甘い機種を導入することに対して、粗利面で不安だという声をよく聞きます。そこで今回は粗利面にも考慮した、甘い機種を来店同機に結び付ける手法について解説します。参考にしていただき自店の強みを増やしましょう。
直近のパチスロ市場において、ボーナストリガー機の『LBアレックスブライト』が高稼働を継続しています。BT込みのBIG獲得枚数が350枚を超える一方、ボーナス確率が重すぎず、10%でBTループも搭載している点がヒットの要因と思われますが、それだけではなく、フル攻略で出玉率が100.2%という甘さも稼働を支える要因となっていると分析しています。
設定1でも技術介入をすることで甘くなる機種はこれまでにも、『ディスクアップ』『新ハナビ』『バーサスリヴァイズ』『マッピー』『ガメラ』『ハイパーラッシュ』など多くの機種が登場しています。しかし、稼働が安定している一方、粗利が取れないという理由で減台や撤去されるケースも多いのが実情です。
以前、激甘機種として話題となった『いろはに愛姫』は出玉率が102%程度あり、ほぼ確実に赤字となるため撤去せざるを得ませんでした。しかし、100%前後の機種は等価交換では厳しくても11割分岐では長い目で見れば赤字にはなりません。
20円パチスロの平均稼働が1万2,000枚を超えるようなホールでは、甘い機種は台数を見極めて減台・撤去するべきです。甘い技術介入機を打つ層を切り捨ててでも、台粗利が取れる機種を設置し、出た利益をメイン機種に還元した方が、甘い機種を導入するより全体稼働も利益も上回る結果となるでしょう。
ただし、平均稼働が7,000枚を下回るホールでは、甘い台は積極的に導入・設置するべきというのが私見となります。10~20台規模でまとまって設置されていれば、間違いなくユーザーの来店動機となります。そこにBT機も混ぜることで、甘く遊べるコーナーが誕生します。新規客の呼び込み、平日の仕事帰りのサラリーマン客層の獲得にもつながるでしょう。
ここで弊害となってくるのが、玉粗利や利益率のノルマです。玉粗利15銭以下、利益率5%以下となるような甘い機種を30~40台構えるとその分、パチスロ全体の玉粗利や利益率が下がることになります。月次計画のノルマを玉粗利、利益率、割数などの指標で管理していると、本来なら稼働アップ、新規客の獲得につながる甘い機種は、その活用に困り、多台数設置ができなくなってしまいます。玉粗利や利益率はあくまで目安としてとらえ、パチスロ全体のノルマとしては金額で管理する方が適していると考えます。
甘い機種やノーマルタイプ、BT機を遊技するユーザーがAT機を遊技することもありますが、AT機をメインに遊技する層はその逆があまりなく、高単価の客層が甘い機種に流出する可能性は低いです。そのため、甘い機種目当てに来店したユーザーの分だけ、単純にパチスロ平均稼働を押し上げることになります。
これは低貸しに対する考え方と同じです。稼働が厳しいホールは、平均稼働を上げるために5円パチスロを多く導入していると思いますが、反対に高稼働ホールは台数を抑え、高レートに比重を置いた営業をしています。この原理に照らし合わせれば、稼働が厳しいホールこそ20円パチスロで甘い機種を拡充すべきであることが分かります。
今後も技術介入機やBT機が多数登場してくることが見込まれ、中にはフル攻略で出玉率100%を超える機種もあるでしょう。稼働が厳しいホール、物足りないと感じているホールは、これら機種をしっかり導入し、甘い機種コーナーを設け、ユーザーの来店動機を刺激しましょう。稼働アップのきっかけとして、今回の内容を参考にしてもらえれば嬉しいです。
◆プロフィール
三木 貴史
㈱エスサポート代表取締役
1972年生まれ。97年中央大学商学部卒業後、パチスロ専門店(神奈川県42台)にて勤務。01年〜06年グループ4店舗を統括部長として指揮、在職中より他店舗のコンサルティングにも携わる。この期間、全ての店舗で稼働平均15,000枚を継続。07年に独立し、パチンコ・パチスロホール運営コンサルタントとしてエスサポートを設立。“ホールの知恵袋”として全国どこにでも出張中。社内外を問わず行うセミナーも好評。