【コラム】パチスロ『シェイクBT』に見る 「続く未来」 を描かせる設計思想

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ノーマルタイプにおけるボーナストリガー(BT)は、長らく“当選のきっかけ”として扱われてきました。しかしパチスロ『シェイクボーナストリガー』は、そのBTの概念を根本から作り替えた機種だと考えています。

本機が提示したのは「トリガーが次のトリガーを呼ぶ」という連鎖構造であり、単発の報酬ではなく「流れそのもの」を報酬化した点に大きな価値があります。ノーマルタイプでありながら塊の出玉を自然と期待させる――この新しい体験こそが、本機の核心だと言えるでしょう。

未来を想像する瞬間が最大の快感

心理学では、人が強い快感を覚えるのは「報酬を得た瞬間」よりも「この先どうなるのかを想像した瞬間」だとされています。

プレイヤーはBTの連鎖が起こるたびに、無意識のうちに未来の自己像を描きます。「このまま伸びるかもしれない」「今日は流れを掴んでいる」。この「肯定的な未来イメージ」こそが、継続意欲と没入感の源泉です。

従来のBT機は瞬間的な期待を生むに留まっていましたが、『シェイクボーナストリガー』は「未来を描かせるBT」へと進化させた点が決定的に異なっています。

ノーマルタイプが抱えていた
未来の非対称性

ノーマルタイプはシンプルであるがゆえに、「ハマる未来」ばかりが鮮明に想像できてしまう欠点がありました。BIGが引けなければ追加投資、ハマればさらに深くなる……。悪い未来はリアルにイメージできる一方で、「短時間で塊を得る未来」は浮かびにくい。

これを心理学的に言えば、肯定的未来イメージの欠如が起きていたのです。結果として、ノーマルタイプの続行意欲を弱める大きな要因となっていました。

シェイクは手に届く未来を提示

BTの連鎖が起こるたびに、「このまま続けば1000枚クラスの塊が生まれるかもしれない」という期待が自然と立ち上がる。本機が提示する未来は、AT機のように03000〜5000枚といった非現実的なサイズではなく、自分にも起こり得る『等身大の塊』です。プレイヤーが「これは自分にも起こり得る」と感じられる未来こそが、ノーマルタイプの根本的な弱点を補完し、BT連鎖タイプの最大の進化点だといえます。

ノーマルタイプに物語性を取り戻した

ノーマルタイプは従来、「どこを目指し、いまどの位置にいるのか」という『流れの体験』が乏しく、点の遊技になりがちでした。しかしBT連鎖は、プレイヤーに物語の所有権を返しています。
・いまは序章
・連鎖が続けば中盤
・1000枚の塊が生まれればク ライマックス

プレイヤーは自ら物語を進めている錯覚を得ます。これは北斗の継続バトルやからくりの激情ジャッジと同じ心理構造であり、ノーマルタイプとしては非常に珍しい没入感です。

未来が描けるノーマルタイプという新機軸

『シェイクボーナストリガー』は、ノーマルタイプが長年抱えてきた「未来が描けない」という構造的な欠点を解消し、「続く未来」に価値を置いた新しいBTの形を示した機種だと考えます。今後、BT搭載機がヒットするためには、
・ BT連鎖の必然性
・未来の自己像を描かせる設計
・プレイヤー自身が物語を所有する感覚
といった要素が欠かせません。

本機はその方向性を指し示した、確かな転換点であると言えるでしょう。

◆プロフィール
小島信之(こじまのぶゆき)
トビラアケル代表取締役

2018年まで首都圏、静岡、大阪に展開するホール企業で機種選定を担当。2019年に独立し、その分析力を活かしエンタープライズの全国機種評価等を開発。現在はメーカーの遊技機開発、ホールコンピュータの機能開発など、幅広い分野に携わり、変態的なアイディアを提供している。馬と酒とスワローズをこよなく愛する。

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