【コラム】大きさからの脱却― 盛る発想が逆効果になる時代

投稿日:2026年6月15日 更新日:

失敗しない売り場プロモーション_55(文=野島崇範/株式会社プラスアルファ専務取締役)

「大きいこと」は正解なのか?

パチンコ業界では長年、「大きいこと」は正義として扱われてきました。設置台数、出玉ランキング、最大出玉、継続率など広告展開において、少しでも数字を大きく見せることが集客力につながるという考え方が根付いています。

しかし、この数字を盛る発想は本当に有効なのでしょうか。
例えば、出玉ランキングを告知する際、ほぼ全てのパチンコ店が月間ランキングを掲示しています。出玉ランキングの出玉数を大きく見せたいため、月間ランキングとして打ち出したい気持ちは理解できます。しかし、7月に6月の出玉ランキングを打ち出しても、お客様の感情を動かすことは難しいです。なぜなら顧客は過去の話より、今の話が知りたいのです。そのため、大きな数字を見せるより、情報鮮度の高い1週間前の出玉ランキングを見せた方が効果的です。

また、設置台数プロモーションに関しても大きく見せる習慣が染みついています。本来は『エヴァ17』のみで見せるべきところを、設置台数が少ないため『エヴァ15』と合算し、「エヴァシリーズ」としてスケール感を打ち出すパチンコ店が非常に多いです。確かに数字は大きく見えます。しかし、エヴァ17導入後、エヴァ15の集客力は落ちたため、顧客欲求の高い機種と、顧客欲求の低下し続ける機種を同格で扱うことは無理があります。顧客欲求の低い機種と掛け合わせた顧客反応を生み出しづらい広告展開となります。

さらに問題なのは、パチンコ機のスペック訴求です。「継続率81%!」「ALL1500発!」など、大きな数値を前面に出す広告が現在も主流です。しかし、ユーザー心理は店舗側が考えるほど単純ではないです。現在のお客様は高継続率を見れば、「そこへ到達するまでが重い」と理解します。大量出玉を見れば、「その分、通常時は厳しい」と連想します。つまり、大きな数字を強調すればするほど、荒さや遊びづらさを想起する可能性が高いです。

顧客が求める現実的価値

では、これからの店長に必要な視点とは何か。
それは、ユーザーが本当に知りたいのは、誇張された最大値ではなく、自分事として想像できる現実的価値なのです。数字を大きく見せる時代から、誠実に伝える時代へ。店長自身がその意識転換を行えるかどうかが、今後のあなたのお店の広告がお客様に信頼されるかどうか大きく左右します。

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◆プロフィール
・野島崇範(のじま たかのり)
1983年三重県生まれ。北海道教育大学卒。全国のホールを年間1,000店舗以上調査し、その中から繁盛店に共通する法則を見つけ出し「伝達力」と定義。「伝達力」調査の分析に基づき、お客様立場の徹底と継続の重要性を、支援先ホールの全スタッフと共有する。また、売り場ランチェスター戦略の第一人者として、科学的に売り場の支援を実施。売り場の書籍「あなたの売り場、太っていませんか?」を発売。

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