先日、パチンコ(パチスロ)新台の導入前にYoutubeやX(旧Twitter)等のSNSを中心として、試打動画や詳細なスペック等が出回ることにより新鮮さが失われ期待感がなくなり、稼働貢献週に影響を及ぼしている可能性がある等の話が広がりました。本日は一開発者としてそのあたりのお話をしていきたいと思います(文=荒井孝太/チャンスメイト代表取締役)。
■大前提として面白い機械は長期稼働する
当たり前の話なのですが、どんなに影響力があるインフルエンサーが何を言っても、面白いパチンコ(パチスロ)が稼働するのは間違いございません。非常に厳しい結論から申しますと、少しSNSで先に情報が出たぐらいで稼働が落ち込んでしまう機械というのは、所詮その程度だったと言うことに他なりません。
似たような話で「アプリ」の話も昔からありました。新台導入時にゲームやアプリ等を同タイミングで配信するのは、新台の稼働に影響を及ぼすのでは?という議論です。
こちらも私は懐疑的でして、本当に面白い機械のアプリならばアプリだと物足りなくなるので実際の機械を打ちたくなるはずです。なぜならアプリではその面白さを100%体感することはできないですし、現場で打ちたくなると思います。事実、最近、流行りのポーカーアプリや麻雀アプリなどもアプリから実際の現場への回遊が多いとお聞きします。
■良い部分だけを享受することはできない
他方でこれは界隈では有名な話なのですが、某Youtubeチャンネルが配信した翌日は、全国のホールコンデータに影響が出るほど稼働が上がる影響を持つインフルエンサーが存在したりもします。
私もそのチャンネルは良く見るのですが、非常に機械の特徴を把握し、実に面白そうに遊技されているので、私もその機械を打ちたくなったりします。おそらくですが、本当に面白いと思ったことを思った通りに配信しているので、見ている方も心が動かされるのだと思います。
このようなチャンネルはメーカーからも非常に好印象なのですが、一方で、それはプラスの部分だけは享受したいけど、悪い話等はフタをしたいという話に他ならないと考えます。
私はメーカーとしてその機械を世の中に出した以上は、良い話も悪い話も全て受け入れる必要があると思っています。もちろん、悪意があり意図的に貶める内容に関してはNGであることは言うまでもありません。
良い評判だけは言われたいという、そんな都合の良いことは無理です。世の中に問うた以上は、良いことも悪いことも言われる前提で進めないといけないですし、このような時代とわかっているからこそ「たかが1時間やそこらの試打では全く把握できない」ような機械の作り方、開発力というのがこれからの時代はより求められていることだと思います。私も一人の開発者として自戒を込めたいと思います。
◆プロフィール
荒井孝太
㈱チャンスメイト 代表取締役
パチンコメーカー営業、開発を歴任後、遊技機開発会社チャンスメイト(https://chancemate.jp/)を設立。パチンコ業界をより良く、もっと面白くするために、遊技機開発業務の傍ら、ホール向け勉強会や全国ホール団体等の講演会業務など広く引き受ける。