【インタビュー 私の道】
株式会社PORBUIL 武田健一社長
|新浪剛史氏、孫正義氏、韓昌祐氏――稀代の経営者の教えをパチンコ業界の未来のために

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調達コンサル、ITコーディネータとして奔走する武田健一社長。武田社長を形作っているのは、稀代の経営者、ローソン新浪剛史氏、ソフトバンク孫正義氏、マルハン韓昌祐氏からの教えだった。

PROFILE●たけだ・けんいち 1964年10月生まれ。金沢工業大学工学部建築学科卒業。大学卒業後は関西の中堅ゼネコンに入社。その後、コンビニ大手のローソン建設部マネージャー、ソフトバンクグループのディーコープ営業部長、マルハン建設部長を経て、2020年にPORBUILとして独立し、2023年に法人化、現在に至る。趣味は50歳を過ぎて始めたゴルフ。ゴルフのためにジムに通い、水泳も始めるなど衰え知らずの毎日を送る。愛犬・りのとの散歩も欠かせない日課のひとつ。

中堅ゼネコンから
コンビニ大手に転職

学生時代はバレーボールとサークル活動に青春を注いだ。建築士だった父の後を継ぐべく、金沢工業大学の建築学科に入学。卒業後は中堅ゼネコンに入社し、現場監督として甲子園球場の改修などに汗水を流した。しかし、当時の建設業界は休みがほとんどない劣悪な環境。そんな折、転職雑誌ビーイング(当時)の裏表紙に載っていた、コンビニ大手のローソンが初めて建設企画部を立ち上げるという求人がふと目に留まり、転職を決意する。

本社部門の建設企画部では、コンビニ店内で使用する什器等の開発業務に従事。着実にバイヤーとしての経験を積む中で、『おでん什器』の開発過程で発注ミスが発覚。什器を全て回収する事態に発展し、初めて始末書を書いた。

「バイヤーが及ぼす影響の大きさが身に染みた瞬間でした。仕事は細部に宿るということを痛感しました」。

その後、当時の社長だった新浪剛史氏と直接関わりながらナチュラルローソンの立ち上げや、建築デザイン、看板の規格づくりなどを通して、商業建設の基礎と顧客視点の店舗づくりを徹底的に学んだ。

社名の「PORBUIL」は、港を意味する「PORT」と、造るを意味する「BUILD」を組み合わせた造語。「人と人をつなぐ港をつくる」という想いが込められている。

ソフトバンク、そしてマルハン
大手企業で研鑽の日々

第二の転職は、ローソンが全47都道府県に出店を成し遂げたタイミングだった。新天地として選んだのは、ソフトバンクグループのディーコープ。ここでは「電子入札」や「リバースオークション(注:買い手=バイヤーが希望する商品やサービスの条件を提示し、複数の売り手=サプライヤーがそれに対して価格を提示し合う、競り下げ方式のオークションのこと)」を駆使して、顧客の経費の無駄を洗い出し、最適購買を提案する日々を送る。在籍中には、ソフトバンクグループが球団や携帯電話会社を買収。その膨大なタスクものしかかるが、会社の会長兼プロジェクトオーナーの孫正義氏からは3ヵ月タームで結果を出すことを求められた。

「ベリーハードなんてものじゃなかったですが、叩き込まれた事業のスピード感と迅速な経営判断は、今の自分に間違いなく活きています」。

多忙な日々を送るさなか、登録していた人材バンクからある企業を紹介される。それが、業界大手のマルハンだった。マルハンへの転職を決めたのは2009年のこと。

「入社後は、経費削減プロジェクトの購買リーダーとして指揮を執り、全社を巻き込むコスト改革に取り組みました。その中で出会ったのが、『金儲けは技術、お金を使うのは芸術』という韓昌祐会長の言葉です。この言葉は単なる格言にとどまらず、私にとって“支出をいかに美しく、意味のあるものに変えるか”という経営哲学となりました。それ以来、コスト削減を『削る』ことではなく、『価値を高める使い方を考える』ことだと捉えるようになりました」。

その後は建設部長として、ダイナム、アンダーツリーと共に電気調達コンソーシアム(注:互いに力を合わせて目的を達成しようとする組織や人の集団のこと)を発足するなど大きな成果を上げる。そして2020年、56歳の時に独立を決意する。

DX、GXの伴走者として
企業の確かな一歩を後押し

PORBUILとして独立後は、それまで培ってきたノウハウと人脈を駆使し、パチンコ業界に加えて建設業界、商業施設全般を対象に、店づくりや資材調達に関するコンサルティング、IT導入支援に着手する。DX分野に関しては、武田社長のバックボーンにある建設業界向けのセミナー講師のほか、2024年4月には業界団体である余暇進の理事会・部会でも講演するなど活動の幅を広げている。

余暇進ではホール企業のDX化について講演(2024年4月)。

今後に向けて武田社長は「これまで、GX支援(※)として、75店舗へ自家消費太陽光の導入支援を実施しました。今、AI蓄電池と小型発電機の開発に挑戦しています。これらを実用化させ、施設での自家消費電力80%を目指します。難題だからこそ楽しみながら解く、それが私のモットーです。今まで、そしてこれから関わっていく全ての人とのつながりを大切にしながら、パチンコホールのエネルギーマネジメントの改革を進め、業界への恩返しをしていきたいです」と力を込める。

新浪氏、孫氏、韓氏――。稀代の経営者の教えを業界の未来のために還元する武田社長の今後の活躍から目が離せない。

※GXとは…化石燃料に依存した社会経済システムを、再生可能エネルギーなど環境負荷の低いエネルギーを基盤としたシステムへ転換する取り組みのこと。名称はグリーントランスフォーメーション

現在、千葉県八千代市でマルハン東日本カンパニーと協力して取り組む「THE BEAST WALLS」プロジェクトも武田社長が企画プロデュースで参画。世界的壁画アーティスト・DRAGON76さん(写真右、左は武田社長)と個人的な親交が深く同プロジェクトに招へいすることができたという。

商業施設・駅ビルへ展開する「ガチャガチャマーケット」の販路開拓も行っている(提携パートナー:AINEOS INC.)。

前述の「THE BEAST WALLS」プロジェクトおよび「ガチャガチャマーケット」で㈱AINEOS(ロゴ左)と、また「BtoBプラットフォーム」で知られる㈱インフォマート(ロゴ右)とも提携している。

本社/東京都千代田区岩本町1-3-1 THE HUB 神田EAST
【設立】2023年5月
【事業内容】
ITと調達の両⾯から企業の業務改⾰と
環境経営の⽀援に取り組む。
●エネルギー分野での調達⽀援
●DX推進による業務改⾰⽀援
●間接材コスト削減コンサルタント

https://porbuil.com

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