8月末になって警察庁はサブ基板制御の指示(AT・ART)機能が及ぼす出玉性能への影響を排除するため、9月16日の型式申請分から試験方法を変更する方針を日電協および日工組のメーカー2団体に通達。従来は任意だった停止順(実際の遊技で想定される停止順)を「ナビが発生する場合でも最低となる打ち方(もっとも出玉率の低くなる停止順)で行う方法」(日電協・中西技術部長)に変更し、その条件下で規定上の下限出玉率(55%)を満たす指導方針を伝達していた。
会見で日電協の中西技術部長は、「変更後の試験では現行のAT・ART機(ART機はボーナス比率の低いタイプ)はART中、AT中に一切出玉が上がらないことになり、すべて不合格となる」と指摘。また今回の試験方法の変更が及ぼす遊技機性能への影響については、「ノーマルタイプ、Aタイプと呼ばれるものは一切影響がない。ボーナスのあるA-ART機と呼ばれるものも純増が1.5枚程度で、ほぼ現状維持。しかし純増2枚以上のAT機を変更後の試験に適合させるためには通常ベースが現在より非常に高くなり、設計変更が必要になる」と説明した。
AT・ART機能の主基板移行を行政が求めるのは、AT・ART機能が作動した場合と作動しない場合の性能格差を生む背景に「試験機関がその部分(サブ基板)を試験しない」(佐野技術委員長=日電協副理事長)ことがある。試験対象となる主基板に同機能を移すことで、サブ基板が出玉性能に及ぼす影響を根本から排除する意味合いがある。
ただ佐野技術委員長は、AT・ARTの主基板移行には一定の期間が必要になるとの認識を明示。AT・ARTが及ぼす出玉性能への減衰を進めながら、主基板移行に着地したい考えを示した上で、「基本はソフトランディング。しかし長く先延ばしはできない。いずれ近いうちに日工組と決めて、ごく近いうちに(移行スケジュールを)発表する」と述べた。
一方、現在設置されているAT・ART機について佐野技術委員長は、「誰もが軟着陸したい。だからこそ主基板に戻るべきだというスケジュールを立てている。その途中で何かアクシデント(世論のバッシング)でもなければ誰も強いてハードランディングしようとは思わない。そこは世論の状況しだいだ」と述べるにとどめた。
会見にはほかに、原田専務理事、日工組から山澤常務理事も出席した。