声明文は同日都内で開催されたPCSA第9期定時社員総会の席上、消費税見直し研究会の加藤英則委員長から読み上げられた。
声明は将来的に避けられない見通しにある消費税率の引き上げに際して、セット導入が想定される「インボイス方式」に問題点を指摘。その上で最終的に導入が決定された場合でも改善運用がなされるように団体間の垣根を越えた業界全体レベルの議論・検討を今から進めるよう提案するものだ。
日本の消費税に相当する付加価値税の標準税率がすでに15%以上というヨーロッパ諸国では、付加価値税をめぐる仕入税額控除制度の運用に、このインボイス方式が広く導入されている。インボイスは仕入れ時に支払った付加価値税(消費税に相当)の税率や税額等を具体的に記載した書類のことで、インボイスが発行されないと仕入にかかった支払済の税額でも控除されない仕組みになっている。
インボイス方式のセット導入は食料品等への一律増税を避ける軽減税率の適用が視野に入るため。消費税が複数税率化すると適用税率がモノやサービスによって異なることから帳簿や領収書、請求書をベースに控除額を算出している現行の「請求書等保存方式」では対応が追いつかなくなる可能性が指摘されている。
だがEU版が準用されるとインボイスの発行が納税事業者に限られるために消費者から仕入れを行う古本屋や古物商、景品買取業者にはインボイスは発行されず、仕入税額控除はできなくなる。総会後のセミナーで講演した和氣光税理士は、この点を改善した日本版インボイス方式の検討に理解を求めていく必要があるとの見方を示した。