
©KITA DENSHI
2025年9月、『ネオアイムジャグラーEX』の導入が始まります。本機は単なる『アイムジャグラーEX』の代替機にとどまらない、重要なメッセージを市場に投げかけていると私は考えています。結論から言えば、これはジャグラーシリーズが6号機時代を通じてメダル機であり続けるという、メーカーの揺るぎない意思表示です。(文=ジェイさん@発信する遊技機クリエーター/J-BEAT合同会社代表)。
なぜジャグラーはメダル機にこだわるのか?
2025年のパチスロ市場では、スマスロの比率が50%を超え、AT機の主戦場は完全にスマスロとなりました。6月以降に登場したボーナストリガー(BT)機も、スマスロを中心に投入が続いています。『A‐SLOT+ ディスクアップ ULTRAREMIX』や『ニューパルサーBT』『アレックス ブライト』のように、これまではメダル機が主流だったシリーズも、今後はスマスロへの移行が進むでしょう。
そんな市場の潮流に逆行してまで、なぜジャグラーシリーズはメダル機にこだわり続けるのでしょうか。それは、メダルという物理的な存在がもたらす「遊技の体験学習効果」を最優先しているからです。
長年にわたって多くのファンが慣れ親しんだメダル遊技の感覚は、ライトユーザーから常連客までが迷わずジャグラーのシマへと足を運ぶ、シリーズの核となる価値です。この価値を継承することで、お客様にとっての安心感を守り、ファン層を維持する狙いがあると考えられます。
「5年間」を見据えた戦略的なリレー
『ネオアイムジャグラーEX』は、もう一つの重要なメッセージを伝えています。それは「時間」に関するものです。2024年8月の検定日(東京都)を起点に考えると、検定期間2年と認定期間3年を合わせて、およそ5年間の設置計画を描くことができます。これは、『ネオアイムジャグラーEX』が今後5年間にわたりジャグラーシリーズのメダル機展開の第一走者であることを意味します。
今後、マイジャグ、ファンキー、ゴージャグなど、他のジャグラーシリーズも検定切れのタイミングに合わせて、順次メダル機として投入される可能性は高いでしょう。その結果、ホールにおける「メダル機=ジャグラーシリーズ」という構図は、これまで以上に明確になっていくはずです。
この前提に立てば、各店舗はメダル機コーナーをどのように戦略的に活用していくべきか、次の論点を考える必要があります。
店舗に問うべき3つの視点
『ネオアイムジャグラーEX』を単なる新台としてではなく、5年という時間軸とシマの構成という「面」で捉える視点が重要です。
以下に、各ホールが自店の文脈で問い直すべき3つのポイントを提示します。
• 環境の基準は整っているか? :表示、音量、照度など、ジャグラーが本来持つ遊技感と両立する最適な遊技環境を構築する。
• スマスロとの距離感は適切か? :ジャグラー島からスマスロへのスムーズな動線が確保できているか。両者が対立するのではなく、異なるリズムの遊技機として共存し、回遊性を生み出すための工夫を考える。
• 将来の年表は描けているか? :検定・認定のタイムラインに、自店の季節要因や入れ替え計画を重ね合わせ、今後5年間のジャグラー島(メダル機)の未来図を描く。
ジャグラーがホールの核であることに変わりはありませんが、その周辺でどのように他機種を見せ、どうお客様の回遊を生み出すかは、店舗ごとに最適な答えが異なります。
スマスロで広がるBTやAT機はジャグラーと対立するものではありません。むしろ異なるリズムの遊技機が並ぶことで選択肢が増え、お客様の回遊性も高まるはずです。その中でメダル機であるジャグラーが「最初の一歩」を担う価値は、今後も変わらないと見ています。
『ネオアイムジャグラーEX』が示すパチスロの未来
今回の導入は、単なる新機種の登場ではなく、メーカーがこれから5年間、メダル機の価値を維持し続けるという強いサインです。
『ネオアイムジャグラーEX』は、メダル機の価値がまだまだ現在進行形であることを伝えています。ここからは、ホールの番です。このメッセージを自店の文脈で受け止め、5年間の時間軸でメダル機島を再構築する。その積み重ねこそが、シマの強さとお客様の安心感を両立させていく鍵となると考えています。
◆プロフィール
・ジェイさん@発信する遊技機クリエーター
J-BEAT合同会社代表
発信するプロ遊技機クリエーター兼ライター。過去遊技機メーカー3社で勤務。在籍中に10数機種の遊技機開発に携わる。現在は法人を経営しつつ、フリーのクリエーターとして遊技機開発に従事。また、メーカー所属では出来ない発信、評論活動を行っている。
X(旧Twitter):https://twitter.com/jsan65536