問題となった案件は97年、ア社(当時千歳ドーム(株))が阪急電鉄(現阪急ホールディングス)にパチンコ店を売却、その後月額約1億円で同社からこの店舗を借りていたというもの。東京国税局では04年、この賃料が相場より高いとして賃料の一部を経費と認めず、重加算税等を含め約27億円を追徴課税していた。
しかしア社ではこの賃貸契約が正当な商取引であると主張。東京地裁に追徴課税の取消を求める裁判を起こしていたが、6月29日にア社の主張をほぼ全面的に認める判決が下された。国税局は期限である7月13日までに控訴せず、ア社の勝訴が確定した。
勝訴確定を受け同社では東京都千代田区の本社にて業界誌の取材に応じた。横山浩久常務は、「当社では日頃から人一倍遵法営業を心掛け、不正の起きないシステム作りに注力してきた。それだけに今回のような案件は非常に遺憾。なぜ指摘を受けたのか分からないし、取消請求訴訟では勝てると確信していた。しかし裁判に勝ってもこの3年間で失ったものは大きい。金融機関の信用を失い、資金繰りのため営業店舗の売却も余儀なくされた。心ならず解雇せざるを得なかった従業員もいる。単純に勝てて良かったという問題ではない」と心情を吐露。当時12店舗あった同社の営業店舗は現在7店舗となっている。
また、橋本芳麿企画部長は、「一旦納税しないと異議を申し立てられない、裁判期間が長い、といった問題にも苦しめられた。しかしそんな中でも支援をいただいた業者の方々、我々を信じて付いてきてくれた従業員たちに感謝している。今後は厳しい状況下で培った知恵と情熱をプラスの方向に役立てたい」と今後を見据えた。