【レポート】「21世紀会決議」改定によるパチスロ市場への影響

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21世紀会決議の改定により、旧規則機の撤去期限が2022年1月末まで延長された。ホール関係者にとってプラス材料なのは間違いないが、新規則機への入れ替えを進める上での不安材料は、特にパチスロにおいて今なお消えない。

パチンコ・パチスロ産業21世紀会は5月7日、旧規則機の撤去期限などを定めた「21世紀会決議」について、内容の一部改定を決議した。

今回の改定により、一部の旧規則機の撤去期限が延長されることとなる。当初2020年末までに検定、認定切れの予定だった甘デジや、ジャグラーに代表されるノーマルAタイプ機などは、改定前と比較し、5ヵ月間、撤去期限が後ろ倒しとなった。

また、当初2021年以降に検定、認定切れの予定だった遊技機は、2022年1月末を撤去期限(改定前は2021年11月末)とし、「新目標 新規則機設置比率(PC/PS合算)」を目途に撤去を進めることとした。

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改定に至る流れは、4月21日に全日遊連の阿部理事長などが警察庁を訪問。11月末までの撤去に関して、新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、非常に厳しい状況であることを説明した。4月26日には、8団体(6団体+余暇進、MIRAI)の代表者が集まり、今後の取組みについて検討を行い、新たな撤去プランを策定。4月28日、新たな撤去プランについて、警察庁の理解を得た。そして、5月6日に21世紀会決議の一部改定案が取りまとめられ、5月7日に改定について決議を行った。

パチスロは依然
先行き不透明

今回の改定について、大方のホール関係者がプラスに捉えている。関東地方のあるホール店長は「年末年始の営業で旧規則機が使えることは、ホールにとってもお客様にとっても良いことと思う」と話す。

焦点は、新規則機への完全入替の見通しだ。旧規則機の残存台数は4月末時点で151万台。一方の新規則機の設置台数は243万台で、比率にして61・6%である。21世紀会決議ではこの比率を今後、段階的に高めていって来年1月末で100%にすることを目標値として掲げているが、果たして順当に進捗していくのだろうか。

この点、パチンコとパチスロでは大きく事情が異なる。当然、パチンコの方がはるかに進捗しやすい。あるホール関係者は「パチンコは自然に入れ替えを進めていけば、新規則機への完全入替に対応できる予定だ。最後まで使いたい旧規則機は北斗無双ぐらい」と話す。一部のパチンコ新規則機は既に、旧規則機の出玉ポテンシャルを超えているとも言われており、海物語シリーズや他の定番タイトルの新台も十分な供給体制が整っている点が、新規則機の普及を大きく後押ししている。

一方のパチスロ。こちらは依然として極めて厳しい。パチスロに限って見た新規則機の普及率は4月末時点で53.6%。今後8~9ヵ月で、市場全体の半分弱、台数にして83万台を新規則機に入れ替えなければならない。

5月以降も、パチスロは新規則機への移行が依然として捗っていない。全日遊連が6月7日付けで各都府県方面遊協宛に送付した文書によると、5月の1ヵ月間で全国のホールが導入した新規則パチスロ機は2.6万台に過ぎなかった。都内ホール関係者は「新規則機への入れ替えを進めなければならないが、6号機の新台購入は基本的に厳しい。導入しても機械代すら回収できずに終わる可能性が高いからだ。限られた予算の中で、高い新台にお金は掛けられない」と言う。

新規則機への入替計画について聞くと、「パチンコが先行し、パチスロは期限ギリギリに集中する予定。多くのホールが同じだと思う」と見通した。

パチスロ市場の中軸は、言わずもがなジャグラーシリーズだ。高射幸性パチスロが姿を消した今、集客も利益もジャグラー頼みのホールが増えている。

新規則機への入替を計画する上で、キー要素となるのが6号機ジャグラーの販売動向。21紀会決議の改定を伝える資料には「(6号機ジャグラーの)供給可能台数は3機種で約16万台を予定(5~8月:約3万台、10~11月:約6万台、12~1月:約7万台」と記載されている。

しかし、それ以上の具体的な内容は今のところ不明で、各ホールが6号機ジャグラーをいつどの程度、導入することができるのか、現時点で把握するのは非常に難しい。6号機ジャグラー導入の目途が立たない以上、他の6号機の入替計画を立てにくい、これがパチスロ新規則機への入れ替えが進まない背景のひとつだ。

5号機ジャグラー再強化

「21世紀会決議」の改定は、現役稼働中のジャグラーの運用にも影響を与えているという。あるコンサルタントは「特に地域1番店クラスのお店で、5号機ジャグラーの集客を強化する傾向にある」と話す。

昨年末から今年にかけてのジャグラーの運用について同氏は「当初は6号機ジャグラーの育成に力を入れるホールが多かったが、5号機ジャグラーが現役のため、なかなか上手くいかないホールが多かった。今回、撤去期限の延長により時間的な余裕が生まれた。6号機ジャグラーの育成を後回しにし、5号機ジャグラーの強化に方針転換が図られている」と説明する。

こういった動きは、完全新規則機時代を見据えての施策でもあると同コンサルタントは分析する。

「旧規則機が撤去期限を迎える来年2月以降、パチスロユーザー数は今よりも確実に減るだろう。私の感覚的な予想では現状の6掛け程度だ。しかし同じ減るにしても、自店の客数が100人と150人では、その後に残る人数が異なってくる。であるなら、今の内にユーザーが反応しやすい5号機ジャグラーで集客を強化し、自店の客数や信用力の向上を狙う。投資の観点で見れば、無理に6号機の新台を買うより費用対効果が高い」。

残された期間をどう有効的に活用すべきか。各ホールの力量が問われている。

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