗以上調査し、その中から繁盛店に共通する法則を見つけ出し「伝達力」と定義。「伝達力」調査の分析に基づき、お客様立場の徹底と継続の重要性を、支援先ホールの全スタッフと共有する。また、売り場ランチェスター戦略の第一人者として、科学的に売り場の支援を実施。売り場の書籍「あなたの売り場、太っていませんか?」を発売。